12.第一章 裏 [準備]
先生から部活申請の話を聞いてからずっとテンションの低い滝くん。
それを心配する百瀬さんは、どうにか元気になってもらおうと色々な話を振ってみるが、中々難しそうだ。
実際部活を新しく作るのは難しそうで、僕も少し悩んでいるところだ。
ましてや、僕も滝くんも作ろうとしている部活が格闘技と剣術、恐いイメージもありそうだし部員集めの方法は考えないといけないな。
そんな事を考えていると、
「俺、来週の部活紹介に懸けてみるぜ!」
急にそう言いだす滝くん。
「えっ?懸けるって何をするつもりなの?」
と心配そうな百瀬さん。
「皆をあっと驚かせるようことをして注目を集める!そんで一気に入部希望者を集めるんだよ!俺としたことがウジウジ考えてたってはじまらねぇや!全力でぶつかるだけだ!」
と、さっきまでの滝くんは何処へやら、いつもの滝くんに戻ったみたいだ。
それを見て僕も少し安心した。
「それで具体的には何をするつもりなの?」
僕も自分の発表の参考に気になったので聞いてみた。
「それは、、さすがに雪風にも教えられねぇよ!これはある意味部活同士の闘いだからな!来週の金曜日が決戦だぜ、雪風!どっちが多く部員を集められるか勝負といこうぜ!」
そう言って見るからに太い右腕を僕の目の前に出してきた。
「いいよ!僕も剣術部を作るのは夢だったからね、負けるわけにはいかないよ!」
と応えて彼の右腕に自分の右腕を合わせた。
それを横から見ていた百瀬さんは、
「なんかいいなー、男の子同士楽しそうだねっ!私も書道部の紹介頑張らなきゃ!」
と言い彼女の健康的で白い腕を僕らの腕に合わせた。
「よ、よっしゃ!じゃこの中で誰が一番になるか勝負だな」
と顔を赤らめながら気合いを入れる滝くん。
その反応を見て僕は吹き出してしまう。
「な、なんで笑うんだよ雪風!」
未だに顔を赤らめながら顔を近づけてくる滝くんに僕は、
「いや、ごめん!なんだか嬉しくてつい、僕が前までいた学校にはこんな風に話せる友達はいなかったから」と誤魔化し半分で言い訳する。
「そうなのか?それならまぁいいか、じゃ俺はこれから作戦を練りに帰るぜ、2人とも覚悟しておけよ!」
「うん!僕も負けないよ!」
「私も!」
と3人で気合いを入れてから各々帰宅した。
帰り道、実際どの様な発表をするか考える。
うーん、僕が出来ることは限られるよなー、剣術の型を披露して……等々あーでもないこーでもないと考え、その日は寝るまで悩み続けていた。
翌日から僕は動きだした。
ずっと夢だった剣術部を作るんだ、後悔だけはしたくない。
そう自分に強く言い聞かせ、下手なりにチラシを作り、各学年、各クラスにお願いして教室の回覧スペースに貼らせてもらう。
教室の回覧スペースは競争率が高く、チラシの上にチラシが貼られたりして見えなくなってしまう事が多々ある。
その為、できる限り時間を見つけてはクラスを回ってチラシの張り替え作業を行った。
併せて体格の良さそうな先輩や後輩にも口頭で剣術部の説明もした。
あとは部活紹介で良い印象を与えないとだ。
型の練習やどの技が良いのか等、叔母さんに相談しながら準備を進めた。
そして遂に決戦の日、部活紹介のある金曜日を迎えた。
「おはよ!!雪風!ちゃんと準備してきたか?」
と自信満々な顔で挨拶してくれた滝くん。
「うん!やれる事はやったはずだよ、あとは今日の発表で皆に剣術の良さを伝えるだけだよ!」
僕も負けじと自信に満ちた笑顔を見せた。
「2人とも準備万端って感じだねっ」
と僕らの肩をポンとしながら微笑む百瀬さん。
当然滝くんの顔はみるみる赤みを帯びてくる。
「お、おう、百瀬さんもが、頑張ってな」
と最初の自己紹介の時の勢いはどこへやら、滝くんは百瀬さんからのボディータッチに弱いみたいだ。
それを微笑ましく見ていると、
「ゆ、雪風何を笑ってんだよ!お前はいつもニヤニヤしやがってー」と照れ隠しに僕に絡んでくる滝くん。
「さっ、早く教室へ行こう!ホームルームがはじまっちゃうよ」と滝くんからのボディータッチを避けつつ教室へ向かった。
その日は僕も滝くんも、そして百瀬さんも授業に身が入らず、3人とも5限目の部活紹介の事で頭が一杯だ。
各々お昼を済ませ、とうとう決戦の5限目がやってきた。
桜井先生が教室へ入ってきて、
「みんなー今から体育館に移動します。廊下側の席から順番に行くから準備してねー」と声掛けしていく。
「ゆ、雪風、き、、緊張してねーだろーな」
といかにもな反応をする滝くん。
「うん、僕は今のところ大丈夫かな。やれることはやったし、あとは自分に出来ることをやるだけだからね!」
「えー、雪風くんは凄いなー私は緊張で足が震えてきちゃったよー……誰かに代わってほしいくらい…」と今にも泣き出しそうな百瀬さん。
「いつも以上に良く見せようと思うから緊張するんだよ、2人とも今日まで頑張ってきたんだから大丈夫。みんなに自分達の部活の良いところを知って貰えるように頑張ろう!」と、なんとか緊張を解せるように話してみた。
「あ、ありがとな雪風」
「雪風くんありがとう」
2人には少しだけ笑顔がもどったみたいだ。
「はーい、じゃ体育館に移動しますよーついてきてねー」と桜井先生の先導の元、僕達は体育館へ向かった。
kogetora_suguです。
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