表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
海賊姉妹  作者: 柳田健二
PR
12/14

第12話「復活の花-爆発する村-」

「結局復活の花に関する情報は得られなかったな…、調査隊にも聞いて回ったが花については心当たりがなかったらしいし、またしらみつぶしになりそうだ」


「ユウト…」


今後の話をするグレイブの隣で、ナギはポケーっと遠くの海を眺めていた


「…ナギ、もうやめにするか?」

「…ッ!!」


その一言に驚き、ナギは飛び上がるようにグレイブの方を見た


「花なんて本当はないのかもしれない

希望を持たせてしまって悪いが…

気落ちするばかりでは旅は続けられないんじゃないか?」

「いえ、そんな事はないです…すみません…

ユウトが…、昔の友人が死んだことがまだ実感できなくて…」


ナギは少し悲しい表情をしたあと

真剣な顔つきで返した


「憂鬱ではないです、私はまだ戦えます」


「そうか」


グレイブは落ち着いた目でそう返すと

(ふところ)からあるものを取り出し、ナギに手渡した


「これは…」

「マモノの巣穴で拾ったものだ」


それは(だいだい)色に輝く魔石だった


「この色合い、おそらくは運の魔石だろう

持ってると運気を数倍に上げてくれる代物だ

戦闘ではあまり出番はないが、お守り程度にはなるだろう」


グレイブはそう言うと(かじ)の方へと歩いていった


ナギはしばらく魔石を眺めた後、そっとポケットにしまい、やがて船はとある島に到着し

二人はいつものように陸に降りて

島の探索を開始したーーー


二人が島を歩いていると、突然遠くの方から

「ドーン」と言う激しい音が聞こえてきた


「なんだ?」


とグレイブは驚き、急いで向かうとそこには

村があり、倒壊した家からは黒い煙が上がっていた


「こいつは…」


辺りを見渡すと瓦礫(がれき)の近くで

横たわる(すす)まみれの村人がいた


「大丈夫かあんた!!」

「今のは…!?」


駆け寄って声をかけると

村人はゴホゴホとむせ返りながら言った


「雲の呪いです…この村はあの雲に覆われて以来、ずっとあの爆発に怯えながら暮らしていました…」


「爆発?!」


すると遠くの方で爆発音と複数の悲鳴が聞こえてきた


「ひぃぃぃぃ」

「ヤメテー」


すぐに向かうとそこには何もないところから爆発が発生し、逃げ惑う人々の姿があった


「こいつは一体…!?」


「たすけ…ぶっ」


二人が絶句していると

一人の村人の頭が吹き飛び、その場は血の海となった


「グレイブ…ッ」


「ナギ…!!」


グレイブは咄嗟に怯えるナギを後ろに下がらせ、身構えると

やがて爆音は鳴りをひそめ

周囲には激しく損傷した人々の残骸だけが残された


二人は安全を確認すると

生存者を探しに村の中を散策した


やがて村人を見つけると

グレイブは詳しく話を聞いた


「この爆発について何か心当たりはないか?

例えばある場所にマモノが徘徊するようになったとか」


「そういえば…」と村人は神妙な顔で話し始めた


「この村から北にある要塞に奇妙なマモノが彷徨(うろつ)くようになったと村の人たちが言っていました…、あそこは昔、異国の兵士を迎え撃つために作られた場所で、今は使われなくなって廃墟となっていますが…」


「ナギ…」

「うん…」


グレイブの問いにナギは頷くと二人は村を離れ、北の廃要塞へと向かったーーー


「ソザイ島での一件を踏まえると

こいつはおそらくマモノの仕業だろう

…向こうでは歩く屍だったが、こっちでは爆発か…」


グレイブは腕を組みながら難しい顔でうなった


「マモノを倒せば爆発もおさまる…?」

「多分な」


グレイブは落ち着いた口調でそう返すと

やがて二人は廃要塞の見える場所へと辿り着いた


「気をつけろ」

「う、うん…(でも、どうやって…?)」


不安を抱えつつもナギが一歩進むと

突然目の前が赤く光り、その瞬間

大きな爆発が起こった


「ナギ…ッッ!!」


グレイブは咄嗟にナギの腕を掴むも

間に合わず、二人は爆発に巻き込まれたーーー


「ううん…」

目を覚ますと二人は青白く光る場所にいた


「ここは…」

二人がゆっくりと起き上がり、辺りを眺めていると、あるものに目を奪われた


それは壁一面にぎっしりと貼られたカプセルのようなもので、よく見ると中には人影のようなものが見えた


「これは…」

ナギは目を大きくさせて

カプセルに近づいた


「ママだ…パパもいる…」


ナギはカプセルをなぞるように触れながら

ふと足を止め、小さく呟いた


「メイ…?」

そこには生きたように眠る

メイの姿があった


「ルーナ…」

グレイブはある少女を見上げながらふと呟いた


「グレイブ、ここは…?」

「おそらく…冥界、魂の貯蔵庫だ

昔、本で読んだことがある」


グレイブは動揺しながら続けた


「死んだ人間の魂が運ばれてきて

天に召される間、一時的に保存、管理される場所だ、まさか実在したとは…」


グレイブの話にナギは思わず息を呑んだ


「通常生きてるものは辿り着けない場所だ」


「死んだの?私たち…」


「もしくは一時的な臨死状態にあるのかもしれない、おそらくはあの爆風の影響で…」


「私たち、元に戻れるのかな…」


「さぁな、だがいずれにしても危険な状態なのは確かだろう

どうにかして目覚める方法を探さなければ…」


グレイブはそう言うと通路の奥へと進み、

ナギはカプセルを横目に見ながら彼の後を追いかけたーーー


冥界を駆け抜けていく二人

ふと見ると視線の先に黒い影が見えた


「グィピピィ…」


それは全身真っ黒で目だけが赤く光る異形の姿をした怪物達だった


「冥界の守護者(ガーディアン)だな

この施設の警護を任されている」


「倒した方がいいの…?」


「あぁ、ここを出るためだ、仕方ない、障壁は打ち破らねば…」


グレイブは剣を構えると、怪物の元へと走った


怪物は鳥のような見た目や四足歩行をするものなど豊富な姿をしており、二人はそれらを蹴散らしながら出口を目指した


「グィピピ…!」


しばらく進むと

遠くにいた目玉の怪物が

走るナギ目掛けてビームを撃ってきた


「ナギ!!」


グレイブの叫びに反応して

ナギは咄嗟に後ろへ飛んでビームを回避した


「オラァッッ」

「グィピッ…!?」


目玉の怪物はグレイブの剣に当たり、消滅した


「(なんだか、悪いことをしてるような気がする…)」


ナギは消滅していく怪物を見て妙に心が締め付けられるのを感じた


「こっちだ!!」


グレイブの声に反応して、ナギは彼の後を追いかけた


「ん?」


ふと何かに気づいたグレイブは足を止め、隅の方に落ちてる玉を拾い上げた


「こいつは…」


それは黒く輝く魔石だった


「どうしたの?」


ナギの声に反応したグレイブは魔石を懐に入れると

「なんでもない」と言って、再び走りだした


やがて眩しい光を放つゲートのようなモノを見つけた


「あそこだ!!飛び込め!!」


グレイブの合図にナギは強く頷き、

二人は光に飛び込んだーーー


光を抜けるとそこは森の中だった


「ここは…、戻ってきた!?」


驚いたナギが周囲を見渡した


「まさか肉体ごとだとはな…」


グレイブは立ち上がり、ナギに手を差し伸べた


「ひょっとすると、これのおかげかも…」


グレイブに起こされながら

ナギは運の魔石を手に取った


「冥界の魔石か…」

「?」


そう呟くとグレイブは思い出したかのように

冥界で拾った魔石を懐から取り出した


魔石を見つめるグレイブを

ナギが不思議そうに横から覗き込んだ


その瞬間、グレイブの体が大きく爆発し

ナギは尻餅をついた


目の前には上半身から煙を吹くグレイブの足があった


「グレイブ…ッッ!!」

「……」


応答のない下半身

やがて、煙が薄まるとグレイブは何事もない顔でそこに佇んでいた


「グ、グレイブ…?」


ナギは驚いた顔で尋ねた


「無事なの…?」

「あぁ、ナギ…こいつはひょっとすると

あらゆる事象を無効化する無の魔石なんじゃないか?」

「無の…魔石…?」


混乱するナギをよそにグレイブは説明をし始めた


「こいつを持ってる間は

相手のどんな攻撃も無効化する

さっきの俺みたいに…」


グレイブはそう言うとナギに手を向けた


「ナギ、運の魔石を」


ナギから運の魔石を手に取ると

無の魔石をナギに手渡した


「こいつはお前が持ってろ」


「無の魔石は持ってるだけで常時効果を発揮する

そいつが本当に無の魔石なら、爆発を無効化できるかもしれない」


グレイブはそう言うと

守りの魔石を取り出し、強く握りしめた


「要塞は目の前だ」


その後、二人は森の中を進み

やがて要塞へと辿り着いた


要塞は高い壁で覆われており

その内部には錆びてボロボロになった砲台や槍などが無造作に置かれ、剥がれ落ちた瓦礫などが散乱していた


鉄格子を抜け、広間に出ると

奥の方に奇妙な影があるのが見えた


回転する歯車とそれに連動して動く棒状の可動域に、軍人が履くようなズボンを着用した男の足という奇妙な外見をしたそれは、ヨロヨロと歪な動きをしながら歩行していた


可動域の先端には電動ノコギリのようなものが取り付けられており、機械音を鳴らしながら激しく回転していた


「なんだこいつは…」

「足が人で…上が機械だ…」


グレイブはすぐに剣を構え、ナギも戦闘の構えを取った


マモノの振るったノコギリが

グレイブの喉元を捉え、グレイブは咄嗟に後ろに避けると素早く前へと走り、その機械仕立ての体に剣を振り下ろした


しかし、ノコギリで防がれてしまった


「チッ…!!」


ナギはその隙にマモノの後ろへと滑り込み

その無防備となった体に短剣を突き刺そうとした


「…っ!?」


しかし、マモノの体は歯車と木製の支えなどで構成されており、物理的にダメージを与えるような場所がなかった


「刺すところがない…!?」


二人は一旦、マモノから離れ

グレイブはナギに合図を送り、指示を出した


「ナギ、俺がやる!!」


グレイブは大剣をしまうと、ナギはマモノの元へと走り、ノコギリに向かって短剣を振り下ろしせめぎ合いになった


その隙にグレイブはマモノの後ろへと回り、その体目掛けて大剣を振り下ろした


木製の割れる音が響き

マモノの体は粉々に砕け散り、地面に激しく倒れた


「ふぅ…なんとかなったな」

「う、うん…」


マモノを倒した二人は剣をしまい

先へと進んだ


城壁内部の通路を通り

階段を登ると蛇のようにうねった屋上に出た


しばらくすると遠くから複数の鳴き声が聞こえ

3匹の鳥が飛んできて、二人を囲い込んだ


青い体色に歯車のような顔

その中心の穴から舌を伸ばす

大きな怪鳥だった


「ピギーーーッッ」


「チッ…!!」


グレイブは咄嗟に剣を取り出し、マモノへと走った


マモノを撃破したあと

その後も襲いくるマモノ達を倒しながら

二人は奥へと進んで行き、やがて中央の建物のてっぺんまで辿り着いた


そこは丸い形をしていて

床には丸い切れ目がついていた


「どこだ??」


二人は辺りを見渡すが、マモノの姿は見えず

ウロウロとしていた


「ここにはいないのか…」


グレイブがきた道を戻ろうとすると

突然目の前が赤く光り、大きな爆発が起こった


「グレイブ…!!」


グレイブは間一髪、後ろへ避けて無事だった


すると丸い床が突然動き出し、ナギは慌ててその場から離れると下の方からなにやら鎖を巻くような機械音が近づいてきた


「こいつは…」


やがて機械音が鳴りをひそめると

何かが固定される音が響き、大きな影が姿を現した


二人の前に姿を現したそれは

大砲のような見た目をしたマモノで

歯車のような車輪に鳥の足を模した棒状の可動部品で佇んでいた


「ゴォォォォン…」


「ナギ、やるぞ」

「は、はい…!!」

「おそらくこいつが、村で起きてる爆発の元凶だ」


二人は構え、戦闘体制に入ったーーー


マモノは砲口を赤く光らせると

弾を発射する動作をした


ドーンという音は聞こえたが、弾が発射されたような痕跡は無く

グレイブ達が首を傾げていると

突然何もないところから爆発が起きた


「く、こいつが…ナギ!!」

「はい…!!」


グレイブが指示を出すと

ナギは警戒しながら力の魔石を握りしめ、短剣を取り出して前のめりに構えた


マモノは再び砲撃を開始すると

二人に爆発が襲いかかった

ナギは爆発を回避してマモノの周りを走った


「なんとか奴の隙を見つけないと…!!」


ナギが反撃の隙を窺っていると

マモノは下に向けて砲撃の動作をした


「!!」


ドーンと言う音と共にナギの目の前で爆発が起きた


「こっちを向いてなくても…!?」


ナギは思わず立ち止まり、その場から逃げるように離れた


マモノは更に上を向き、何発も発射する動作を繰り返し、周囲に複数の爆発を発生させた


「くっ…!!はっ…!!」


グレイブは爆発に翻弄され、マモノに近づけないでいた


そしてナギも爆発を回避していたが

ついに被弾してしまった


「ぐぅ…!!くっ…」


爆発に巻き込まれ、ナギは強く目を瞑った


「…??」


しかしナギは違和感を覚え、そっと目を開くと

そこには赤く燃える世界が広がっていた


「なんだ…これ??炎に包まれてるのに

熱くない…いや、守られてる??」


ナギは目の前で炎が過ぎ去っていく様子を見て、不思議な感覚になった


「グレイブがずっと動けないでいる…

無の魔石の効果…これが…」


ナギは目をかっぴらき、マモノの元へと走った


見えない砲弾による爆発を物ともせず

マモノの足元付近まで来ると

下から突き上げるように短剣で反撃した


「てっきり避けたと思ってたけど

もしかして、あの時も被弾してたのかな…?」


砲口の根本(ねもと)部分を真っ二つに両断し

マモノの攻撃手段を奪った


「グォォォォン…!!」


突然のことに驚いたマモノはバランスを崩し、

尻餅をつくように腰から倒れた


「すごい…豆腐のようにサクッと切れた…!!」


ナギはマモノの方を睨み、その丸い胴体目掛けて短剣を振り下ろした


「これが、無の魔石のチカラ…!!」


振り下ろされた短剣はマモノの丸い胴体を真っ二つに両断した


「グエッ…ぷっ…」


マモノは声にならない声で数秒鳴いたあと

眩しい光を身体中から放ち、大きな爆発音をあたりに響かせるとナギを巻き込み、マモノは粉々に吹き飛んだ


しばらく経ち、煙の中からナギの姿が見えてきた


「ふぅ…」

「ナギ」


ため息をつき、力を抜くナギを見て

グレイブは剣をしまい、ナギの方へと歩いた


「よくやった」


「はい…!!」


ナギはグレイブに褒められ

思わず元気な声が出た


「爆発の正体はやはりこいつか…」


グレイブはマモノの残骸を見てふとつぶやく


「あの爆発に耐えるとは

やはり、その魔石は本物だな

あらゆるものを無効化し、攻撃を防ぐことができる」


「グレイブ…、この魔石は防ぐだけのものじゃないよ」


すごいものを手に入れたと

ナギは内心震えながらもそっと魔石をズボンにしまった


その後、二人は村へと戻り

花の情報を聞き出そうとしたが

真新しい収穫は得られず

感謝する村人達に別れを告げると

二人は船に戻り、次の目的地へと向かったーーー



復活の花-爆発する村-(完)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ