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33.第一章 裏 [永遠の愛?]


百瀬さん、滝くんとの橙幻町巡り1つ目のスポットは、駅からすぐ近くの複合商業施設DAMAMAだ。


都心の施設に比べたら規模は小さいが、お買い物や食事が出来、1日はいられる若者から家族まで人気のスポットだ。


でも僕らのお目当てはこの施設のとある2店舗だけだ。

1つ目は百瀬さん一押しの雑貨屋さん。

ここは雑貨と本屋さんが一緒になっているお店で、女の子に人気がありそうな可愛らしい小物や食器、ぬいぐるみ等がお店の半分側に飾られ、もう半分は本が並べられている。

雑誌から専門書まで取り揃えられ、学生からお年寄りまで老若男女に人気のお店だ。


「2人ともっ!見て見て!これなんかいいんじゃない?!」と、いつもの穏やかな百瀬さんとはうって変わってとってもテンションが高い。

百瀬さんがオススメする品物はクローバーの形をした携帯ストラップだ。


「うん、いいかも!やっぱりお揃いの物を買うなら普段から身に付けられるものがいいよね」と僕は賛同した。


「百瀬ちゃんがオススメするなら俺はなんだっていいよー」とニコニコ顔の滝くんも賛同する。


「ありがとっ!じゃこれは第一候補ということで、他の物も見てみよっ」と足早に店内の奥へと歩いていく百瀬さん。


僕と滝くんはお互いに顔を見合せ、コクっと笑顔で頷き合い百瀬さんの後を追う。


本日の橙幻町巡りの目的の一つは、三人のお揃いの物を買うということだ。

これは百瀬さんからの提案で、滝くんは勿論即答で賛成、僕も賛成し、普段から身に付けられるものにしようと決まった。


そして先程のストラップが第一候補となった。

携帯は三人とも持っているし、価格もお手頃でありがたい。

とそうこう考えているウチに百瀬さんが2つ目の候補を見つけたようだ。


「ねぇねぇっ!これはっ?」と振り向きつつ僕らに見せたのは細目の革のブレスレットだ。


色は茶色、黒、白、赤の4色あり、留め金は金色の金属でできている。

ブレスレットの中央にはイミテーションのクリスタルが付いており、中心が一番大きな石、外側に向かって小さな石が散りばめられている感じだ。

可愛らしくもあり、オシャレさもあり、男の子でも身に付けられそうだ。

色が4色あるので、それぞれに好みの色を選べるのも良い点だ。


「うんっ!凄くいいね!これなら携帯を鞄にしまっちゃう稽古中でも身に付けていられるよ!」


「たしかに、俺はやっぱり赤だなっ!!いや、黒も捨てがたい……」と早速悩みだす滝くん。


「大丈夫だよっ、まだ候補の一つだし。それにこのブレスレットになったとしたら、私は何色でも大丈夫だから」と百瀬さんは優しい笑顔で応えている。


「おう、そうか?なら道中考えておこう」と考え込む仕草をする滝くん。


「じゃもうちょっと奥も見てみよっか!」と小首を傾げつつ聞く百瀬さん。


「うん!」

「おうっ!!」と二人とも返事をした。


その後店内を一通りまわり終わり、候補は3つに絞られた。

1つ目は最初に見つけたストラップ、2つ目は革のブレスレット、3つ目はネックレスだ。


「二人はこの3つの中なら何がいい?」と百瀬さん。


「うーん、僕はブレスレットかな、ストラップと違って普段から身に付けられるし、派手すぎず胴着にも合いそうだから」


「鷹柳くんはやっぱり剣術視点だよねっ」と百瀬さんに笑われてしまった。


「おれはネックレスも捨てがたいと思うぞ。あのネックレスは百瀬ちゃんに似合っていたっ!」と滝くんは力強く話す。


たしかにあのシルバーのネックレスも良かった。

細身のチェーンに縦長の花のようなペンダントトップが付いている。花と言っても可愛らしすぎなく、僕らでも付けられそうな形をしていた。

しかし、首に金属のチェーンは相手に掴まれたりしたら危険だし、あと汗をよくかくから金属アレルギーも心配だな。


「うーん、どうしよう。じゃジャンケンで決めよっか?

鷹柳くんが勝ったらブレスレット、滝くんならネックレス、私ならストラップって事はどうかな?」と百瀬さんからの提案だ。


僕と滝くんはお互いを見合い頷く。

「「いいね」」


「「「最初はグー!ジャンケンポン!」」」



「僕は白にしようかな」

「俺は黒にするぜっ!」

「じゃわたしは茶色にしようかなっ」

と三人ともブレスレットの色を決めた。



DAMAMAでの1つ目の目的を果たした僕らは、2つ目の目的地へ。

パンケーキ専門店パルパル。

ここも百瀬さんのオススメのスポットで、1年前にオープンしてから今も若者から絶大な人気があるそうだ。

パンケーキとドリンクのセットで700円と他の専門店よりは安いそうだ。


お店の前には少しだけ待ってる人がいたが、先程購入したブレスレットを見せ合ったり、各々の部活の話をしていたらあっという間にに店内へ入れた。


百瀬さんはイチゴとベリーのパンケーキ、滝くんはチョコとバナナパンケーキ、僕はメイプルナッツパンケーキを注文した。


待っている間はお互いの家族の話をした。

僕が父親と母親を早くに亡くしている事を知らない二人は少し驚いていたけど、今の叔父さん叔母さんとの生活が幸せだと伝えたら、二人ともどこか安心した様子だった。


滝くんは四人家族で妹さんがいるそうだ。

名前は真依さん。年齢は3つ下の中学2年生。

昔はお兄ちゃんお兄ちゃんと、後ろをずっと付いてきていたそうだが、今は殆んど会話もなくなってしまったと嘆(なげ)いていた。


百瀬さんは一人っ子で、お父さんとお母さん、エリザの三人と一匹家族だそうだ。

妹さんが欲しかったそうで、滝くんの妹さんに会ってみたいと興味津々の様子だ。


学校ではこういう話しはしていなかったので、2人の事をより知ることが出来て嬉しい。

そしてこのキャラメルナッツがとても美味しい。


「じゃ食べ終わって少し休んだら滝くんのオススメスポットに行こうか?」


「おう!楽しみにしててくれよー!バッチリ下調べしてきたからなっ!」と自信満々の表情で話す滝くん。


「滝くんのオススメスポットって桜ヶ丘の上だっけ?」と百瀬さん。


「そうそう!とってもロマンチックな場所だから百瀬ちゃん期待しといてね」と慣れないウインクをしている滝くん。

少し気持ちがわるかった。


パンケーキとお茶を満喫した僕らはDAMAMAを出て、そこから徒歩で20分ほどの桜ヶ丘を目指した。


道中も百瀬さんの愛犬エリザが近所のお爺さんに偉く気に入られている話や、滝くんの妹さんがピアノのコンクールに出た事等を話した。


僕の話しは剣術ばかりでつまらん!と滝くんから話を途中で遮(さえぎ)られた……面白いお話を考えないといけないな、、と心に誓う。

その後も色んな話をしていると、目的地である丘の上の展望台に到着した。


着いたのはお昼頃だったが、展望台からの眺めはとても素晴らしい景色だった。


夕焼けの時間帯や、空気が澄んでいる朝方等はもっと美しいのではないかと思った。

これは良いスポットを教えてもらった、と感心しながら滝くんを見る。

すると滝くんは一点を凝視しているようだ。


滝くんの視線の先には、灯台の鐘の下にある金網に付けられた無数の南京錠があった。


南京錠がたくさん……たしかテレビで見たような。

海外の……と記憶を呼び起こそうとしていると。隣で百瀬さんが説明してくれた。


「ここ愛の南京錠の所だったんだね!」


詳しく聞くところによると、鐘の下にある金網に、愛し合う二人の名前を書いた南京錠を付けると永遠の愛が約束されるとの事だった。


一瞬滝くんがこの場所を選んだ事に疑問が湧いたが、その後すぐに僕という存在はほぼ必要ない事に気付いた。た、滝くん、少し酷くないかい。


「そ、そう。俺と百瀬ちゃん……と雪風の三人の、あい、友情を誓おうと思ってな」と心の声が駄々漏れの滝くんは、ポケットから15センチはある大きな南京錠を取り出した。


「大きいね…… 」と驚きが声に出てしまった。


「気持ちの大きさを表すために一番大きいものを買ったぞ」と胸を張る滝くん。


「でも三人の名前を書くなら大きい方が書きやすいよっ」とポジティブな百瀬さん。


先に南京錠に名前を書いたのは滝くん、続いて百瀬さん、僕の順番だった。


三人で付ける場所を探し、鐘のそばには空きはなく、少し離れた場所に付けることになった。


「鐘の側はダメだったけど、ここからは見晴らしが良いからきっと願いは叶うと思うよっ」とまたしてもポジティブ百瀬さんだ。

ずっと感じていた事ではあったけど、百瀬さんは学校で初めて会った時の雰囲気と大分印象が変わった気がする。

元々僕が百瀬さんを良く知らなかっただけなんだけど、最近関わりが増えた事により見えたきた部分なのかもしれない。

今まで僕は転校ばかりで友達が出来ても深く関わろうとしなかったからか、人を知るってことが凄く嬉しい事だなと実感している。

滝くんは相変わらず良い意味でも悪い意味でも変わらないけど。


またこうやって三人で過ごせる事を祈りつつ、金網に三人で一緒に南京錠を付けた。


「ふーっ!これで俺のオススメスポット紹介は終わったぜ!」と滝くんが伸びをしながら話す。


「えっ、もう終わりなの?!まだお昼だけど」とまたしても驚きが口から漏れてしまった。


「まぁ、あとはなりゆきで街を歩けばいいかと思ったんだが、ダメか?」


「そう言われると…僕は全然構わないけど、百瀬さんもそれで良い?」


「うん、いいよっ!私も知らないところ見つけられるかもしれないしっ」と笑顔で応える百瀬さんの返事により、三人の名所探しの旅が始まった。


その後は街中を歩き回り、オシャレな洋食屋さんでお昼を食べ、洋服屋さんやオシャレなカフェ等を見つけた。

その他にもたくさんのお店を見つけ、その中には剣道の道具を売っている武具店があった。

残念ながら剣術部に使えそうな品物は置いていなかったけど、関係性のあるお店ってだけで僕のテンションは上がった。


時間を忘れて歩き回っているうちに辺りはオレンジ色に染まっていた。

明日もお休みではあるけど、今日は早めに解散することにした。


「今日は本当に楽しかったよ!二人とも色んな場所を案内してくれてありがとう!」


「そうだったな、途中から俺らも知らない場所が多かったから案内してた事を忘れてたぜ」といつも通りの滝くん。


「私もとっても楽しかったよ。二人とも今日は時間作ってくれてありがとねっ。また皆でどこか行けたらいいねっ」と、笑顔でブレスレットをしている腕を見せる百瀬さん。


「うん!」

「おうっ!」と二人とも笑顔で返事をし解散した。


楽しいことがありすぎてボーッとした頭のまま、明日は道場かーと色々考えながら家路につく。





kogetora_suguです。


お読み頂き誠にありがとうございます!!


ほのぼの会のつもりで書きましたー!

という事は……。


これからのお話も是非お楽しみにー!


そしてどうか!励みになりますのでコメントやブックマークをお願いします!


それではまたー

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