41.第二章 裏 [帯刀令事件]
日付は戻り、5月4日 18時 職員室
「吉良先生!それは本当ですか?!」
「はい、先程封書が届き、すぐに電話での連絡もありました」
「なんでまたそんな事に……」
「理由はアルメント国が関係しているようですが 、文科省も混乱しているうでした。
明日からの法改正のようですので、早急に対処すべきです!今から保護者の皆様にご連絡しましょう!」
「あ、あぁ、連絡するのは構わんが、なんと言うつもりだね、学校からの連絡ではかえって混乱させてしまうのではないか。政府からの連絡を待ったほうがいいのでは?」
「いえ!せっかく他の業種より早く情報を入手できたのですから、生徒、いや学校に関係する皆様の為に動くべきです!
まずは明日の朝一番に生徒と保護者の皆様を集めましょう。
そして皆さんを安全に保護し、今後の学校方針を示しましょう。
校長先生は理事長にこの事をご連絡して頂けますでしょうか?
僕らは生徒の保護者への連絡にかかります!」
「え、あ、あぁわかった。生徒の為なら仕方ないな、理事とも今後の方針を考えておくよ。すまんな吉良くん」
「いえ!生徒の為ですので」
その後、翌日の全体集会へ向けての準備がなされ、全校生徒の約90%との連絡が完了した。
この時の学校からの連絡では、翌日からの[帯刀令]の話とそれに伴う今後の学校方針の発表、法改正初日の混乱を避けるための避難という説明であった。
保護者の中には自宅待機が安全ではないかという意見や、法改正を信じない人、仕事を休むわけにはいかない等で断る者もいたが、概ねの生徒、保護者の参加が得られた。
5月5日 9時 体育館
全体集会が行われた。
集まる際に、保護者へは支給される刀は危険な為、体育館へ持ち込まないよう指示があった。
「本日はお集まり頂き、誠にありがとうございます。えぇー本日お集まり頂いたのは、今朝発表されました[帯刀令]について、学校の方針と今後の対応をお話させて頂ければと思います。つきましては・・・」
まずは校長先生からの挨拶から始まり、そのまま今後の方針についての話がされた。
内容は特段変わった内容はなく、私立の学校側としては対応しているというアピールに近い内容だった。
それもその筈、この全体集会自体が吉良が生徒を集めるためにした事であり、本来なら前日に知らされる等あり得なかった。
では何故吉良は法改正を知り得たのか、それはこの法改正自体と関係があり、法改正に至る背景に何があるかが関係している。
羅国はアルメント国からの圧力によって超短期間での法改正が行われた。
アルメント国からは数ヶ月前に使者が来訪し、言葉と力の説得により半ば強制的に法改正が決定した。
羅国はそれまで他国との争いも、内紛等も無く、世界で最も安全な国だと言われていた。
しかし、それが一変しこの日より地獄へと変貌をしていく。
アルメント国が何故羅国に介入したのか、アルメント国の背景には何があるのか、それが解るのはもう少し先の話になる。
校長の話が終わり、その後に生活指導の先生が今後の学校生活についての説明の為壇上へあがる。
そして話を始めようとした時、体育館の扉が開かれる。
後ろの方に居た保護者が振り向き、前方にいた先生達の視線も集まる。
それに反応し、その他の保護者、生徒も皆入口に注目した。
そこにいたのは黒服の人影が約100名。
その人影は皆、鼻まで隠すマスクを着けており男女の判別はできなかったが、生徒の保護者とは思えない雰囲気を漂わせていた。
そこへ1人の先生が駆け寄る。
「すみません、生徒の保護者の方でしょうか?もう始まってしまっておりますので、後ろの方にお願いします」と頭を下げる。
するとそのままその先生の頭が地面に落ちた。
「うるせぇんだよ、おっさん、今から始まるんだよ」と、右手に赤い液体がべっとりと付着した刀を持つ男は告げた。
地面に転げ落ちた物が何か解っていないまわりの保護者達、只その中の1人が事態に気付いた。
「え、、あれ……死んでる?……あた、あたま……キャャーーー!!!」と後方の保護者が叫ぶ。
すると続々とその事態に気付くものが増え、体育館は一気に混乱の渦へと落ちていく。
「さぁ、はじめるぜ」と言い、一番先頭の男が刀を振り下ろす。
すると後ろに待機していた黒ずくめの人影が一斉に体育館へとなだれ込む。
後ろの保護者は迫り来る人影から逃げようと、前へ前へと人を掻き分けながら走り出す。
只、前には約1000人の生徒と保護者がおり、いくら広い体育館とはいえ限界がある。
黒ずくめの人影は、自らの腰から刀を抜き放ち、雑草でも刈るように目の前の人を切り刻みはじめる。
「う、うわぁ、やめっ、」
「だれか!た、たすけ…」
「やべぇ、こりゃ病み付きだな、こんな仕事が来るなんて羅国に来て正解だったぜ」
と全身を真っ赤に染めた男が、狂ったような目で次の獲物を探す。
そこにいた武器を持たない学校関係者、生徒、保護者約1,000人が只の肉片となったのは、殺戮開始から1時間程経過した頃だった。
全身を真っ赤に染めた男達が一仕事終え話し始める。
「ふぅ、この中にその王子とやらはいたのかねー?」
「どうだろうな、噂では強いって話だったが、そんな奴いなかったからこの場にはいなかったのか、それとも期待はずれだったのか、どちらかだな」
すると1人の男が叫ぶ。
「おいっ!こっちに来てくれ!誰か逃げてるぞ!!」
と叫ぶ男の前には、舞台裏の窓ガラスが割られていた。
kogetora_suguです。
お読み頂き誠にありがとうございます。
大分間があいてしまいましたが、これからは悲惨な事件が起こった背景を描いて参ります。
何卒、宜しくお願い申し上げます!




