あたしの世界
なんだか今日はやけに騒がしいわ。
私は周囲を見回した。
周りにいた使用人たちが今日は妙に少ない気がする。なのに騒がしい。
窓を開けて外を見た。なんだかいろんな人が外を走っている。
「何をしているのです」
柔らかな声がした。
金色の髪を豪華なティアラでまとめた奇麗なおばさん。
この国の王妃様だ。
もちろん将来王子様と結婚したらお姑さんになるけど、あの人は嫁いびりなんかしない。王様も王妃様も私の顔を見たらすぐに素敵なお嬢さんだと褒め称えてくれた。
「ちょっと騒がしくなったけれど、なんでもないわ」
そう言って王妃様は笑いかけてきた。
「そうね、これから楽しいことを考えましょう。ほら、貴女のために新しいティアラをあつらえる話は聞いた?」
そうよね、王子の所にお嫁に行くんだし、ティアラはやっぱり必要よね。
「地金はやっぱり白金かしらね」
「私、ピンクゴールドがいいわ」
「ああ、それも可愛いかもしれないわ、可愛いマリアならどちらも似合うでしょう」
王妃様はそう言ってあたしの髪をなでる。
「きれいな髪ね、きっとティアラも映えるでしょうね」
「宝石はどんなものがいいかしら、白金とピンクゴールドだと使える宝石が変わるのよね」
宝石。やっぱりダイヤはマストよね。ものすごく大きなダイヤを用意してもらわないと、それにルビー、ああでもピンクに合わせるならピンクダイヤってあるじゃない。
「宝石は選ばせてもらえるのですか?」
宝石屋さんを呼びつけてたくさん宝石を用意するの。だって私のためだもの。
だけどティアラだと使える宝石の量が決まっているわね。やっぱりティアラって小さいもの。いっぱいいっぱい宝石が使えるといいのに。
「ええ、貴女のために国中の宝石商を呼んで飛び切りの宝石をたくさん用意させましょう、その中から特に素晴らしい宝石を貴女のティアラに嵌めましょう」
王妃様はまるで歌うようにそう言って。ああ嬉しい。こんな幸せなことってあるのかしら。
みんながあたしのために何でも差し出すの。あたしはただ欲しがればいいの。
この世界はあたしのためにあるの。あんなつまらない世界から出ていけて幸せ。
「お茶が入っているわ」
王妃様がティカップを差し出した。
私がお茶を飲み干した後王妃様は呟いた。
「私は王妃、だから、愛していても」
不意に体に力が入らなくなる。
「大丈夫、苦しくないわ」
え?




