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海賊姉妹  作者: 柳田健二
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第10話「復活の花-カリブ島-」

ユラユラと海に揺られる中、

グレイブとナギの二人は地図を眺め、次の目的地を模索していた


「順番で行くなら次はここが妥当だな」


グレイブはある小さな島へと指を差し、目的地を決めた


グレイブが地図を丸めていると

ドンっと激しい音が船内に響いた


「なんだ?」


驚いて船の外を見に行くと

下の方で何やらバシャバシャと泡立っているのが見えた


「あいつらは…」


しばらく眺めていると何体かの黒い影が船の方へと勢いよく飛び上がり、赤い目を鋭く光らせてきた


それはサカナのような見た目をした人型のマモノで手には鋭い槍が握られていた


「チッ…ナギ、構えろ」

「はい…!!」


二人が構えるとマモノ達が一斉に襲いかかってきた


「ふん、乗り込む船を間違えたな」

「ッ…!!」


マモノ達と交戦してしばらく

二人が背中合わせに構えていると

ポツンッと水の跳ねる音が聞こえてきた


「…!?」


「雨…!!」


「くっ、こんな時に…部屋に戻るぞ!!」


ナギはマモノ達を蹴散らしながらグレイブと共に部屋へと避難した


その後、雨は一層激しさを増し

二人は警戒しながら外を眺めた


やがて雨は止み、いつの間にかマモノ達もいなくなり、グレイブは外に出て運転を再開した


その後、島へ到着し

二人は船から降りて辺りを見渡した


「ここは確か、カリブ(とう)という島だな

大陸競争時代、海賊達の拠点になっていた島だ」


「海賊…」


ナギはその言葉を聞いてふと昔を思い出した


「くそー、ユウトのやつ!」


「またユウトにバカにされたの?」


「うっさい!」


パジャマ姿で苛立つメイに

呆れた目を向けるナギ


「いつもいつも、ノロマだの腕が鈍いだの

偉そーにして!!」


「こうなったら絶対に海賊の船長になってあいつらを見返してやる!ナギ、あんたも海賊になるんだよ!」


「えぇ!?なんで〜?!」


そんな思い出をふりかえりながら

ナギは悲しそうな顔でつぶやいた


「メイ…」


「この近くに村がある、まずはそこで聞き込みだ、行くぞ」


グレイブの言葉にナギは頷き、二人は村へと向かった


地面には若干のぬかるみがあり

水たまりもあることから

さっきの雨がここにも及んだとグレイブ達は考えた


やがて村につくと、周囲はやけに静かだった

辺りを見渡しても人は数人程度しか見当たらず

ナギは困惑した表情を浮かべた


「こいつは…」


ふとその辺の地面を見ると

何体かの黒ずんだ人型の何かが転がっていた


「さっきの雨の影響か…」


それはボロボロに欠損した人間の死体だった


グレイブ達は村の人に話を聞くと

復活の花については知らないと言われるが

瘴気のマモノには心当たりがあると聞き、そこまで向かった


「ここがかつて海賊の住処(すみか)として使われていた洞窟だな」

「……」


二人は海岸沿いにある洞窟の前へと佇んでいた


「花は無いようだが、マモノは倒しておいた方がいい、そうだろ?」

「はい…!」


ナギは強く頷いた


「じゃあ行くぞ」


二人は意を決し、洞窟の中へと入っていった


洞窟内部は青白く、湿っていて

水の滴る音が聞こえてくるジメジメとした空間だった


「ふん…ここは好かん、さっさと終わらせて出るぞ」


ジメジメとした空気が肌に触れる不快感に苛立ちを覚えるグレイブにナギは静かに頷く


しばらく進むと

奥の方から「キィ…キィ…!!」という鳴き声と共にバサバサと大量のコウモリが飛んできた


その中には一際大きく、口があんぐりと開いたコウモリもいた


「フンッ!!」


デカいコウモリはグレイブの振るった大剣に当たり地面に叩きつけられ、絶命した


「不快な奴らだ」


やがて、奥へ進むと

滝の流れる大きな泉があるところに出た


泉の近くには大きな船が佇んでいた


「こいつは…」


それはかなり年月が経った船で

ボロボロの()にはドクロマークがついていた


「海賊の残した遺産ってやつか」


グレイブはそうつぶやくと

ナギに指示を送り、船の中へと入っていった


「この中にマモノがいるって話だな」

「はい…」


船の中は湿気があり、ところどころ傷もあって外の光が複数、差し込まれていた


また、外の音は遮断され滝の音も籠るようにしか聞こえなくなっていた


「なんともボロい船だな」


ギシギシと古い木造の床を踏みながら

奥へ奥へと進んでいく二人


しばらく進むと、奥から何やら大きな人型の影が複数体いるのが見えた


「こいつは…さっき船に乗ってきた奴らだな」


それはサカナの見た目をした槍を持ったマモノだった


マモノは二人に気がつくと

不気味なうめき声を発しながら近づいてきた


「フンッ!!」


グレイブはマモノの槍を大剣で防ぐと

その隙をナギが見逃さず、マモノの背後に回り込み、その背中に短剣を突き刺した


怯んだマモノが力を弱めると

すかさずグレイブは大剣を頭から叩き込み

マモノは倒れ動かなくなった


その後もマモノ達を撃退していき

ため池から飛び出すピラニアや

大きな電気クラゲを退きながら進むと

やがて明るい個室に辿り着いた


床には赤いじゅうたんが敷かれており

周囲には財宝、奥には机のようなものが置かれていた


「ここはおそらく、船長室だな

妙に綺麗だ、最近まで誰かが使っていたような…」


グレイブは部屋の様子に奇妙な違和感を抱きつつも周囲を見渡した


「マモノは…?」


ナギはマモノの気配が感じられず

警戒心から頬に汗を垂らす


「…ここにはいないようだな、外を探そうか

ナギ」


ナギはグレイブの提案に頷き、奥の扉を目指した


二人がそっと歩き出すと、後ろの方でカラカラと、何かが転がるような音がした


「!?」


見るとその辺に散らばっていた

骨や頭蓋骨がコロコロと転がり

一つに集まっていた


布切れのようなものを全身に纏い

頭には海賊ハット、片手にはフック

デカいブーツとそしてドクロの顔


「こいつは…」


それは海賊のような姿をした人型のマモノだった


「やっとお出ましか…!」


グレイブが剣を構えると

マモノもカラカラと音を立てて

(そで)からサーベルのような剣を取り出し、二人に襲いかかった


マモノは二人へ近づくとサーベルを真横に振り、彼らの胴体を両断しようとした


二人は咄嗟にしゃがみ、グレイブが大剣を振るうと、マモノもサーベルを前に出し、互いにぶつけ合った


ナギは二人が戦ってる間にマモノの背後に周り、短剣で突き刺そうとした


しかし、マモノにはそれが読まれ、フックで攻撃をいなされた


マモノは二人を弾き飛ばすと

着ていた布に手をかけてガバッと開き、

アバラを露出させた


「!?」


マモノがケタケタと笑い出すと

露出したアバラから青白い光がジワジワと溢れ、やがてそれは光線となって二人に襲いかかった


「くっ…!!」


ナギ達は二手に分かれて回避すると

目標を失った光線は真っ直ぐと部屋の壁を貫き、明後日の方向へと飛んでいった


「ハァァァァッッ!!!」


二人はすぐにマモノの元まで走り

無防備になったその体に二つの剣を同時に叩き込んだ


「ゴアアアッッ……!?!?」


マモノは太い声で鳴くと

やがて体はバラバラになり、そこらに散らばった


二人が剣をしまい、マモノの姿を眺めてふと


「倒したのか?」


とグレイブがそう呟いた時、バラバラになったパーツが再び動き出し、連結していった


しかし今度は別の形に姿を変えて

二人の前に立ち塞がった


その出立ちは羽がついた丸い胴体に

四足の手足、長いしっぽ

そして三つの頭を持った竜のような姿をしていた


「「ゴアアアアッッ」」


マモノは雄叫びを上げると

ガシャガシャと激しい足音を立てて

二人へ襲いかかった


マモノは初めに二人へ近づき

その大きなアゴで二人を噛み砕こうとした


そのあと、尻尾を槍のように突き出してきたり、足踏みして地響きを鳴らしたりした


二人はいずれも避けて反撃の隙を伺った


マモノは激しい炎を吐いて二人がそれをかわすと木造の部屋やじゅうたんに炎が引火して

周りは火の海になった


「焦るなよナギ!!」

「はい!!」


二人は灼熱の中でも冷静にマモノへと視線を向け続け、じわじわと熱くなる金属の武器を離さず反撃の機会を待った


そしてマモノが口を大きく開けた時


「今だ!!」


とグレイブの合図でナギも咄嗟に体が動き

二人はジグザグに走りながらグレイブは頭部を、ナギは足元を狙って、それぞれに剣を叩き込み、全ての部位を粉々に砕いた


マモノは激しい悲鳴を上げた後

静かに崩れ落ちて、やがて黒ずみながら消滅した


マモノが消えると雲が晴れ、島にまぶしい光が差し込んだ


「ふぅ…なんとか終わったな」

「はい…」


グレイブ達は剣をしまい、次の目的地の話をした


「そういや村の人間が妙なことを言っていたな

素材が取れるという島なら、もしかすれば花があるとかなんとか」


グレイブの言葉にナギは真剣な顔で頷き

やがて二人は洞窟を出て、船に戻ると地図上に次の目的地を指差し、そこまで向かったーーー



復活の花-カリブ島-(完)

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