14.第一章 裏 [漣]
そして剣術部の紹介が始まった。
「今年から新たに部活を作らせて頂きたいと思っている2年A組の鷹柳雪風です。新しく作る部活は剣術部です」
そこで体育館からは「あーよくうちの教室に来てた子か」や「剣術っていったい何をやるんだ?」等、少しずつ声が聞こえてきた。
「まず剣術部の活動内容ですが、武道場の使用が出来る日にはそこで実戦形式の稽古をやり、中庭や体育館、校舎裏を使用する際には型稽古をやる予定です。
また、基礎体力も大事な為、ランニングや筋力トレーニングも行います。
実戦式の稽古では竹刀に薄いゴムとスポンジが巻かれた特殊竹刀を使用するため大きな怪我の心配はありません。
型稽古の際に使用する型、流派についてですが、鷹柳流剣術を用います。」
そこで「鷹柳流剣術?!」「えっ?!自分で作っちゃったのかな?」等の声が上がり、
「鷹柳流剣術とは私の高祖父よりも前の代から代々伝えられてきた剣術で、今は叔父が当主を務めている流派です。
今日はせっかくの機会ですので、実際に皆さんに見て頂こうと思っています」
とそこで急いで舞台袖から台車に設置した直径30センチ程の人形の丸太を舞台中央へ運んでいく。
奇しくも滝くんと同じく『台車に載せた木』という不穏な物を見た生徒達はざわめきだす。
自分の頭にも先程の滝くんの光景がよぎる……。
なんと恐ろしい、、なんとか自分に渇を入れ、木に立て掛けて置いた刀に手を伸ばす。
「か、刀?!」「まじか!!?」「え、えっ!」等またしても生徒達が騒ぎだす。
一応先生、校長先生には申請をし許可を貰っている。
よしっ、やるか。
人形の丸太には頭、両腕、胸、足下の合計6ヶ所に小さな風船を張りつけてある。
「それではまず鷹柳流剣術1ノ形雨水という技をお見せ致します 」
そう言い僕は無行の位に構える。そして丸太に向かって一気に距離を詰める、丸太の数歩手前で左右への揺さぶりを行い柄に手を伸ばす。
『パパンっ!』という音と共に丸太の6つの風船は全て割れたのだった。
刀を鞘に戻し、再びマイクを握る。
「今お見せしたのが雨水という技で、刀の先で相手を突き刺す技です。突き刺すというと少し恐ろしく思われるかもしれませんが、実際の立ち会いの際には、屋内での闘いも多く、狭い場所では突きがとても有効なんです」
そこで生徒達からやっと反応が返ってきた。
「うおぉーー!かっけー」「えっ!?全然見えなかったんだけど!」「まじもんだ、あれはまじもんだー!」「刀ってめっちゃ綺麗なんだね」等々歓声が上がった。
それらの声を聞いて少し安心した。
良かった、空気は凍りついていないな…。
「それでは時間もないので次が最後の技です。鷹柳流剣術3ノ形漣」
と説明し左手を帯びに沿え丸太から3mの所に立つ。
静止した僕を見て体育館が静まり返る。
そして技を放つ。
一瞬で丸太の裏側に回っている僕に生徒達は戸惑っているようだった。
「えっ?」「なにかした?」「よくわからなかったんだけど?」等々、ざわめきだしそうな時、
僕は後ろを振り向き丸太へ近づく、そして軽く丸太の頭部分をつついた。
すると丸太の胴体が真っ二つに割れ、胸から上がドサッと床に落ちた。
「え?どういうこと?!」「よくわからないんだけど」と状況はあまり変わらなかった。
その状況を見て僕はすぐにマイクを持ち説明をはじめた。
「す、すみません、今の技は漣と言いまして、とても早い居合いでして、あ、居合いというのは……」と長ったらしい説明をしてやっと少しの人に理解頂けました。
鷹柳流剣術3ノ形漣は、海の漣から連想された技で、小さな波が次第に大きな波へと変化するように、最小の動きで最大の力を込めた高速の居合い術。
足捌きには縮地を応用し、一瞬で移動したように錯覚を起こす。
部活紹介の最後は尻窄みになってしまったが、なんとかやり終えることが出来た。
kogetora_suguです。
読んで頂き誠にありがとうございます!
鷹柳流剣術の新しい技が出てきましたね!
まだまだ技はありますのでこれからの活躍を楽しみにしててくださいー。




