私情警察6 ~前編~
カラン……
「やぁやぁ、マリさん。今日もお美しいっス!」
「まぁ、どうも…圭介さん」
一人の男が入ってきた。オレの後輩、圭介だ。
圭介はカウンターにスッと座る。
「マリさん!これ、いつものっス!」
「まぁ、ありがとう…お店を閉めたら読ませていただくわ」
今回もA4サイズが入る封筒で持ってきている。
「いきなりっスけど…マリさんはネコ派っスか?イヌ派っスか?」
「そうねぇ、どちらかといえば…ネコ派かしら」
「マリさんはネコでいうとロシアンブルーみたいっス!上品で物静かで…」
「ほおぉぉ…圭介、オレはイヌ派なんだけど…イヌだとなんなんだ?」
「センパイはピットブルみたいっス!」
コイツ…即答しやがった。
…ということは、まえからそう思っていたってことか…?
「ピットブルってアメリカの闘犬って言われる…」
「だって、一度キレると止まらないし、攻撃性が高いし、筋肉質だし、たぶんセンパイは自分のことをドーベルマンとか紀州犬と思っていそうスけど…それらとは程遠いっスね!」
「ま、まぁ…そう…ね……」
(マリ…どうして否定してくれないんだ…!?)
オレは強引に話題を変えることにした。
「け、圭介、マリがコーヒー淹れてくれておいたぞ!!」
「マリさんが…!それじゃいただきます!」
圭介はコーヒーを飲む。
「マリさん……今日のコーヒーは…急いで入れたっスね!?」
「え?なんでわかったの?圭介さん!?」
「微妙に香りが薄いんスよ」
「おまえはイヌか!!…黙って飲め!!」
「まぁでもおいしかったっス!支払いは…クレジットカードで!」
ピッとカードを通して、そうしてヤツは帰っていった。
オレは玄関に清めの塩をまいた。
(オレ……ピットブルだったのか…)
そして滞りなく一日が過ぎた。
時刻は夕方。オレは店じまいの準備をする…。
そしてその晩のこと…
「ふふ、圭介さんのラブレター…とても興味深いわ」
「どれ…」
アイツが持ってきた資料に目をとおす。
今回もターゲットの情報がこと細かに記載されている。
犯人のそれぞれの生い立ちや人間関係。行動パターンとその時間など…。
とはいっても、オレが覚えるのはたったの二つ。
犯人の顔とそいつの出現場所…その二つだ。
どうせ殺すんだ。たくさん覚えても意味はない。
(被害者は10代の男性。まだ中学生じゃないか…)
今回のターゲットは動物虐待をする外道だ。
他人のペットにエアーガンを向けたり、池のカモをボウガンで射抜いたり…。
過去に盲導犬にタバコを押し付けた疑いあり…だと!?
「なるほど、コイツの虐待騒動に依頼者のペットが巻き込まれたってとこね…」
「うん、死刑でいいな。コイツ」
今日のやり場のない怒りを…この外道にぜんぶぶつけてやろう…!
そしてその日の夜、10時ごろ…。
コン…コン…コン…
店の裏口から一人の中年女性が入ってきた。




