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目指すは永生 ~二度目の人生を歩む外道精霊使い~  作者: 朱色の豚
外道の本性

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25.霊石を差し出せ、五百年の戦闘経験

少年たちは驚き、たちまち怒りの声を上げた。

「なんだって? 聞き間違いじゃないよな?」

「ライン、頭でもおかしくなったのか? 学堂の門を塞いで、俺たちから霊石を脅し取るつもりかよ!」

「金がなくて気でも狂ったか? よくも俺たちに目をつけたな」

「どけ! 末等のお前が、この俺の道を塞ぐ気か。さっさとどかないと、蹴り

飛ばして――ぐっ!」


ラインが突然動いた。

右手を手刀にして鋭く振り下ろし、その縁で少年の首の左側を正確に打つ。


突然攻撃されるとは思っていなかった少年は、悪態をついている途中で強い一撃を受けた。

白目をむき、その場に崩れ落ちる。


「くそっ、本当に手を出しやがった!」


少年たちは騒ぎながら、反射的に一歩後ろへ下がった。


「こいつ、本当に気を失ってるぞ。どうするんだよ!?」

「どうするも何もない! こっちはこんなに大勢いるんだ。全員で飛びかかって、こいつを叩きのめせ!」

「そうだ! 一人で俺たち全員に喧嘩を売るなんて、命知らずにもほどがある。みんなで行くぞ!」


だが、彼らが動くよりも早く、ラインが先に動いた。

数歩踏み込み、自ら少年たちの中へ飛び込んでいく。


斜めに振り下ろした手刀が、一人の首を打った。

その少年も白目をむき、力なく地面へ倒れる。


「うおおおっ!」

別の少年が叫びながら、大振りの拳を横から叩きつけてきた。

ラインは身を低くしてかわすと、すぐに片足を上げ、少年の股間を蹴り上げる。


「ぎゃああああっ!」

先ほどまで勇ましかった叫び声は一気に高くなり、鋭く悲痛な声へと変わった。

少年は両手で股間を押さえ、膝から地面へ崩れ落ちると、そのまま転げ回りながら悲鳴を上げた。

全身から冷や汗が噴き出している。


ラインは手刀を振るい、羊の群れへ飛び込んだ虎のように少年たちを倒していく。

彼には五百年に及ぶ戦闘経験がある。

それに対して、相手は修練を始めたばかりのひよっこにすぎない。


彼らがラインに勝てるはずもなかった。

瞬く間に全員が倒され、気を失った者もいれば、地面に横たわったまま痛みに耐えている者もいた。


「これは、どういうことだ!?」

少し遅れてやって来たノア・ローデンが、驚きの声を上げた。

学堂の門の前にはラインが立ち、その周囲には五、六人の生徒が倒れている。


「ラインが、俺たちの霊石を脅し取ろうとしてるんだ!」

腹を押さえて倒れていた少年が、怒りに任せて大声で訴えた。


「まだずいぶん元気そうだな」

ラインは平然と答え、その少年の腹を強く蹴りつける。


「おぐっ!」

少年は短い悲鳴を上げ、海老のように体を丸めた。

顔には恐怖が浮かび、鼻水と涙を流しながら、もう口を開こうともしなかった。

その光景を見た生徒たちは、ラインの容赦のなさに息を呑んだ。


「大人しく一人一個、霊石を差し出せ。そうすれば帰してやる」

「払わないのなら、地面に転がっている連中と同じ目に遭わせる」

ラインは大きく一歩踏み出し、冷たい声で告げた。


「ふざけるな! 末等ごときが、中等資質のこの俺に勝てると思っているのか!」

ノア・ローデンは怒りに任せて拳を振り上げ、真っ先にラインへ飛びかかった。


ラインは足首をわずかにひねり、体を横へずらして拳をかわす。

続けて左手の人差し指と中指をそろえ、鎖骨の間にある喉元のくぼみを正確に突いた。


ノアの目の前が真っ暗になり、そのまま地面へ倒れた。

意識は完全に失われている。


「……っ」


あとに続こうとしていた少年たちは、一斉に息を呑んだ。

その足が止まり、ラインを見る目に警戒と恐怖が浮かぶ。


ラインの攻撃は、彼らの目には急に得体の知れないものに見え始めていた。


彼らが軽く見ていた基本の格闘術でも、授業では人体の弱い部分について触れられている。

人体には攻撃されれば簡単に力を失う場所がいくつもあり、ラインが狙ったのは、その中でも特に効果の大きい部分だった。


弱い力でも相手を気絶させられる一方、強く打ちすぎれば命に関わる。

しかし、ラインは力を正確に調整していた。


倒された者は気を失うか、激しい痛みで一時的に動けなくなっているだけだった。

本当に大怪我をした者は一人もいない。


これこそが、五百年に及ぶ戦闘経験の恐ろしさだった。


「払うのか、払わないのか?」

ラインはさらに一歩進み、残った少年たちへ迫る。


少年たちは互いに顔を見合わせた。

やがて歯を食いしばり、あるいは怒鳴り声を上げながら、一斉にラインへ飛びかかる。


ラインは攻撃をかわしながら、次々と手刀や蹴りを繰り出した。

今の力こそ低いが、長い年月をかけて身につけた技量と判断力は残っている。

頭は氷のように冷え、すべての動きが速く正確だった。


どさり、どさりと少年たちが倒れていく。

わずか数回の呼吸のあと、地面には再び大勢の生徒が転がっていた。


「ひどい……怖すぎる!」

「この人たち、死んでないよね……?」

飛びかからずに残っていた数人の少女は、目を大きく見開いていた。

地面に倒れた少年が増えるたび、その体はますます大きく震えていく。


ラインが彼女たちへ視線を向けると、全員の顔から血の気が引いた。

慌てて両手を振りながら、後ずさる。


「やめて、こっちに来ないで! 出す、出すから!」

ラインは数個の霊石を受け取り、彼女たちを通した。

少女たちは足をもつれさせながら門を出ていき、入れ替わるように次の生徒たちがやって来る。


学堂から外へ出るには、この門を通るしかない。

ここを塞いでいれば、すべての生徒を待ち受けることができた。


「なんだよ、これは!?」

新たにやって来た少年たちは、目の前の光景に目を見開いた。


「あそこで倒れているの、ノア・ローデンじゃないか?」

メルも意識を失ったノアを見つけ、呆然と立ち尽くす。


ラインが条件を告げると、少年たちは怒って襲いかかった。

そして、すぐに地面へ倒れた。


「長老様、いつまで見ているおつもりですか? このまま止めなければ、死人が出るかもしれません」

護衛たちは、不安そうに学堂長老へ訴えた。

「ラインはあまりにも勝手がすぎます。学堂の門前で、堂々と仲間から霊石を脅し取るなど、決まりを何だと思っているのでしょう」

「長老様が命じてくだされば、すぐにでも捕らえてまいります」


ラインが門を塞ぎ、他の生徒から霊石を脅し取り始めたことには、最初から護衛たちも気づいていた。

しかし、精霊使いではない彼らには、学堂の生徒を罰する権限がない。そのため、先に学堂長老へ報告していたのだ。


ところが、知らせを受けた学堂長老は、すぐには止めようとしなかった。

学堂の上階へ上がり、窓から門前の様子を眺めている。


「どうやら、この少年には戦いの才能があるようだ」

学堂長老は、見れば見るほど興味を引かれていった。


今日の月刃試験で見せたラインの動きは、長老の心に疑問を残していた。

しかし今、たった一人で他の生徒を相手にしながら、まるで長年戦場にいた者のように戦う姿を見て、その疑問がようやく解けた。


この世界には、生まれつき戦いに対する勘が鋭い者がいる。

表からは見えにくい才能だが、彼らは戦うことを得意とし、戦いの中で次々と新しい動きを思いつく。

ときには、誰も予想しなかった結果を生み出すことさえあった。


「この少年は、生まれつき戦闘型の精霊使いなのだろう」

「惜しいな。資質が末等では、やはり先に進むにも限界がある」

学堂長老は、残念そうにため息をついた。


「長老様、この騒ぎを止めるおつもりはないのですか?」

「このまま好きにさせていては、学堂にも悪い影響が出るのではありませんか?」

そばに立つ護衛たちは、どれも不安そうな顔をしていた。


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