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15.第一章 裏 [鷹柳流剣術師範代]


生徒会長より部活紹介終了の挨拶がされ、生徒達は各クラスへと戻っていった。


クラスへ戻る途中、百瀬さんから声をかけられた。

「鷹柳くんお疲れ様!初めて、剣術?見たけどカッコ良かったよっ!」と女神のような笑顔で労(ねぎら)ってくれた。


「ありがとう!始まるまではどうなることかと思ったけど、皆に剣術部の紹介が出来てほっとしてるよー」


すると、

「雪風ーー」と滝くんに後ろから声をかけられた。

「なんでかわからないが、さっきから皆俺と目を合わせようとしないんだが、そんなに俺の発表は良かったのかー?」 と綺麗な赤い髪をかきながらそう問い掛けてくる。


「…うん、」としか咄嗟(とっさ)に言葉が出てこなかった。


「た、滝くんもお疲れ様っ!とっても滝くんらしい紹介だったよ!」と百瀬さんからフォローが入り、僕も頭を整理する。


「滝くんが一番インパクトがあったと想うよ!お、お互い部員が集まると良いね!」となんとかコメントを残し、教室へと急いだ。


桜井先生も教室へ戻り、

「はーい、今日は紹介のお手伝いをされた子も参加した子もお疲れ様でした。この後授業は無いので帰宅となります。来週の放課後からは部活体験会が始まるから、新入生を集められるようにみんな頑張ってねー。それでは」と帰りの挨拶を終えた。


「鷹柳くん、滝くん、私は部活があるかまた来週ね!ばいばいっ」と手を振る百瀬さん。


「うん、また来週ね」

「おう!またな!百瀬ちゃん!」

と挨拶をし、僕と滝くんだけが教室に残った。


「雪風!来週一週間ある部活体験会が重要そうだな、今は俺がリードしているが、雪風も体験会で頑張るんだな!じゃ俺は帰るぜ!」


「う、うん!頑張るよっじゃまた来週ね」

なんて声をかけるのが正解か考えている間に滝くんは帰っていった。


どうしよう、正直に伝えるべきか、でももしかしたら本当に滝くんの発表を見て集まる生徒がいるなら……と自分の心配よりも滝くんの今後が心配になるのであった。



そして週末を迎えた。

久しぶりのお休みだな、週末はいつも道場で道場生と汗を流す。

道場生は30人程で、年齢層は子供から上は70歳まで。

午前中は自由参加だが今日は10人程集まっていた。


「おはようございます!師範代!」

「おはようございます!」「おはようございます若っ!」

等々、皆から声を掛けられる。


そして、

「お、きたな雪風!とりあえず身体を温めてこい!そうしたら私と立合いだ」と叔父の鷹柳海舟(たかやなぎかいしゅう)に身体から湯気(ゆげ)を出しながら声を掛けられ、僕は広さ80畳の道場の端から端までを10往復走りウォーミングアップをした。


この時の走り方は普通に走るのではく、片足を2歩ずつ走る特殊な走り方で、踏み込みに必要な筋力強化を狙っている。

新規の道場生は、最初この走り方に慣れないのでこれだけで息を切らしてしまうし、初めてで転ばずに最後まで行けた人は中々いない。


身体が温まった所で、鷹柳流剣術師範の叔父と実践的な立合い稽古に入った。


得物(えもの)は鷹柳流の特殊竹刀を用いり、僕らは防具無しで行う。

道場生は顔と腕、胴体と足に防具を付けるが、僕と叔父は気がそれるからと付けないことが多い。


「さぁこい!雪風っ!」と覇気(はき)を飛ばす叔父。


「いきます」と応え、竹刀を右横、脇構(わきがま)えに据(す)え一気に間合いを詰める。


「ぬっ!」と目を見開き叔父が上段から竹刀を振り下ろす。


雷のように鋭い上段からの一撃を左へ躱(かわ)し、首元へ突きを放つ、寸止めをしたので切っ先はあたっていない。


「そ、そこまでっ!!」と立合人になった道場生が声掛けをする。


「また速くなったな、雪風」と微笑しどこか嬉しそうな叔父。


「いえ、叔父さんの上段斬りも一段と速くなってて躱(かわ)すのに必死でした」と額(ひたい)の汗を拭いながら応えた。


「お、おい、やっぱり師範代がまた勝ったな、というか師範代が負けた所を見たことがないんだけど」

「おれもおれもっ!噂だと刀を握ってから1度も負けたことがないらしいぞ」

「ま、まじかよ!それって子供の頃からあの強さってことか?!……に、人間だよな」と半笑いになる道場生。


「よしっ!それでは各自稽古に入るように!!」と叔父さんが渇を入れ、全体稽古が始まった。



そう、僕自身あまり覚えてはいないのだけれど、

幼い頃、神棚の横に飾ってあった刀に触れてから不思議な事が起きるようになった。


怪我の治りが早くなったり、集中するとすごく速く動けたりした。

ただその頃から、運動の後に酷い筋肉痛が起こるようになり、小学生の頃は休み時間の運動や体育は控え目にしていた。


鷹柳流剣術も稽古はやらせてもらえず、中学一年まではずっと座学で学んでいた。

同年代の子はどんどん強くなっていく中とても悔しい気持ちで一杯だった。


そんな現象が中学生くらいになると少し落ち着いてきて、筋肉痛の度合いも徐々に収まってきた。


そこからは本格的に鷹柳流を学び始め、今までの剣術に対する欲求と座学の効果で今では師範代にまでなる事が出来た。

この調子で腕を上げ、色々な剣術大会に出て鷹柳流剣術を世界に知らしめる。

それが僕の目標だ。


ただ、大きな大会に出るにはある程度の知名度が必要で、道場生30人の今の規模では参加が出来ない。

せめて倍の60人は集めないと……。


その第一歩として、まずは明後日からの部活体験会で部員を集め、部活動として活動を始める!

そして全高校の一番になって流派の名前を宣伝しなければ!

そう意気込み、いっそう稽古に励む。


午後になり、道場の戸から1人の少女が入ってきた。








kogetora_suguです。


読んで頂きありがとうございます!


今回は無事(?)に部活紹介が終わった後から、鷹柳流剣術の道場が舞台でしたが。

なんだか鷹柳くんには秘密がありそうですね。


そして戸を開けて入ってきた少女とは?

わかる方にはすぐにバレてしまいそうですが、是非次回もお楽しみに!


感想やコメント、いいね!など是非お願い致します!

励みになりますので!

引き続き宜しくお願い申し上げます。

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