表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/33

私情警察3 ~後編~ 中国の拷問【凌尾刑】

「オレは津木田 五郎つきだごろうってんだ」

「名前なんてなんでもいいさ。アンタ、スジもんだろ…?」

「カンがいいねぇ。さすが元警察官だ」


(オレを知っている…?)


「…で?なんなんだ? コイツらを助けにきたのか?」

「あ~ちがう、ちがう。コイツらね、人のシマで小遣い稼ぎしてたんだわ~」

「…で、カタにハメようってわけか?」

「そう。若者の内臓って、中国では高く売れるんだわ~。あ、タバコ吸ってるの?それだと値段が下がっちゃうなぁ~。ま、薄利多売でいくか…」


ターゲットの顔がみるみる青ざめる。津木田という男は話しかける。


「キミだけじゃないから。お友だちも一緒だから。さみしくないよ~」


学校ではいじめ、学校の外では違法な小遣い稼ぎか…。


(すくえねぇな、こいつら…)


「電化製品も…車も…内臓も…日本産は人気なんだわ~」

「だからと言って、ターゲットは渡す気はない!こいつはオレが…!」

「ああ、それでいい。ただよ、オレたちは眼球と内臓を無傷で手に入れたいんだ。そこさえ無事だったらあとはどうでもいいよ。だた、ナイフくん以外は預からせてもらうよ。いろいろ聞きたいことがあるんだわ~」


いきなり外道が口をはさむ。


「あ、あの…冗談ですよね?」

「そちらさんはどうか知らないが…」


津木田は外道の髪を鷲づかみにする。


「オレは親しい人間のまえでしか冗談は言わないんだわ~。おまえ…オレと親しいの?」

「…………あ……う…いえ…」

「と、いうわけで頼むわ。鳥嶋の兄ちゃん。オレ、アンタを気に入ってるからやり合いたくなんだよね」


オレは少し考えた。ヤクザもんと取引するのは気が引けるが……。


「引き渡した方が外道がもっと苦しむというなら…その条件をのもう」

「ああ、それは約束するぜ。兄ちゃんに負けず劣らずの地獄を味あわせてやる予定だ」

「わかった。3日間コイツを預からせてもらう」

「OK。3日後、S港に14時でな。時間厳守でたのむぜ」


そういって男はスッと、闇の中に消えていった……。


カチカチッ……カチカチッ……カチカチッ………


なんの音かと思ったら…外道が恐怖で歯をカチカチ鳴らしていた音だった。


「さてと、いったん眠ってもらうぜ…」


そしてオレはチョークリーパーで外道の意識を刈り取り、拷問室に運んだ。





外道を拷問室に運んだオレは、外道を大木のような柱に括りつけた。


「ZZZ…………」


まだ寝てやがる…。いつまで寝てやがんだ!


「さっさと…起きやがれ!グズが!」


ボコッ! 鼻に一発、気付けのジャブををお見舞いしてやった。

あたりに外道の歯がに2~3個散らばった。


「ぐはぁ! ってなんだここは!? なにも見えねぇ!」

「お目覚めか…?」


ヤツは周囲を確認できない。当然だ。目隠しをしているのだから。


「その声…元警察官の…おいアンタ!助けてくれよ!…な?」

「知るか…。オレが助けるのは善良な一般市民だけだ…」

「そ、そんな…オレには少年法が…」

「おいおい、自ら法に背いたくせに…自分が困ったら法に助けを求めるのか?」

「いや、それ…は…」

「マリの大好きな小説で出てきた言葉だそうだ。『悪人に人権はない』ってな。とても…いい言葉だと思うよ」


(眼球と内臓がキレイなままで痛みつける、か。なら、アレにするか…)


ヤクザもんの注文を聞くのはポリシーに反するが…。

まぁいい、外道が永く苦しむことができるのなら…。


「いやだ、死にたくない…死にたくない…」


……なに言ってんだコイツ?

テメェが殺した娘さんは…生きることすらできねぇだろうが!

残された遺族は…ずっと苦しんで生きていくんだぞ!

ま、外道に説教しても意味はないか。

そもそも聞く耳があるなら…オレのターゲットにはならないけどな。


「さて、そろそろ始めるか…」


オレは火であぶった短刀を手に取った。

その切っ先を外道の右腕に軽くあてる。浅く突き刺し、肉をこそぎ落とした。


「ひ、ぎゃああああああぁぁぁぁ!」


外道の悲鳴が室内に響く。


「他人の痛みには鈍感で…自分の痛みには敏感なのか?」

「や、やめて……」

「やめるわけねぇだろ、アホ」


オレはその後も、両腕、両脚から少しずつ肉を削ぎ落していった。

ゴッソリとは削らない。浅く薄くやっていくのがコツだそうだ。


この拷問は『凌尾刑りょうちけい』といって中国の拷問の一種である。

罪人の体を生きたまま少しづつ切り落とし、長時間苦しめるという拷問だ。


ホントはこのまま苦しめてやりたいが…ヤツとの約束もある。


「や、やめてくれぇええええええ!」





3日後…オレは店から一時間の港に車を走らせた。

大きめのキャリーケースを乗せて。


「…これでいいのか…?」

「問題ないぜ…って、ん?なんかヒンヤリしているな?このキャリーケース…」

「ああ、鮮度を気にしていたから、冷やしておいたんだ」

「気が利くなぁ!鳥嶋の兄ちゃん。お、そうだ!分け前は…」

「いらない。オレはヤクザもんと取引はしない。勘違いしないでくれ。オレは外道が永く苦しむというから手を貸しただけだ」

「ま、アンタならそういうと思ったわ~。借りができたな。いつか返すよ」

「………………」


オレが持ってきたキャリーケースを受け取り、男は船に乗っていった。

外道の行方はだれも知らない。





港から帰ると、マリがコーヒーを淹れてくれていた。


「お疲れさま、マモルさん」

「ありがとう、マリ」


うむ、一仕事終えたコーヒーはとても美味しく感じる。


「今回も片付けがラクで助かったわ」

「そりゃ、よかった」


こうして今回の依頼は無事に終了した。

無事に終わったが、反省点もある。ヤクザの言いなりになったことだ。

オレがもっと強ければ…ヤクザの要求を突っぱねることができた…。

『外道が永く苦しむなら』と言ったが…津木田に少し腰が引けたってのも本音だ。

津木田は強い。おそらく俺よりも…。


(マリがいなくてよかった…。情けねぇ…もっと強くならなきゃ……!)


オレは拳をカタく握った…。


(ヤクザが…オレを見て、道を開けるくらい…強くならなきゃ、な!)




翌日、オレは依頼者に依頼完了の知らせをおくった。


事件の真相、事の顛末、なるべく依頼者がキズつかないように言葉をえらんで…。


筆記試験最下位の警察官と言われたオレは、これにとても神経をつかう…。


(ヤクザと取引したことは、だまっておくか……)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ