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私情警察7 ~中編~

「どうぞ、おかけください…木下さん」

「失礼します………」


老年男性の名まえは木下幹雄さん。彼は静かに腰掛けた。


「話しは聞いております。奥さんの無念を晴らしてほしい…ですね?…」

「はい。私には妻がいます。その無念を晴らしてほしい…!」

「犯人は悪徳リフォーム業者…でしたね?」


彼は静かに頷いた。


「そうです。連中はたしかに工事をしましたが…それはとても杜撰ずさんなものでした。コンクリートは早くもヒビが入り、建て替えた部分はナナメに傾き、すきま風が入る始末…。これではかえってなにもしない方がよかったというものだ…」

「失礼ですが、インターネットなどはお使いにはならないですか?」

「お恥ずかしい…。夫婦そろってからっきしで」


(やはり…。とはいっても無理もないか…)


この手の詐欺連中は老夫婦をカモにすることが多い。なぜならネットを使う人が少ないからだ。インターネットのすべてが真実とは限らないが、うまく活用すれば情報の収集や共有などが効率的に行える。とはいえ、年々詐欺の手口も巧妙になってきている。ネットを駆使してもひっかかるときはひっかかるだろう。


「全財産は残り少ない…。警察にも相談したのですが立証が難しいと…」

「そうですね…。一応リフォームしたという契約は果たしていますから」

「あの家は…妻と二人三脚で建てた家でした。我々の世代はマイホームを手に入れることが喜びだった…。あんな小さな家でも思い出がつまった家なんです…!」


すべてを話すと木下さんは手をギュッと握りしめた。


「妻は家の寿命を縮めてしまったと自分を責め続けています…!」


ギュッと握った拳は悔し涙で濡れていた。


「それが…!いたたまれんのです…!!」

「あなたの事情は理解できました」


だが…オレには必ず聞かなければならないことがある。

いつもの質問だ。オレは詐欺集団とちがって事前に必ず確認する。

相手をダマすようなことはしない。


「木下さん。オレがすることは法に反することです。そしてあなたはその犯罪に加担するのと同義…。その意味がわかりますね…?」

「ええ…!妻の笑顔が…もう一度見られるなら…加担します!」


すべてを話し終えた木下さんは、オレに頭を下げてきた。


「わかりました。あなたの無念、オレがはらしましょう……!」

「ありがとうございます…!」


外道が生み出す負の連鎖…。それによってうまれた無念。

外道の存在は百害あって一利なし…。

老後を静かに暮らそうという老夫婦のささやかな願いを踏みにじったことを…

このオレが後悔させてやるさ…!



圭介の資料をみると…次に狙われやすい家をピックアップしてくれていた。

今回の捜索はとても簡単だった。

一つ注意点があるのは…社長はボクシング経験者とのこと。

まぁ…それだけ分かれば、充分だ。


次の日の昼…。

探索すること20分。例の悪徳リフォーム業者がいた。2人組で、そのうちの一人は…ターゲットのバカ社長だった。黒のサングラスに金のネックレスとギラギラした腕時計。典型的な成金の格好だ。人を見た目で判断するな言われて育ったが…どうしてならず者というものはみんな似た格好をしているのだろうか?だが、かえって好都合だ。探す手間が省けた。オレはとてもラッキーだ。

ヤツらは今まさにインターホンを押そうとしていた。


ツカ……ツカ……ツカ……


「よう、アホども…断罪の時間だ」

「あ?なんだぁ?が…ぐべ!」


あいさつ代わりのジャブで、一人はあっという間にノックアウトした。

すかさずもうバカ社長が身構える。


「おまえ…経験者だな?」


いうがいなや外道は襲い掛かってきた。…。

外道のパンチを3発ガードしてみた…。こいつ、なかなかの手練れだ。


「切れのいいパンチだな…!」

「あたりまえだ!オレはなぁ!元ボクシングの日本ランカーだ!」

「それが今じゃ…落ちるに落ちて悪徳リフォームの親玉か!?」

「だまれ!あいつが悪いんだ…!あいつが…」

「ふっ、外道はいつもまわりのせい、だな!」

「うるせー!!…へっ!!どうしたどうした?逃げるだけ……か!!」

「おっ!……と!」


外道はミドルキックを放ってきた。

鋭いキックだったが、運よくガードが間に合った。


「っちぃ…!とらえたと思ったが…やるじゃねぇかよ!」

「…ずいぶんと足癖の悪いボクサーだな…!」

「オレはボクシングをやめたあとも…キックボクシングも練習したんだ!!」

「まぁ、こんなあくどいことをやっていたら、そりゃ恨みをかうからな…。自己研鑽じこけんさんにも身が入っただろうな」

「だまれ…!」

「パンチはなかなかのもんだ…。だが、キックには重さが足りないようだな…!」

「なんだと!?言ってくれるじゃない…か!!」


外道はすかさず間合いを詰める。インファイトがお得意のようだ。


「あと1分30秒で…おまえを倒す!」

「…んだとぉ!?やれるもんなら…やってみろ!!」


外道は自分が優勢だとおもったのか、ガンガン攻めてくる。


「あと30秒だ……」

「上等だ…!!」


(5…4…3…)


「…………はぁ!…はぁ!」


(2…1…いまだ!)


オレの右ハイキックがヤツの顎にクリーンヒットした。

外道はその場に倒れ込んだ。


「ぐは! な…ん…だと…?」

「腕の立つボクサーというのはウソじゃないようだな。気迫もあった。だが、きっかり3分で闘うクセができてしまっているようだな。ケンカにインターバルはねぇんだよ!…なんてな」


「…………がぁ!う、うあ…!!」


こうして、ターゲットを捕獲したオレはいつもの場所に連れ込んだ。

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