私情警察3 ~中編~
「どうぞ、おかけください…宇戸さん」
女性の名まえは宇戸さやか。終始浮かない顔をしている女子高生だ。
彼女は無言で腰掛けた。
パっと見はふつうの女子高生だ。
指輪をしている以外は……。
オレの視線に気づいたのか宇戸さんは語りはじめた。
「この指輪…友だちとおそろいだったんです」
(『だったんです』…ということは)
この事件…ニュースで一時期取り上げられていたが、すぐになくなったな…。
「学園内でイジメられていた…ということですか?」
彼女は静かにうなづいた。
「あたしは学校に言い続けました。でも、だれも取り合ってくれなくて…でも、アイツらぜんぜん反省していない…こんなのおかしい…!みんな怖かったんです。主犯格はナイフを持ち歩いてて…取り巻きは格闘技経験者で…。ウワサではホントに刺したことがあるとか…」
(そして追い詰められて…イジメを苦に…クソが!)
そして彼女はボロボロ泣きはじめた。
すべてを話すと宇戸さんは指輪をギュッと胸に抱きしめた。
「あなたの事情は理解できました…」
だが…オレには必ず聞かなければならないことがある。
未成年に聞くのも気が引けるが…。
「宇戸さん。オレがすることは法に反することです。そしてあなたはその犯罪に加担するのと同義…。その意味がわかりますね…?」
「覚悟はできています…!」
その瞬間…宇戸さんの顔が豹変した。
「はい…!たよれるのはもうあなたしかいないんです!学校はあてにならない!!」
すべてを話し終えた彼女は、オレに頭を下げてきた。
彼女の声からは犯人たちへの憎悪が感じ取れた。
愛するものを突然奪われた喪失感…!生涯消えることのない憎悪…!!
親しい人を突然なくす気持ちに…歳なんて関係あるか…!
ついでにいえば、犯罪者に性別も歳も…関係ねぇ!
「わかりました…。あなたの無念…オレがはらしましょう……!」
「ありがとうございます。ありがとう…ござい…ます…」
外道どもが生み出す負の連鎖…。それによってうまれた無念。
外道に更生の余地? 話し合い? 話してわかるヤツはイジメなんてしねぇよ…。
だれが…泣き寝入りなんてするかよ。
(少年法? 知らねぇよ、そんな法律!オレは筆記試験最下位だったからな!)
資料によると外道どもは毎週決まった場所にあらわれるらしい。
定期集会ってやつか…? まあいい、探す手間が省けるというものだ。
そしてその場所に行くと……いた。カンタンすぎる…。
ツカ、ツカ、ツカ……
「よう、アホども。断罪の時間だ」
「なに言ってんだ?コイツ…って、え?」
オレは容赦なく、一番近いヤツにあいさつ代わりのジャブをはなった。
(今のも避けらんねぇのか…)
「おっさん…死ぬか?」
「算数は苦手なのかしら?5対1よ? 楽勝っしょ!」
「なに、大人と子どもがケンカをするんだ。ちょうどいいハンデだと思うが…?」
「んだ…とぉ?」
「死んで後悔しやがれ~!」
「やっちゃえ~、やっちゃえ~」
「……ふん」
取り巻きどもは一斉に襲い掛かってきたが…統制がまるでとれていない。
膝蹴り、腹パン、首絞め、回し蹴り…。オレは取り巻き4人を秒殺した。
中には女もいたが…関係ねぇな。
「ガキ相手に…全力だすまでもない…」
ターゲットは胸元からナイフを取り出した。
「クソが…やってやらぁ!!」
アホが突っ込んできた。どこで覚えたのかナイフ裁きは及第点だ。
しかし、アホのナイフ裁きは虚しく空を切る…。オレに当たるわけがない。
「あのな…おまえ程度のナイフ裁きなんざ、オレにとっちゃ…」
「な、なにぃ…!!」
「お遊戯会なんだよ!!」
ボゴ!
腹パン一発で外道はその場にうずくまる。
「ぐ、がはぁ!息……できねぇ……」
(さてと、あとはコイツを…)
「あらら、一歩遅かったか~」
闇の中から現われたのは…陽気そうなおっちゃんだった。
短髪で黒髪、170センチくらいの薄いサングラス。
だが、わかる。コイツ、ヤクザもんだ。




