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目指すは永生 ~二度目の人生を歩む外道精霊使い~  作者: 蛊真人/朱色の豚
外道の本性

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84.窮地を破る策、雪中の梅花

広間には、煌々と明かりが灯っていた。


円卓に置かれた酒はすっかり冷め、丹念に作られた料理も、とうに温かさを失っている。


銀の燭台では炎が時折揺らめき、叔父と叔母の影を壁に映し出していた。

二つの影はぴたりと重なり合い、揺れる火に合わせて陰気に蠢いている。


老女の家令は二人の前に跪き、今日起きた出来事を一つ残らず報告した。


しばしの沈黙の後、叔父が先に口を開く。


「ラインの小僧め、ここまで頑なに私に逆らうとはな」


その顔は険しく、声には押し殺した怒りが滲んでいた。


「最初は穏便に説得して、ひとまず家へ連れ戻すつもりだった。

その後でゆっくり理由を作り、改めて追い出せばいいと思っていたのだ。

それが、こちらの顔を立てる気など欠片もなく、話し合う余地すら残さず断りおった。

私が自ら宴を設けて招いてやったというのに、この家の敷居さえ跨ごうとしない!」


叔母は歯を食いしばり、その顔には焦りが浮かんでいた。


「あの飼い慣らせない狼の子も、もう十五歳になるわ。

正式に家産の継承を申し立てられたら、いつまでも渡さずにいるわけにはいかないでしょう。

当時、私たちが預かった財産は、一つ残らず内務院に記録されている。

しらを切ることもできないわ。いったい、どうすればいいの?」


「お前は下がれ」


叔父が手を振ると、老女の家令は慌てて頭を下げ、広間から退出した。

扉が静かに閉まり、部屋に夫婦二人だけが残ってから、叔父はようやく冷笑を浮かべた。


「何を慌てている。この一年、私が何も考えていなかったとでも思うのか?」


「まず、一族の者が分家して独立するには、少なくとも一環中位に達していなければならない。

その条件なら、ラインはとっくに満たしている。

今では一環頂位に達し、年末考査で第一位まで奪った。確かに、見違えるほど成長したものだ」


そこまで言うと、叔父の口元がわずかに引きつり、陰湿な笑みが浮かんだ。


「だが、一環中位に達することなど、分家の前提条件にすぎん。

あいつが両親の残した家産を本当に取り戻そうとするなら、そう簡単にはいかない」


ラジェットは人差し指を立てた。

「まず、内務院へ申請を出す必要がある。

申請が通った後も、内務院はあいつに対し、独立して一家を構え、家産を継ぐ能力があるかを見極めるための家産任務を課す」


続いて、中指も立てた。

「その任務を完遂して初めて、正式に分家する資格が得られるのだ。

この制度はもともと、一族の者が家産をむやみに細分化し、内部の資源が浪費され、力が衰えるのを防ぐために作られたものだからな」


それを聞き、叔母はようやく事情を理解した。


「つまりラインは、内務院が出す家産任務を終えなければ、両親の遺産を受け取れないということ?」


「そのとおりだ」


叔父は陰気な笑い声を漏らした。


「そして、内務院の任務はすべてチーム単位で発行される。家産任務も例外ではない。

任務を終えるには、ラインもチーム全体の力を借りなければならん。

あいつ一人でどうにかできるものではない、一族がこのような規則を設けたのも、チーム内の連携を強め、メンバーの結束を高めるためだ」


叔母はようやく完全に安堵し、声を上げて笑った。


「あなたは、やはり先のことまでよく考えているのね」


「サイラスにラインをチームへ入れさせておけば、家産任務を終えるために、ラインはどうしても彼らを頼らざるを得ない。

でもサイラスは、もともと私たちの側の人間。ラインの思いどおりにさせるはずがないわ」


叔父の目に、得意げな光がよぎる。


「ふん。たとえサイラスがあいつをチームに入れられなかったとしても、ほかにいくらでも手はあった。

家産任務を終えるどころか、内務院に申請を出し、無事に任務を受けることさえ、ラインにとっては容易ではないのだ」


……


夜の帳は、すでに完全に下りていた。


一日中降り続いていた雪も、ようやく止んでいる。


ラインは一人、集落の通りを歩いていた。

道の両側に並ぶ竹楼は白い雪に覆われ、靴底が柔らかな積雪を踏むたび、微かな音を立てる。


冷え切った空気を胸いっぱいに吸い込むと、思考がいっそう冴えていった。


老女の家令からの誘いを断った後、ラインはサイラスたちの引き留めにも耳を貸さず、その場で別れて一人立ち去った。


「なるほど」


歩きながら、今日起きた出来事を一つずつ整理していく。


「叔父と叔母の本当の狙いは、サイラスを使って私を足止めし、遺産を取り戻せないようにすることだったのか」


年を越せば、ラインは正式に十五歳となり、分家して独立する資格を得る。


両親はすでに他界し、弟のライルも改めて別の両親のもとへ養子に出されていた。

ラインさえ滞りなく分家の手続きを終えれば、両親の残した遺産はすべて彼のものとなる。


しかし、遺産を取り戻すためには、少なくとも二つの段階を踏まなければならない。


第一に、自分がいかなる家族任務も受けていない状態で、内務院へ分家の申請を提出すること。

第二に、その後で内務院から課される家産任務を完遂し、独立して家産を継承する資格があると証明すること。


「サイラスと叔父夫婦は、しょせん同じ穴の狢だ。

第二段階はさておき、第一段階だけでも、あいつは私を完全に封じ込められる」


一族の規則では、精霊使い一人が同時に受けられる任務は一つだけと定められている。


これは本来、一部の精霊使いが大量の任務を同時に押さえ、ほかの者が何もできなくなることで、一族内部に悪質な競争が生まれるのを防ぐための規則だった。


だが、サイラスはそこを利用した。


腐泥の凍土の採取任務が終わった直後、彼はすぐさま野鹿の捕獲任務を受けている。


しかも、家族任務はチーム単位で発行される。

つまりサイラスが野鹿の捕獲任務を受けた瞬間から、ラインもまた、その任務に参加しているものと見なされるのだ。


この任務が完了するまで、ラインには内務院へ分家の申請を出す権利がない。


「野鹿の捕獲任務が終われば、サイラスは間違いなく、すぐ次の任務を受ける。

あいつはチームリーダーだ。任務を引き渡す際、必ず私より一歩早く動ける。

申請まであと一歩というところで、あいつは永遠に半歩だけ先回りし、私を門前に閉め出し続けられる」


ラインの眼差しは、ますます冷ややかになっていった。


決して高度な陰謀ではない。


だが、目に見えない縄のように両足へ絡みつき、彼が先へ進むのを妨げている。


それでもラインは、サイラスのチームに加わったことを後悔してはいなかった。


あの訓練場で、ハクはラインに三大勢力のいずれかを選ばせようとし、彼を難しい立場へ追い込んでいた。

サイラスの突然の勧誘は、むしろその場の窮地を解いてくれたのだ。


仮にあの場でサイラスを拒んでいたとしても、叔父と叔母は別の手段を用意しただろう。

暗がりに潜み、いつ襲ってくるか分からない刃ほど対処しにくいものはない。


今こうして罠の中へ足を踏み入れたからこそ、相手の仕掛けも見えてきた。


目に見える枷は、闇に隠された刃より、遥かに扱いやすい。


「この問題を解決する方法が、ないわけではない。

最も単純で手っ取り早いのは、サイラスを殺し、そのうえで叔父と叔母も暗殺することだ。

全員死んでしまえば、私の家産継承を妨げる者もいなくなる」


ラインは首を横に振った。

「だが、この方法は危険が大きすぎる」


サイラスも叔父夫婦も、二環の精霊使いである。それに対し、ラインは今なお一環頂位にすぎない。


現状の戦力で強引に仕掛けたところで、勝てるとは限らない。

それどころか、返り討ちに遭う可能性すらあった。


仮に三人の殺害に成功しても、その後始末がまた難題となる。


絶好の機会に恵まれ、外部の力や情勢を利用して三人を始末し、同時に自分を一連の事件から完全に切り離せるのであれば話は別だ。


しかし、そんな機会は望んだからといって得られるものではない。


ラインは使用人のアノを殺すことができた。ジャック一家も、何の躊躇もなく始末できた。


彼らは凡人であり、身分の低い奴隷にすぎなかったからだ。


この世界では、そのような人間を数人殺したところで、野犬を数匹始末し、雑草を何本か踏み折るのと大差ない。

一族の利益を損ねない限り、本気で調べようとする者などいなかった。


だが、精霊使いはまったく異なる。


精霊使いは一人残らずローデンの姓を持ち、一族が正式に認めた構成員だ。

誰であろうと、死ねば必ず一族の調査が入る。


ラインは無言のまま、自らの戦力を見積もった。


今動けば、返り討ちに遭う恐れがある。たとえ成功しても、さらに厄介な問題を招くだろう。


一族が本格的な調査を始めれば、今後の行動は必ず監視される。

そこから糸を手繰られ、酒飲のカイの遺蔵まで発見される可能性もあった。


「小さな問題を一つ消すために、その百倍も大きな問題を呼び込むなど、賢い選択ではない」


「……着いたか」


ラインは足を止め、目の前の建物を見上げた。


そこには、ひどく老朽化した竹楼が建っていた。


傾いた軒には分厚い雪が積もり、壁や支柱には至るところに亀裂が走っている。

建物全体が、今にも寿命を迎えそうな老人のように腰を曲げ、冷たい冬風の中で辛うじて命脈を保っていた。


竹楼を見つめるラインの顔に、懐かしむような色が浮かぶ。


ここは、前世の彼が借りて暮らした場所だった。


前世で叔父と叔母に家を追い出されたとき、ラインの手元には十五個にも満たない霊石しか残っていなかった。

数日間の野宿を経て、ようやく見つけたのがこの竹楼だったのだ。


あまりにも建物が古いため、家賃は集落内のほかの住居より遥かに安い。


ほかの家は通常、一か月分、あるいは三か月分の家賃をまとめて支払わなければならなかった。

だが、ここだけは一日単位で精算できた。


当時、貧困の底にいたラインにとって、唯一手の届く住居だったのである。


「ほかの家に叔父と叔母の仕掛けがあるかどうかは、私にも分からない

だが少なくとも前世の記憶から、ここがあの二人と無関係であることだけは確かだ」


ラインは片手を上げ、扉を軽く叩いた。


それから半刻も経たないうちに、大家との話はまとまった。賃貸契約を結び、二階の一室へ案内される。


部屋は狭く、ひどく簡素だった。


古びた床板は一歩踏むたび、不安を掻き立てるような軋みを上げる。

室内には寝台と掛け布団があるだけで、ほかにまともな家具はほとんどなかった。


掛け布団にはいくつもの継ぎ当てが施されていたが、それでも数か所に穴が開き、黄ばんだ綿が覗いている。


枕元には、一つの油灯が置かれていた。


大家は灯芯に火をつけ、簡単な説明を済ませると、そのまま部屋を出ていった。


ラインはすぐには休まず、寝台の上で足を組み、ゆっくりと両目を閉じた。


意識が空界へ沈み込む。


墨緑色の精神力で満たされた海には、波が生まれては消え、潮が寄せては返している。

その一滴一滴が、濃密な墨緑色を帯びていた。


空界を囲む四方の壁には、半透明の白い晶膜が形成されている。

硬く、隙間なく、一つに結ばれていた。


これこそ、一環頂位に達した空界の姿である。


次の瞬間、穏やかだった精神力の海が、突如として荒れ狂った。


轟――!


幾重もの墨緑色の大波が立ち上がり、狂暴な獣のように四方の晶膜へ襲いかかる。


大波が空界の壁に激突し、無数の墨緑色の飛沫となって砕け散った。

飛び散った精神力は、きらめく光の粒へと変わり、そのまま完全に消滅していく。


衝突は、途切れることなく続いた。


ほんのわずかな間に、空界の四割四分まで満たしていた精神力の海面は、見る見るうちに低下していった。


厚く強固な晶膜にも、次第に細かな亀裂が浮かび始める。


だが、ただ亀裂を生じさせるだけでは足りない。


一環頂位から二環初位へ突破するには、晶膜が自ら修復を始める前に、完全に打ち崩さなければならない。

そのうえで、破壊の中から新たな壁を作り上げる必要がある。


墨緑色の精神力は、後から後から晶膜へ押し寄せた。


亀裂は増え続け、互いに交差し、やがて広範囲へと広がっていく。

そのうちいくつかはさらに深くなり、はっきりと目に見える裂け目へ変わった。


しかし、そのときには精神力の海が、すでに枯渇しかけていた。


最後の波が晶膜に激突し、そのまま砕け散る。


もう、次の一撃を生み出す精神力は残っていなかった。


外からの圧力が消えると、晶膜はたちまち自己修復を始めた。

生まれたばかりの裂け目がゆっくりと閉じ、細かな亀裂も次々と消えていく。


ほどなくして、晶膜は元の姿へ戻っていた。


ラインは少しも意外に思わなかった。


ゆっくりと意識を引き戻し、再び両目を開く。

枕元の油灯は、すでに消えていた。

もともとほとんど油が残っていなかったのだ。ここまで燃え続けただけでも、十分だったと言える。


部屋は闇に沈み、窓枠の隙間から僅かな雪明かりが差し込んでいるだけだった。


ここには暖炉も、ほかの防寒設備もない。

ラインは長く座ったまま、ほとんど体を動かしていなかったため、冷気はすでに衣服を突き抜け、手足にまで染み込んでいた。


彼の漆黒の瞳は、夜の闇と溶け合っているように見えた。


「サイラスの封鎖を破る方法なら、殺すよりも簡単で、安全なものがある。二環へ昇ることだ

一環の精霊使いには、任務を自主的に放棄する権利がない。

だが、二環の精霊使いなら、一年に一度だけ任務を放棄できる」


ラインはふっと息を吐き、天井を見上げた。

「二環への昇格さえ果たせば、野鹿の捕獲任務から即座に離脱できる。

サイラスが次の任務を受けるより先に、内務院へ分家申請を出せばいい」


これが、最も直接的な方法だった。余計な危険もほとんどない。

唯一の問題は、二環への突破が決して容易ではないことだ。


ラインは寝台から下りると、狭い部屋の中をゆっくり歩き始めた。


初位から中位へ。中位から上位へ。そして上位から頂位へ。

これらはすべて、同じ環階内における小境界の突破にすぎない。


だが、一環頂位から二環初位への昇格は、環階そのものを越える大突破である。

両者の難易度は、比べることさえできなかった。


簡単に言えば、晶膜を打ち破るには、十分な爆発力が必要となる。

晶膜が自己修復を始める前に、極めて短い時間で何度も衝撃を与え、完全に破壊しなければならない。


ラインの資質は下等であり、精神力の海は最大でも空界の四割四分しか満たせない。


晶膜へ全力で衝撃を与えれば、その精神力は瞬く間に使い果たされる。


先ほどと同じように。


精神力が尽きれば、それ以上攻勢を続けることはできない。

一方、晶膜は極めて強い自己修復力を持っているため、さほど時間を置かず元どおりになり、それまでの努力をすべて無駄にしてしまう。


「特殊な手段を使わず、自力だけで晶膜を打ち破るには、通常、最低でも五割五分の墨緑色の精神力が必要になる。

だが、私の限界は四割四分だ。

だからこそ、資質は精霊使いの修行の行く末を決める、二番目に重要な要素だと言われている」


ラインはゆっくりと足を止めた。


いつの間にか、窓辺まで来ていた。

何気なく手を伸ばし、窓を押し開く。

窓越しに風が竹を騒がせ、窓を開けば雪は山に満ちていた。


皎々たる月光が山々へ降り注ぎ、白玉のような積雪が大地を覆っている。

見渡す限り、世界そのものが透き通った宮殿へと変わり、僅かな塵すら存在しないほど清らかだった。


雪明かりが、ラインの若い顔を照らす。


その表情は静かだった。深く寄せられていた眉間の皺も、徐々に解けていく。

漆黒の瞳は、月下に湧く幽泉のように深く、澄み渡っていた。


凍てつく風が、真正面から吹きつける。


少年は、ふいに笑った。

「雪に耐えて梅花麗し」


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