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目指すは永生 ~二度目の人生を歩む外道精霊使い~  作者: 朱色の豚
外道の本性

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27.霊石を力に、敵意を闘志に

「酒は全部、ベッドの下に置いてくれ」

ラインが指示すると、宿屋から来た四人の店員は、それぞれ数本の青竹酒を運び込み、ベッドの下へ順番に並べていった。


学堂の門を塞ぎ、他の生徒たちから霊石を集めたあと、ラインはその足で宿屋へ向かった。

そこで青竹酒を二十本まとめて購入したのだ。


一本につき霊石二個、合計四十個。

ラインはもともと霊石を二十三個持っており、残る五十六人から一個ずつ受け取ったことで、手持ちは一時七十九個まで増えていた。


その半分以上が、早くも酒へ変わったことになる。

残った霊石は三十九個。それでも、この量の青竹酒があれば、しばらくは酒虫(ヴィノーム)の餌に困らない。


「すべて置き終わりました、ライン様」


店員たちは深く頭を下げ、部屋から出ていった。

ラインは精霊使いであるうえ、一度にこれほど多くの酒を買った大口の客でもある。彼の前で失礼な態度を取ろうとする者はいなかった。


扉が閉まると、部屋は再び静かになった。

すでに夜は深い。ラインは明かりをつけず、ベッドに腰を下ろして目を閉じる。


そのまま瞑想に入り、意識を空界へ沈めていった。


青銅色の精神力が海を作り、空界の四十四パーセントほどを満たしている。

これが、末等資質であるラインの蓄えられる限界だった。


霊海の上空では、逆矢が再び気配を消して眠っている。

白く丸々と太った酒虫は海面に浮かび、ときおり水中へ潜っては、体を左右に揺らしながら浮かび上がっていた。


ラインが意識を向けると、酒虫はすぐに白い球のように丸まり、霊海の上空へ昇っていく。


「始めるか」


霊海の十パーセントにあたる青銅の精神力が、水流のように酒虫の体内へ吸い込まれた。

酒虫の体が白く輝き、酒の香りを含んだ淡い霧が、体表から周囲へ広がっていく。


ラインはさらに十パーセント分の精神力を動かし、その霧の中を通過させた。


酒の霧が精神力へ溶け込み、その量は一気に半分まで圧縮される。

色も明るい青緑色から、より濃く深いものへ変わった。


量は五パーセントに減っていたが、その質はすでに一環中位へ達している。


酒虫の力は、使用者の精神力を一段上の質へ凝縮することだった。


精霊使いの環階は一環から九環まであり、それぞれが初位、中位、上位、頂位の四段階に分かれている。

現在のラインは一環初位だが、酒虫を使えば、一環中位の精神力を先に手に入れられる。


ただし、その代償は小さくない。


中位の精神力を五パーセント作るたび、初位の精神力を二十パーセント消費する。

四十四パーセントある霊海をすべて中位の精神力へ入れ替えるには、空になった霊海を四回近く回復させなければならない。


自然に回復するのを待っていては、あまりにも時間がかかる。


ラインは目を開け、袋から卵ほどの大きさの霊石を一個取り出した。

灰白色の石を手のひらに握ると、中に蓄えられていた純粋な精神力が空界へ流れ込み、下がっていた霊海の水位がゆっくりと戻り始める。


霊石は、力に変えるためのものだ。

手元に残して眺めていても、強くはなれない。


「一族から支援を受けられないなら、自分で手に入れるしかない」

「これからは学堂が補助を出すたび、門前で私も一度ずつ回収するとしよう」


今日の一件がどのような結果を招くのか、ラインは少しも心配していなかった。


この世界では、少年同士の節度ある争いまで禁止されてはいない。

村はたびたび魔獣や災害に襲われ、精霊使い同士が資源を巡って殺し合うこともある。


一族が必要としているのは、恐れずに戦える者だ。

傷一つ負ったことがなく、敵を見れば逃げ出すような温室育ちではない。


命を奪ったり、消えない傷を残したりしないかぎり、学堂が生徒同士の喧嘩へ介入することは少なかった。


ラインも後頭部や急所への攻撃を避け、手のひらを使った打撃や投げ技を中心に戦っている。

倒された生徒たちはひどい目に遭ったように見えるが、実際には軽い怪我しかしていなかった。


ラインは、殺すことそのものに喜びを感じる人間ではない。


殺人も、欺きも、恐喝も、彼にとっては目的を達成するための手段にすぎなかった。

殺さずに霊石を手に入れられるのなら、わざわざ余計な恨みと面倒を増やす理由はない。


夜がさらに更けると、巡回中の夜警が鐘を鳴らした。

火事や魔獣、そして村へ忍び込む外部の精霊使いに注意するよう、住民へ知らせるためのものだった。


そんな時刻になっても、カルの屋敷では書斎の明かりが消えていなかった。


「今日、ラインにやられたそうだな」

カルは、目の前に立つ孫を見つめた。


メルの右目は大きく腫れ、その周囲が青紫色に変わっている。

彼は怒りを隠そうともせず、祖父へ訴えた。


「はい、お祖父様。あいつは学堂の門を塞ぎ、私の霊石まで奪いました」

「それなのに、守衛たちはすべてが終わるまで姿を見せなかったのです。どうか、あいつを罰してください!」


カルは静かに首を横へ振った。


「お前が失ったのは霊石一個だけで、大きな怪我をしたわけでもない。子供同士の争いへ、私が介入する理由はない」

「たとえ重傷を負わされていたとしても、私がお前に代わって報復することはないだろう」


メルは一瞬、言葉を失った。


「自分の力で、ラインを倒せということですか?」


「それもある。だが、それだけではない」

カルの声が低くなった。


「お前は自分一人ではなく、我々の派閥の未来を背負っている」

「私は裏から資源を与えることはできるが、選ばれた後継者が年長者の助けなしでは何もできないと思わせるわけにはいかん」


カルは机に置いた指を、ゆっくりと叩いた。


「お前を中等資質に見せかけたのも、派閥に優秀な後継者が必要だったからだ」

「これからは接近戦も真剣に鍛え、自分の手でラインを倒せ」


「同時に、誰よりも早く一環中位へ進み、クラスリーダーの座を奪え」

「それができて初めて、我々を支持する者たちも離れずについてくる」


メルは胸の中に残る不満を押し殺し、深く頭を下げた。


「分かりました、お祖父様」


同じころ、ライルもラジェット夫妻へ今日の出来事を伝えていた。


「あのろくでなし、自分の弟からまで霊石を奪うなんて!」

「学堂から追放されるに決まっているわ!」


ラジェットの妻は怒鳴ったが、その声には隠しきれない期待がにじんでいた。

しかし、ラジェットはすぐに首を振った。


「追放はされない。守衛が最後まで動かなかったということは、初めから近くで見張り、状況が悪化しないか確かめていたのだろう」


「学堂は、限度を守った争いまで禁じてはいない」

「そんなことをすれば、あの子たちは将来、魔獣を前にして立ち尽くし、殺されるのを待つだけになる」


「では、このまま許すのですか?」


「霊石一個のために年長者が直接動けば、そちらのほうがルールを壊すことになる」

「だが、今回の出来事も使い方次第では役に立つ」


ラジェットは使用人を呼び、新しい霊石を一個持ってこさせた。

それをライルへ差し出し、落ち着いた声で言い聞かせる。


「失ったのは、たった一個だ。お前には上等資質がある」

「今は誰よりも早く一環中位へ進み、クラスリーダーになることだけを考えろ」


「二度とラインに先を越されるな」


「分かりました、父さん」


ライルは霊石を受け取り、頭を下げて部屋を出ていった。

その背中を見送りながら、ラジェットの目つきが少しずつ冷たくなっていく。


「ラインは、実の弟からも容赦なく霊石を奪った」

「何度もその事実を思い出させれば、やがてライルは完全に兄と決別し、本当の意味でこちら側の人間になるだろう」


部屋を出たライルは、そんな考えを知るはずもなかった。


彼は今も、もしラインが本当に学堂から追放されることになったら、自分は兄のために頼み込むべきなのか迷っていた。

ラインは自分の霊石まで奪った。腹立たしくないはずがない。


それでも二人は、同じ血を分け、同じ顔を持って生まれた双子だった。

何もせずに見捨てれば、一族の者から冷たい人間だと思われるかもしれない。


兄を恨む気持ちと、見捨てることへの不安。

その二つが頭の中で何度もぶつかり合い、ライルは夜が深くなっても落ち着くことができなかった。


ところが三日が過ぎても、学堂はラインを追放せず、何の罰も与えなかった。


納得できない二、三人の生徒が次々とラインへ勝負を挑んだが、全員があっさりと返り討ちにされた。

他の生徒たちも、接近戦を鍛えなければ、いつまでたっても霊石を取り戻せないと理解し始める。


その日を境に、接近戦の授業はまるで別物になった。


以前は眠そうにしていた生徒たちまで真剣に体を動かし、授業が終わってからも教官を追いかけて質問するようになった。

接近戦の教官は大喜びだったが、ラインだけは以前と変わらず、ほとんど練習へ加わらなかった。


一族の年長者たちも、子供が自分の力でラインを倒すよう、裏から励ましていた。

大人が直接手を出さないかぎり、少年たちの競争が激しくなるほど、学堂にとっては都合がよい。


一度の恐喝によって、この年の生徒たちは予定よりも早く、力と資源が切り離せないものだと学んだのだ。


報告を聞いた学堂長老は、笑いながら言った。


「お前が最も怠けていると言っていた生徒こそ、他の全員が急に努力し始めた原因ではないか」


その一方で、ラインは生徒全員にとって共通の敵になった。

誰も自分から彼へ話しかけようとせず、全員がいつか自分の手でラインを倒す機会を待っていた。


さらに四日が過ぎ、学堂が再び霊石の補助を支給する日が来た。


授業を終えた生徒たちが門まで来ると、見慣れた姿が出口の中央に立っていた。


「ライン、一度奪っただけでは足りないのか?」


ラインは両手を背中へ回したまま、平然と答えた。


「一人につき霊石一個だ。払えば、殴られずに済む」


「調子に乗るな!」


真っ先に飛び出したノアが、ラインの顔を狙って拳を振るった。

ラインは半歩横へ動いて拳をかわし、その手首をつかんで前へ引く。


同時に肩をぶつけて体勢を崩すと、ノアが踏みとどまるより早く胸へ一撃を入れた。

ノアの体が浮き、そのまま背中から地面へ倒れる。


この七日間、ノアは確かに足運びと防御を真剣に練習していた。

動きも前回より速くなっている。


しかし、肩が動いた瞬間には、ラインはすでに拳の軌道を見抜いていた。

その程度の進歩では、五百年の戦闘経験を持つラインを驚かせることなどできない。


「役立たずめ。次は俺だ!」


メルも続けて飛びかかったが、何度か攻撃を交わしただけで足を払われ、地面へ倒された。

腕を背中へねじ上げられ、そのまま身動きが取れなくなる。


他の少年たちも、次々とラインへ勝負を挑んだ。

だが、意地になっていた彼らは、誰も他人と手を組もうとしない。


その結果、一人ずつ前へ出ては倒されていった。


途中で全員による攻撃を提案する者もいたが、すぐに反対の声が上がった。


数十人で囲み、ようやくラインを倒して霊石を取り戻したとしても、

そんな勝利を誇りたい者はいなかった。


彼らは戦い方を学び始めたばかりだが、ラインには五百年分の経験がある。


たとえ身体能力と精神力が同程度でも、ラインはすべての攻撃を正確に避けられる。

そのうえで、最小限の動きと力だけを使い、相手の戦闘力を奪っていった。


十五分も経たないうちに、門の前は倒れた生徒たちで埋まった。


腹を押さえてうめく者もいれば、痛めた腕を抱えて動けない者もいる。

それでも、本当に重傷を負った者は一人もいなかった。


ラインは再び重くなった霊石の袋をしまい、何事もなかったように学堂を立ち去った。


その姿が見えなくなってから、近くで待機していた守衛たちが一斉に駆け寄ってくる。


「ほら、ぼさっとするな! 若様方を早く助け起こせ!」


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