手詰まり
俺は頭痛を覚えた。物資が滞り始めた。それも驚くほど速く。
いったい何の冗談だろう。
物資がなければ戦争などできるはずがない。それにだ物資が滞り始めるのが驚くほど速かった。
「首都にいれば危機感はあまりないのですが。それにしてもこれは度が過ぎていますね」
物憂げにつぶやくのは妙齢の美女。
ああ、最初からあいつらは何もわかっちゃいなかった。くだらない色恋沙汰の後始末を前線に持ち込みやがった。
もちろん目の前の美女には何の罪もないのだが。
「計算してみた結果、食料が今の状態で減り続けた場合。あと一月でつきます」
数字を見た。これは短期決戦をしなければならない。
そう呟くと彼女は眉をしかめた。
「その、それは危険では?」
危険は承知の上だ。そもそも安全な戦場っていったいなんだ。
「だがこのままでは手詰まりだ」
彼女はいつの間にか私の話の聞き役になっていた。
ずっと歴史を学んできた彼女は戦況がある程度理解できるようだ。
「それで、やはり魔法を使うのですか?」
魔法使いテレメア、彼女の破壊力を今こそ使う時ではないかと。
魔法はすべての状況を一瞬で帰る切り札だ。しかしそれは魔法使い本人の体力に左右される
テレメアは破壊力があるがそう長時間もたない。
魔力は本人の体力次第なのだそうだ。本人もそれなりに鍛えているそうだが筋肉と同じでつきやすい人間とつきにくい人間がいる。テレメアは後者のようだ。
「その場合、テレメアの能力を最大限引き出す場所が必要ですね。そしてその場所まで敵をおびき寄せねばなりません」
カタリナは地図を見つめる。
「この場所を破壊できれば後続の敵を分断できます。その間に時間を稼げると思いますが」
地図上にあるのは敵国から我が国までの道筋の中でもかなりの難所と思われる場所だった。
「この道を崩すことができれば新たな敵も敵の補給線も立たれると思われます」
断崖絶壁の壁から段差ではえているような道だ。その道を壊すことができれば確かにその通りだ。
敵とて補給がなければそう長く戦えない。
「ただし、問題があります。敵は撤退できません。その場合残った敵はことごとく皆殺しにしなければなりません」
顔から血の気が引いていた。
跡がなく死に物狂いになった敵を殲滅する。なかなか大変な仕事になりそうだ。
「すべての始まりを知っていますか」
カタリナは静かに呟いた。




