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11.第一章 裏 [出会い]



2021年4月7日。

石倉高校のある殿町から西へ100㎞離れた場所橙幻町(とうげんちょう)の物語。


「おはよ雪風(ゆきかぜ)、今日から新しい学校だけど、無理せず自分のペースで頑張りなさいね」


「ありがと叔母(おば)さん、今度の学校は長く居られると良いな。

あと、剣術部が作れると良いんどけど、それはもう少し先の話かな」


「ったく雪風はいつも剣術の話ばかり、そんな話しかしないから彼女もできないのよ。

せっかくお母さんに似て綺麗な顔に生まれたんだから、早く良い娘紹介してよねっ」


「もうこんな時間か、行ってきます!」


「話そらさないの!まぁいいわ、いってらっしゃい、気をつけてねっ」


叔母さんはとても優しく良い人で、話していると心が温かくなる。

出来れば叔母さんの希望を叶えたいけど、自分の性格はそんなにすぐには変えられない。

今は彼女よりも強くなりたい気持ちの方が強い、

まずは剣術大会で全国一になって、そして目指すは世界一。

失われた鷹柳流剣術の名声を取り戻す為に。


僕が今日から通う司幸学園(しこうがくえん)は、今の家からは歩いて15分程だ。

今までの学校は電車やバス通学だったから大分楽になった。

今日は転校初日、何回経験してもこの日の緊張は慣れないものだ。

でもまだ今日は始業式だし、クラス替えなんかで他の皆も慣れてない筈(はず)、この機会に僕も皆と仲良くなれると良いな。


学校に近づくにつれて生徒が増えてきた。

司幸学園は最寄り駅からも近く、多くの生徒は電車を利用していて、自転車やバスは全体の2、3割程だ。

そんな中、多くの生徒の中でも一際目をひく生徒がいた。

背は高く、髪の毛の色は赤い、その人の半径3mには人が近づいていなかった。

あれがいわゆる不良かな、転校初日から問題を起こすわけにはいかないので、彼には近づかないようにしておこう。

そう思っていたのに……その男は急に振り向きこっちへ向かってくる。

ここで逃げたら明かに不自然だ、そんな事したらきっと彼の気にさわって絡(から)まれかねない。

ここは自然にしよう。


彼はとうとう僕の目の前まで来た、そして

「おはよっ」と挨拶をしてきた。


なんだ、意外と良い人だ!と思ったのも束の間、突然彼に腕で横へなぎ払われた。


「おはよ、滝(たき)くんっ」

急に後ろから聞こえてきたのは女の子の声、振り向くとそこにはお世辞ではなく、とても可愛らしい女の子が立っていた。


少し茶色がかった髪、目鼻立ちも整っていて、まるでアイドルやモデルさんみたいだ。


「今日は暖かいな、風邪ひいてない?」

などと意味不明な発言をする長身の男、そしてそんな言葉に優しく答える女の子。


まぁ、転校してきた見ず知らずの僕に話しかけるはずもないよな。

さっ、気を取り直して学校へ向かおう。

たしか先に先生のいる職員室に行かないと。

学校へはまだ2回しか来たことが無いので、辿り着くまでに少し迷ってしまった。

途中優しい先輩が教えてくれ、無事に職員室に着いた。


「失礼します」そう言いながら職員室の扉を開く。

担任になる桜井先生の席は、入口の近くなのですぐに会えた。


「鷹柳(たかやなぎ)君、おはよう、もうすぐ式だからそれまでに今日の流れを説明しておくわね。

まず、始業式はクラスの一番後ろで参加してもらいます。

始業式終了後は私のところへ来てください。

皆が教室へ戻ってから、私と一緒に向かいましょう。その後は皆への挨拶をして、クラスの皆との自己紹介の時間を設(もう)けるから元気に挨拶お願いね。

まっ皆もクラス替えしてから始めての顔合わせだからスタートラインは一緒だよ。頑張ってね!」


「わかりました、ありがとうございます。

少し緊張しますが、頑張ります!」


「うん、その意気っ」


そして始業式は無事に終わり、僕と桜井先生は教室へ向かった。

途中学校の事や、僕の前の学校の話をした。

桜井先生はまだ20代くらいの若い女の先生で、大人っぽさと可愛らしさのある綺麗な人で、男子からは人気のありそうな先生だ。


先生は1度振り向き、「じゃ行きましょうか」と言ってから、2年A組の教室の扉を開けた。


教室はまだ少しがやがやと騒がしかった。

皆、始めて会う人に挨拶していたり、おそらく前からの友達と騒いでいたり、先生が入ってきた事に気付いていない様子だ。


「はーい、皆席についてー!ホームルーム始めますよー」

先生は出席簿をパンパンと叩きながら、皆にそう促した。


「おっ、和美(かずみ)ちゃんじゃん!」

「和美ーー!」

「桜井先生ーー!」

「えっ、あの後ろの子だれっ?」

「ホントだなんか可愛いかもっ」

などなど、男女問わず歓声が上がっていた。

男子からだけじゃなく女子からも人気があるなんて、きっと性格も良い先生なんだなと思った。


その後、少し時間が掛かったが皆席に座り、先生から担任が自分になったという話と……

「皆に朗報ですっ、もう気付いているかとは思いますが、皆さんに転校生を紹介します!……では鷹柳君お願いします」

そう優しく微笑み、僕にパスを出す先生。

期待に応えられるかわかりませんが頑張ります。


「はじめまして、鷹柳雪風(たかやなぎゆきかぜ)です。早くここの土地や学校に慣れるように頑張りますので、皆さん宜しくお願い致します!」

先生はこの後自己紹介すると言っていたし、あんまり長く話すと飽きられてしまうかも知れないので、挨拶は短めにしておいた。


「はいっ、皆宜しくねっ。じゃ鷹柳君には、右後ろのあそこの空いてる席に座ってもらえる?」


「はい、ありがとうございます」


そして後ろの席に向かう。今時、途中で足を引っかけたりする人はいないので安心だ。

ただ、両隣の席を見て一瞬足が止まりかけた。


僕の席は、朝見かけた赤髪の青年と、あの時一緒にいた女の子に挟まれていた。

でもきっと向こうは気付いて無いだろうから、こちらがあんまり気にしても仕方ない。

気を取り直し席に着いた。


すると右隣から声が。

「宜しくねっ」

そう笑顔で話しかけてくれたのは、今朝の女の子だ。

人は見掛けじゃないって言うけど、この子は見た目通り、とても優しそうな人だな。

「うん、宜しく」そう応えた。


「じゃ、鷹柳君も席に着いたところで!

皆もお互い初対面の子もいると思うので、これから自己紹介してもらいますっ」


皆「えぇー」や「やべぇーどうしよ」など騒ぎだした。

僕も緊張しやすいから落ち着かないが、転校も3度目だと少しは慣れるものだ。


自己紹介は扉側から始まったが、先生からの指令で趣味と所属している部活、今ハマっているもの、あと1人1つ特技を言わなければならないとの事だった。

そして順番は進み、右隣の女の子の番になった。


「 百瀬梨華(ももせりか)です。趣味は読書で、所属している部活は書道部です。

今ハマっているものは……小説がドラマや映画になったものを観て、映像や解釈の違い等を楽しむことです。

とくぎ……は、速読(そくどく)…です。宜しくお願いします 」


そこで「百瀬さんいいねー、速読教えてっ!」等と、またも意味不明な事を僕の左隣の赤髪の男が言っている。

1度目は、緊張から出る間違いかとも思ったけど、おそらくこの人はいつもこんな感じなんだろうと思った。


その後、自己紹介は進み僕の番になった。

「2回目ですが、鷹柳雪風です。趣味は身体を動かすことです。

部活はこれから考えたいと思っているのですが、やりたい部活は剣術部で、出来れば新しく部として立ち上げたいと思っています」

ここで皆から「剣術っ?!なんかすげぇー」

「剣術ってなにするの??」など困惑の声が上がったが、取り敢えず最後まで話すことにした。

「えっと、今ハマっているものはこの町をランニングする事です。新しい発見がたくさんあって楽しいです。

特技は剣術です。以上です、皆さん宜しくお願い致しますっ」


「おぉー!」

「剣術?!侍侍!」

「かっけぇーー!」

「剣術?刀とかつかうのー??怖くない?」

歓声やら何やらが飛び交っていたが、一先ず先生が次の生徒を促した。

因みにその騒がれている中、百瀬さんが「お疲れ様、緊張するよね」と笑顔で話しかけてくれた。

その時に逆隣からは「よしっ!もうすぐ俺だっ!」とフーフー息を荒げてアピールしている男がいた。


そしてとうとう、その赤髪の子の番になった。


「 滝 真一郎(たきしんいちろう)だ、趣味は人助けで部活は帰宅部、ハマっている事は本を読むこと、特技はかかと落とし。俺も新しく格闘(かくとう)クラブ作りたいと思ってます。以上! 」


色々突っ込みどころは満載(まんさい)だったが、あんまり関わらないように、見ないようにしようと思った。


そして全員の自己紹介が終わり、明日からの学校の流れ等の説明が先生からされた。


「はい、じゃ今日の授業はここまで。明日からは通常の授業だから、皆ちゃんと準備しておいてねっ。あと一応今日から部活開始だけど、休み明けなのであまり無理しないようにねー」


「はーいっ」と皆それぞれ返事をしていた。


学校の、クラスの雰囲気はいい感じだなと思った。

今までの所は進学校ばっかりで、みんなぎすぎすしてたけど、ここは先生も生徒もみんな優しくて安心だな。

明日からが楽しみだ。


取り敢えず今日は帰ろうかと思っていた時に、隣からは声をかけられた。

「お前、今日部活申請に行くか?」


……僕に聞いてるんだよな。

「え、いや、今日は取り敢えず帰って、明日の昼休みか放課後に相談しに行こうと思ってるよ」


「そうか、善は急げっていうし早めに作りたかったがまぁいいか。じゃ明日なっ!」


意外と物を知っているのかな、良くあるおバカキャラはここで一文字間違えたりするのに。

というか何故明日一緒に行く事になってるんだ!?


「あの、滝くん……僕と君とは違う部活を作ろうとしているみたいだし、無理に合わせなくても良いと思うよ」


「お前わかってねーな、そうしたら和美ちゃんが俺とお前に、二回説明する事になるだろうが。一回で済ませた方が楽だろ」

たしかに正論かも。


「あ、うん。そうだね、君の言う通りだよ。ありがとう、僕に合わせてくれて」


そう言うと急にそっぽを向き「んだよ、別に大したことじゃねーよ。

まぁなんだ、部活を作ろうっていう仲間だからな!これからも宜しくなっ!」


なんか、良い人かもしれない。

「うん、こちらこそ宜しく」


すると反対側から

「鷹柳君!先生から、今日この後時間あるようなら校内を案内してあげてって言われたんだけど、どうかな?」

百瀬さんからのお誘いだった。


「えっ、と。じゃ「なんだっ!奇遇だな!

俺も今ちょうど案内してやろうって話してた所だったんだよー。なっ?!雪風?!」

前言撤回。

しかも会ったばかりで呼び捨てですか。


「あぁーうん、そうなんだ、良かったら2人に案内してもらおうかな?

男子と女子では普段行く場所も違うだろうから、その方が勉強になるし……」


「おっ、お前頭良いなっ。

よしっ!俺はいいぜ!百瀬もこいつの為だし、なっ?!行こうぜっ!」

貴方は僕の何ですか。


「う、うん。わかった!じゃ2人で案内しよっか!」


「よーしっ!じゃまずは上の階からだ!ほら!2人とも早く用意しろよっ!」

と言い、滝くんは鞄を肩にかけてカモンカモンと急かしてくる。


でもなんか、こういうのも悪くないかも。

楽しくなってきた。


「わかったよ!百瀬さんも準備出来たっ?!」


「うん大丈夫!行こっ!」

百瀬さんは笑顔で応えてくれた。


そして3人であーでもないこーでもないと、3時間以上掛かって校内をまわり終えた。

その時には2人ともフラフラになっていた。


「あ"ぁーっ、まじで疲れたな。こんなに歩いたのは久しぶりだよ」


「うん、ホントだよね。私も普段から運動はあまりしないから、もう足が上がらないよー」


元の教室へ戻ってきた僕たちは、机に突っ伏(つっぷ)してそんな愚痴を言っていた。


「でも、この学校1年もいたけど、私の知らないところ沢山あってびっくりしたよっ」


「あぁ、たしかにたしかに!普段から決まったとこしか行かねーからな。今日は楽しかったぜ、ありがとな、雪風」


急にお礼を言われて反応が遅れた。

「えっ、いや、お礼を言うのは僕の方だよ。2人ともありがとう、僕もとても楽しかったよ」


「んだよ、なんか気持ちわリーなこういうの。まぁなんだ、また3人で集まろうぜ!

今度は学校の外をまわろうぜ!俺がこの町の穴場デートスポットを教えてやるぜ」

と自信満々な顔で主張している滝くん。

主張したい相手は僕ではなさそうだけどね。

それでも3人でって言われて悪い気はしないな。


「えっー、滝くん3人でデートスポット行くのー?!それって端から見たらなんか変な感じになっちゃうと思うよ(笑)

だったら私も、可愛いカフェとか、穴場の特売スーパー案内するねっ」

と人差し指を立てて話してくれた百瀬さんは可愛らしく、隣の滝くんの目はハートだ。


「たしかにっ、デートスポットにはカップルが一杯だろうから、僕達が行ったら邪魔になっちゃうかもね。2人ともありがとう、案内楽しみにしてるね」


「まぁそうだな……早いとこ彼女作って俺1人で行ってやるよ!」


「いや、1人だとそれは変な感じに……」


「う、うるせぇーよ!」


その後も自然と3人で話をしていた。

気付いたらもう夜になっていて。

もちろん明日も学校なので、ダッシュで百瀬さんを駅まで送って、3人は解散した。



翌日から通常の授業が始まった。


司幸学園の回りには桜の木が植えられていて、4月の今は丁度満開の時期だ。

登校する道にも桜は植えられていたが、校舎横の大桜(おおざくら)は樹齢150年と見事な装いだ。

昼休みか放課後にでも近くに見に行こうかと考えながら1限目の準備をしていると、

「高柳君、昨日は校舎しか回らなかったけど、今日の放課後にもし時間があったら学校の外を見て回らない?」

そう百瀬さんが話しかけてくれた。


予想は出来ていたけど、案の定反対側からその返答が聞こえてきた。


「いいな!そうしよう!大桜もついでに見に行くか!なら部活の申請は昼休みか。昼飯食ったら速攻で行くからなっ!用意しとけよ!雪風!」

何も答えてないのにスケジュールが決まっていく。


まぁいっか、僕の為にしてくれてる事でもあるし。

「わかった、じゃそうしよう!因(ちな)みに皆は学食で食べるの?僕はお弁当があるんだけど」


「私も1年の頃からずっとお弁当で、お友達と食べてたよ。このクラスでは前のクラスの子達が少ないから隣のB組に行って食べようと思ってるよ?滝くんは?」


「俺はいっつも学食だな、日替り定食が400円で安いし旨いし、おかずは毎日変わるから飽きないしで最高なんだ。雪風もたまに食ってみるといいぞ!」


「へえーそうなんだ?!じゃ今度食べに行ってみるよ!ありがとう」

とそんな事を話していると教室へ先生が入ってきた。


4限目まで何事もなく終わり昼休みになった。


「雪風!飯を食う場所が違うから集まるのめんどくさい、先に申請行くか!」と一方的な提案が飛んできた。

もちろん僕はどちらでも良かったので2つ返事で了承した。


教室から職員室までは階は違うが3分もあれば辿り着ける距離だ、昼御飯を食べる事を考えても急ぐ必要は無いのだが……

「よし!日替り定食無くならない為にも急ぐぞっ!」と言いながら滝くんは走り出した。

仕方なくそれに追従し、1分と経たず職員室へと到着。


滝くんの勢いはその後も止まらず、

『コンコン!』「失礼しますっ!」

と勢いよく中へ入っていき、次の瞬間には桜井先生の隣に立っていた。


そんなに早く売り切れるの?と心のなかで問いかけてしまったが、僕も遅れて先生の所へ向かう。


「和美ちゃん!部活申請にきたぜ、鷹柳と一緒にお願いしますっ!」

深々とお辞儀をする滝くんに遅れて僕も習って礼をした。


「あ、そうだったね。すぐ申請書用意するからちょっと待っててねー」

と言いながら桜井先生はパソコンをカタカタと打ち、すぐにすくっと立ち上がった。


そしてそのまま職員室の奥へと歩いていった。

えっ何処へと一瞬考えたがすぐに答えはわかった。

コピー機から用紙を2枚受け取りこちらへと戻って来た。

「コピー機が遠くていつも大変なのよ、まぁ私も一応新米先生の部類に入るから仕方ないけどねー」と小声で愚痴をこぼしながら用紙を手渡された。


その用紙には、まず1番上に部活名、その後は顧問、部長、副部長、部員名と続き、最後に部室と部活内容を記入する欄があった。


「じゃ申請の大まかな手順だけど、まずは顧問を探してもらって、その後は部員を集めて、最後は先生に渡して貰えたら教頭先生を通して校長先生に申請して貰うようになるからね。

顧問の先生についてはもう他の部活を受け持っている先生も多いから部活表で確かめてね。

あとは部員だけど、声をかけるのも良いんだけど無理に誘ったりはしないようにね。

以前それが問題になった事もあるから気をつけて、休み時間中とか上手く使って声かけ頑張ってね。

あとは今からだと準備が間に合わないかもしれないけど、来週の金曜日の5限目に部活紹介を体育館でやるからそこでアピールするのも良いかもしれないわね!まぁこんな感じかな、2人ともわかったかな?」

そう首を少し傾けながら尋ねられた。


質問があったので聞いてみようと口をあけた瞬間、横から「そんなに大変なんすかっ?!」とさっきまでの威勢のいい姿は何処へやら、困り顔の滝くんがそこに居た。


「うーん、そうだよね。やる事はたくさんあるからね。でも転校してきたばっかりの鷹柳君と違って滝くんは先生も知ってるし友達もいるでしょ?なんとか頑張ってみたら上手くいくかもよ?」


とそこで話を割ってやっと質問出来た。

「先生、すみません質問なんですが宜しいですか?」


「えぇどうぞ!」


「はい、えーっと、まず顧問の先生についてなんですが、既に他の部活の顧問の先生は受けられないという事ですか?あとは部員は何人集める必要があるかと、えーと部室の空き状況等も知りたいです」と一通りの事を質問した。


その後は5分程で話を終え、2人で職員室を後にした。


「部活を立ち上げるのがこんなに大変だったとはなーーー」と天を仰(あお)ぎながら歩いて食堂へ向かう滝くん。


前見て前見て!と心の中で警告したが、どうやら必要はなかったようだ。

彼の見た目からなのか、前から来る生徒は皆向こうから避けていっている。

それでも「滝くん!ショックなのはわかるけど危ないから前見て!」と他の生徒の為に注意をしておきました。


すると「ふぁーーい」と気の抜けた声で返事をし、今度は猫背のゴリラみたいな格好になった。

まぁ少し面倒だし、ちゃんと前は見ているようだったのでそのまま放っておく事にした。


先生の話だと、顧問は部活の掛け持ちは可能だが殆どの先生が大変なので受けたがらないそうだ。

部員の人数は部長含め5人から認められるそうだ。

その他の部室や武道場使用の事等はとりあえず割愛します。


僕らは食堂で昼食をさっさと済ませ、作戦を練るために教室へと戻って来た。



kogetora_suguです。


今回から鷹柳くんルートが始まりました。

まだまだ序盤、これからどんな展開が待っているのか、是非楽しんでください。


それでは引き続き宜しくお願いいたします。


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