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21.第一章 裏 [挑戦者]


部活申請を吉良(きら)先生にお願いし、17時近くになったので僕らは武道場へと急いだ。


するとそこには空手部が練習している最中だった。?


あれ?…。


入ってすぐの部員に尋(たず)ねてみた。

「あの、練習中すみません、今日は17時から僕達剣術部が武道場を使わせて頂く事になってるはずですが…」


「オスっ!副部長に確認してきますので待っててください」と力強く言われた。


その部員と副部長らしき人とのやり取りを見ると、なにやら揉めているようだ。


部員が戻ってきてこう告げた「副部長は知らないとの事で、練習の邪魔だから帰ってもらうよう言われました。すみません」と部員さんに気を遣(つか)われながら言われる。

通常、学校の部活は18時か18時半まで。

今から桜井先生に確認しに行ってたら練習時間はなくなってしまいそうだ。

まぁ、やろうとしてた事は竹刀の準備や基礎練習だから校舎裏でも出来なくは無いけど、剣術部が馬鹿にされているようで少しイラっとした。


僕は部員さんの制止も聞かず、ズンズンと道場を横切り副部長らしき人の前に立つ。

「こんにちは、僕は鷹柳雪風(たかやなぎゆきかぜ)です。今日は17時から武道場を剣術部が使わせて頂く予定ですので、どうか空けていただけますか?」とお願いした。


副部長らしき人は黒髪の短髪のオールバック。目付きは鋭く、普通に見られているのか睨(にら)まれているのかわからない。

「おい、お前邪魔だ、俺の前に立つな。練習が見えないだろうが……」


「いや、ですから僕達が…」と再度説明しようとした瞬間、ブワッと目の前に上段蹴りが放たれ鼻先2センチを掠(かす)めていく。


「二度目はないぞ、消えろ」と、今度は睨まれているようだ。



「いえ、ですから僕達がこの武道場を使うことになって…」と二度目の説明をした瞬間、殺気のこもった上段蹴りが放たれる。

もし避(よ)けなければ、僕の左側頭部に直撃するコースだ。

僕はそれをスウェーバックで躱(かわ)し、更に説明を続ける。

「もし顧問の先生から話が下りていないなら、部長さんとお話がしたいのですが、いらっしゃいますか?」と伝えきった。


一部始終を見ていた部員達がざわめき出す。

「お、おい、いまの蹴り」

「あ、あぁ、副部長本気で蹴ってたよな…」

「あいつ何者だ?」


自分の蹴りを躱された事に驚いたのか、動かずにいた副部長さんが口を開いた。

「おまえ、殴り込みに来たのか?」

いやいや、さっきの説明聞いてましたか?!と心の中でツッコミつつ、冷静に返答した。


「すみません、僕の説明が悪かったようで、今日から決まった事なのですが、勿論学校からの承諾(しょうだく)もあります。月曜日、水曜日、金曜日の17時からは僕らの剣術部が武道場を使用することになりました。ですので、大変恐縮ですがご退出頂けますでしょう?」


よし、ここまで丁寧に説明すれば流石にわかってもらえるは…ず…「わかった。勝負で決着をつける。おまえも胴着があるなら着替えてこい」と話の最後に割り込んでくる副部長さん。

えっ?……何故理解されないんだ。ここまでくると流石にわざととしか思えない。

この人はどうしても武道場を明け渡したくないらしい。


もういいや。さっさと済ませて練習に専念できるようにしよう。と切り替えることにした。


「わかりました。じゃすぐに着替えてきますね」と言い倉庫で胴着に着替える。


準備が出来た二人は武道場中央で相対(あいたい)した。


「ルールは特になし、相手が降参するか意識がなくなれば勝ちとし武道場の使用権を得る。負けたら一生言うことを聞いてもらう」

後半はただの個人的な恨みが入ってるとしか思えないが、もうこの際どうでもよい。


空手部員の1人が立合い役を務(つと)めてくれるらしい。


「それでは両者構え、、はじめ!!」というかけ声と共に試合?勝負は始まった。


副部長さんはまず様子を見るようだ。

間合いを一定にし、背の高い副部長さんの間合いを保つように立ち回っている。


普通ならば、リーチの差というのは格闘技に置いてはとても大きく、身長180センチ越の先輩と僕では10センチ程はリーチに差が出る。

端から見たら大人と子供の喧嘩だ。


しかし、それを覆(くつがえ)すのが武術と呼ばれるものだ。


鷹柳流走法術(そうほじゅつ) 其の1 閃流(せんりゅう)。

縮地法(しゅくちほう)の足捌(あしさば)きを応用した移動術で、3ノ形漣(さざなみ)にも用いられている。

それを駆使し一瞬で相手の懐(ふところ)まで間合いを詰める。


長身の格闘家の利点はリーチが長い事、そして逆に弱点となる事もまたリーチが長い事だ。

打撃を打つにも腕を折り畳む必要があり、動作が鈍重(どんじゅう)になる。


一瞬で間合いを詰められ、副部長さんの表情は凍り付く。

必死にバックステップを試みようとするが、時既に遅し。


僕は肩での体当たりを放つ。

これは八極拳(はっきょくけん)の鉄山靠(てつざんこう)という技だ。


副部長さんは体当たりの衝撃で後ろ数メートル吹き飛ばされる。

技の衝撃で意識が一瞬飛んだことにより受身が取れず、地面に後頭部を強く打ち付けた。

起き上がろうとするも、意識が朦朧(もうろう)としているのか立ち上がれず倒れ伏してしまった。







kogetora_suguです。


お読み頂きありがとうございます!


投稿に間が空いてしまいましたが、引き続き宜しくお願いいたします!

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