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22.第一章 裏 [不穏]


倒れ伏した副部長さんのもとへ近寄り状態を確認し、立合い人の部員さんへ伝える。


「頭を強く打って意識が無いので救急車を呼んで頂けますか?」


「は、はい、わかりました、すぐに」と言い職員室のある本棟へ走っていく部員さん。


一部始終を離れて見ていた新入部員の5人は、今がチャンスとばかりに僕に走り寄り、各々称賛の言葉をかける。


「さ、さすが鷹柳先輩!剣術だけではなく、素手での格闘術にも長けていらっしゃるとは」と神宮寺くん。


「相手の人からいきなり蹴られてるから心配しましたよ」と福居さん。


「俺は鷹柳部長なら余裕だと思ってましたけどね」と榊原くん。


「いやいや、カイトくんヤバい!どうする?!とか言って焦ってたでしょ」と南さん。


「まぁまぁ、無事でなによりですよー」と高津くん。


副部長との立合いで武道場を勝ち取ったとは言っても、救急車を待ったり、慌ててやってきた先生方への説明で部活の時間は無くなってしまった。

一番苦労したのは勿論先生方への説明で、武道場使用に関して空手部の副部長から立合いを挑まれた事をどう説明すれば良いのか……。

幸い、立合い人をしてくれた部員さんが包み隠さず一部始終を話してくれた事、桜井先生と吉良先生のフォローのお蔭でなんとか話が収まった。


「ご、ごめんねみんな、僕のせいでせっかくの練習初日をダメにしちゃって」と皆へ謝罪した。


「いえ!!!とんでもない!鷹柳先輩の闘うお姿を見られただけで十分価値はありました!!」と神宮寺くんはキラキラとして目で顔を近付けてくる。


「あっ、そ、そう?それなら良かったよ。明日は1日校舎裏での活動になっちゃうけど出来ることからやっていこうね」と神宮寺くんから距離をとりつつ皆へと伝える。


「「はい!」」と各々元気に応えてくれた。


皆と解散し、鷹柳道場から数分の所にある叔父さんの家へと帰る途中、見覚えのある人が前を歩いていたので声を掛けた。


「こんにちは、ルイさん!」


話しかけた瞬間ビクっ!として振り向いたのは、僕が今住まわせて頂いている叔父さんの家のお隣さん。

名前は今泉(いまいずみ) 累(るい)さんで歳はたしか19歳だったかな?

お母さんとの二人暮らしをしている。

滅多に外出はせず、たまに見かけても寝巻きのような格好で背中を丸め、公園等でぼーっとしている。

しかし今日はいつもとは違い、服装もスーツでビシッと決まっている。


「お、おう雪風くんか、びっくりした」と累さんは目線を右往左往(うおうさおう)させながら応えた。


「ごめんなさい、久しぶりにお会いできたので嬉しくてつい」と頭をかきながら伝える。

累さんはぼーっとはしているが、とても優しく、僕の剣術等の話を嫌な顔ひとつせずに聞いてくれる。


「今日はどこか出掛けられたんですか?」


「い、いや……うん、まぁ」と歯切れの悪い返答が返ってきた。

あんまり理由を聞かれたくなさそうだと思い、それ以上は触れず自分の今日あった出来事を話しながら家まで帰った。


「雪風くん、じゃ、またね」といつも以上に丸まった背中越しに手を振る累さん。


「ルイさん、何か僕に出来ることがあったら言ってくださいね」


「あ、うん。ありがとう雪風くん」と言い、累さんは家の中へ入っていった。


いつも特別元気って訳ではないけど、いつも以上に負のオーラを感る気がする。

心配だけど、累さんからの相談を待つことにした。


叔父さんの家へ帰り、いつも通り叔父さん、叔母さんと夕食を食べる。

その時だ、

『ガシャンッ!!!』と隣の家、累さんの家から大きな音がした。


僕と叔父さんとで急いで隣の家へと急ぐ。


玄関の呼び鈴を鳴らし、扉を叩いて呼び掛けても中からは返答がない。


「おかしいな、たしかに今泉さん家から聴こえたよな?!」と叔父さんが僕に確認をとる。


「はい、たしかに累さん家からの音だと思います。今日は累さんと一緒に帰ってきたので居る筈なんですかが」


「そうか……最近は今泉さんも息子が就職するために頑張ってるって嬉しそうに話してたんだがな」と顎(あご)に手を添えて考え込む叔父さん。


そうか、今日累さんがスーツだったのは就職活動の為だったのか。

それにしても累さんは帰ってからすぐに出掛けたのかな?


泥棒に入られてたりしても恐いので、家のまわりを叔父さんと5分程様子をみる。


「家の中は真っ暗だな、物取りにしては静かすぎるが……とりあえずは戻るか、もしかすると棚の物が落ちただけかもしれんしな」と叔父さん。


「は、はい。わかりました。念の為あとでもう一度様子を見に来ておきます」


「悪いな雪風、何かあったらすぐに呼ぶんだぞ」と僕の肩に手を置く。


僕らは家へと戻り夕食を済ませた。


それから2時間程経った夜の21時頃、僕はもう一度様子を見に累さんの家の前までやって来た。

やはり家の電気はついてなく、中は真っ暗。


さっきの累さんの様子だと、就職が上手くいってお祝いをしに外食とは考えにくいけど…。


呼び鈴を2度押しても反応は無い。





kogetora_suguです。


お読み頂きありがとうございます!


投稿が滞った分挽回していきますよ!


次回も是非宜しくお願いします!


コメントやブックマーク等、是非とも宜しくお願いします!

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