美しい日
レースのカーテンからきれいに整えられた庭が見えた。
鳥のようなトピアリーがあちこちに点在している。そして白と赤の花がちりばめられるように咲いていた。
あの花はなんて言うのかしら、なんとなく罌粟に似ているけれど。
小さな池に噴水が小さな虹を作っている。
何度見てもこの庭は奇麗。
私はベッドから降りると私の前にメイドたちがかしずいていた。
実家でもメイドはいたけれど一人だけ。下着の上からドレスを着る手伝いをするだけで私のことを放っておいた。
ほかの仕事が忙しいと言って。
私だけに仕えろと命じたかったけれど。そのメイドは掃除や買い物もしていたのでそうすることができなかった。実際そうしたことが滞れば私が迷惑するのだもの。
だけど、ここでは私のためだけのメイドが何人もいる。私の命令だけを聞いているメイドたち。
もちろん掃除や食事の支度や買い物なんかはほかの使用人の仕事だから。私のために何でもしてくれる。
そんなメイドたちにドレスを着させてもらい髪をセットしてもらった。もちろんメイクも。
贅沢な手の込んだ美味しい朝ごはん。
家では献立に文句を言うなんて許してもらえなかった。だけど今は卵の焼き加減から塩の使い方まで何を言ってもその通りにしてくれる。
野菜はしゃっきりゆでてほしかったの。だってべちゃっとした触感は嫌い。なのにずっとべちゃっとした野菜しか出してもらえなかった。
私が台所に立つことは許されなかった。だって一応貴族令嬢なんだから。
本当に食事に関してはとっても苦労してきたわ。
そう言って程よい茹で具合のキャベツのようなものを口に運ぶ。
野菜はいまいちだったがお肉の類も実家にいたようなちょっと臭みのある肉ではなく最初から美味しかった。
ハーブ水に付け込んで柔らかくしたお肉のロースト最高。
幸せを堪能していると王子様がやってきた。
来る時間までに一通り食べ終わっている。
だって、人前で食べるときは一粒ずつ食べるようなおちょぼ口で食べなきゃいけないんだもの。餓死するって。
私は何でも思い通りになる幸せをかみしめた。王子様は私のいてほしいだけの時間渡しといてくれる。
「殿下、書類が滞っております」
侍従がどんどんと扉をたたく。メイドが扉を開くと侍従が飛び込んで。喚き散らす。
「物資に関する書類が、このままでは戦線が維持できないと」
そうまくしたてる。うるさいな。
「黙っていて」
私がそう言うと侍従はこちらを見た。私に対して県のある目をしていたが次の瞬間にはにっこりと笑う。
「申し訳ありません。書類はまあ後でいいです」
「では退出して」
従順に笑って出ていく。煩わしいことは何もない。本当に幸せ。




