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7/8

与那国島特務航空団の3度に渡る作戦の戦果は、身の丈に合わない過分な評価でした。

このエピソード辺りから少し雲行きが怪しくなり始めます。

【伊久間薫】

与謝野閣下に調達して頂いた50発のトマホーク巡航ミサイルを実戦投入した後の3日間には、個人的というか我々与那国島特務航空団の評価が政府のマスメディア対策で我々の戦闘力が過大に流布された結果、国民の間で実情とかけ離れて非常に高くなっており、俺と綾瀬君は国を救った英雄とマスメディアの皆さんから称えられているのが、地上波で流れていたのを、不安に感じてまとめてエゴサーチする事にしました。

また、メデイアで開示される情報には与那国島の基地所在地情報が秘匿され、統合幕僚庁閣下直属のシークレット部隊との位置付けがなされていて、何でもその創設は、防衛省大臣の肝入りで我々2人が選ばれたという大変光栄と有難がらなきゃならいのかなあ??な連作人気アニメの後付け設定みたいになっていた。

報道を掻い摘んで記すと、綾瀬君は航空自衛隊若手のエースで、俺が彼の並みはずれたパイロットの資質を見出し、惚れ込んで自分の右腕として招聘した事になっていました。

まあ、まるっきり嘘では無いけれど、俺が彼に惚れ込んだのは、若手のパイロットの注目株でありながら、与えられた訓練メニューをこなすにも、常に自分で考えて最適解を探すような柔軟で型紙破りでありながら優秀な成績を挙げる彼を、何より従順な部下を求める彼の上官達には疎ましく思い、何かと風当たりを強めていたくらいで、私が綾瀬君を技本(技術研究本部)の新型機改造試験のテストパイロットとして招聘を彼の上官達に打診しただけで、本人に熨斗付けて送り出すくらいノリノリだったのは秘密にしなければならなくなった。

何しろ期待の若手のエリートパイロットである彼を彼のお優しい上官達は、飛び切り優秀な綾瀬君を放出するのは嫌だったが、日本の防衛を憂慮し、その対策ゆえプロジェクトに必用な人材だと事態の重要度を加味し大局的な見地から泣く泣く手放した事になっていた。

そして私はというと、技本に入ってからの兵器開発の実績が思いっきり盛って紹介されていました。

それから私の人格もめちゃ上方修正がなされて、日本の人々の為にとどまる事を知らない中国の軍事大国化を憂慮して、日々戦術と兵器開発にわが身を顧みず精力的に取り組み、綾瀬君というバディを得て、一度苦杯を嘗めた自衛隊の巻き返しをたった2人でやりとげた、まさしく英雄だと持ち上げまくられていました。

なんでも綾瀬君は天性の操縦センスを持ち、今次参加戦闘でも傑出した操縦技術を随所で発揮して作戦の大成功に大きく貢献したと報じられ、人柄は清廉潔白で人に優しく、自分自身には厳しい訓練ノルマを自ら課して来るべき自身の出番に備えていたと報じられていました。

まあ、まんざら嘘では無いと思ったけれど、其の事に関しては彼の心境を考えて黙っておくことにして、それ以外のマスメディアが盛りまくった俺たちの紹介番組を隣でなかば呆れながら見ている綾瀬君に

『いやあ、さすが綾瀬君、人格者の上に操縦の天才だと当局もやっと認めたらしいね(*'▽')』

と、からかったら。

『いやいや、笑ってる場合じゃないですって、薫さんは私よりもっと悲惨な事になってるでしょう、この番組の流れ的に!』

・・・・綾瀬君の予想した通り俺の紹介は、俺はもう完全に別人格にされていて、一言で言い表すなら聖人君子で戦争の天才である伊久間薫という人物は今日の事態を既に数年前に予見して次々手を打った軍人の鏡にされていたw

『・・・・笑えない(-_-;)いくらワイドショーでも捏造が過ぎる、俺がこんな高潔な人物だったら今回の大戦果があるまで上層部に低評価され続ける訳ないつーの。

まあ、次々、周りに誠実で能力の高い方ばかりが集まっていつも助けて貰ってるからが今回の大戦果の最大の原因で、俺自身はホントに運が良いだけの凡人なんだけどな。』

『なあ、薫。謙遜も過ぎれば嫌味だぞ。』

『福浦整備隊長、ちょっと勘弁して下さいよ。褒め殺しされますw』

『いや、君の言う運だって立派な才能だ、戦術・兵器開発だって立派に結果を出している。むしろきみほど結果出してる軍事技術者は、見当たらないくらいだ。考えうる兵器高性能化と正面装備の改修で高効率での新しい戦術運用に端緒に付けたのは紛れもない君自身だし、初戦の大戦果も、まぐれなんかじゃ無い、君の功績だ、誇ると良い。まあ人柄盛りまくられて別人にされちゃったのはご愁傷様だけどな。』

『・・・そんなー!勘弁して下さいよ、おやっさん!。。。えっ、この番組全国放送だったの、もう街歩きをする勇気が無い。メッキ剥がれるの時間の問題だもんね。w』



虚像が一人歩きして、薫の精神に変調が見られるようになるのが当面の素材になる予定です。

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