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ヤマメとの生活  作者: kanisaku
92/100

増殖

目覚めるとそこはいつものヤマメと居る居間だった。しかし不思議だ。自分は布団の中で寝た筈なんだけど…。


ケ「…?」

ヤ「おはよう、ケン」

ケ「おぉ、おはよ…っ!?」


後ろから声をかけられ、返事をしながら振り向いたケンは驚きのあまり目を丸くし、開いた口が塞がらなかった。

ヤマメが二人いるのだ。

寸分違わぬ外見で、まるでその光景を見せつけるかのように立っている。


ケ「え、え…?なんで二人なの?」


驚いてアタフタするケンを見て、二人は同時にクスクスと笑い始める。


ヤ「私は妖怪よ?」

ヤ2「ちょっと力を使えばこうして増えるなんて簡単なんだから」

ケ「へ、へぇ…そ、そうなんだ」


少し驚きながら返事をすると、二人のヤマメは一瞬向き合って、目で合図を送るような仕草をする。そして二人は座り込むケンを、挟み込むように寄り添う。


ヤ「ふふふ…こうすれば、何時も以上にアナタを感じられるわ」

ヤ2「ケンの背中、暖かい…」


ヤマメは二人に増えても、性格やすることは全く変わらないようだ。二人係でケンの身体をくまなく、ねっとりとした手つきで撫で続ける。


ヤ「ケン…どう?私が二人居て、何か感想は?」

ケ「感想ったって…。まぁ、嬉しい…かな」

ヤ2「私達も嬉しいわ…こうしてケンを愛せるなんて。なんでもっと早くこうしなかったのかしら」


背中を占領するヤマメはスリスリと頬ずりをして喜んでいる。自分の前に座り込むもう一人のヤマメも、手を首に回して抱きつてくる。幾度となく甘えてくるヤマメに、最初はどうしようかと悩んでいたケンも慣れてきたようで、二人の頭を撫でてその愛情を受け止めた。


ケ「大体二人に増えてもな~…。俺は一人で十ぶ…え?」


ケンが二人を交互に見ながら言っていると、視界の端に何かが映った。すぐに目をやると、寝室に繋がる襖からもう一人のヤマメが顔をのぞかせているのだ。三人目である。


ヤ3「あ、え、えっと…その…」


顔を赤くし、恥ずかしそうに何かを伝えようとしているヤマメは、俯いて襖の陰に引っ込んでしまった。


ケ「…何あれ?」

ヤ「もう一人の私じゃない?」

ヤ2「恥ずかしがりなのね、ちょっと待ってて」


そういうとヤマメは背中から離れ、もう一人のヤマメが隠れた襖の奥に入って行った。


ヤ2「ほぉら、私なんだから、ケンに甘えていいのよ?」

ヤ3「え、でも…あんまりベタベタしたら嫌われちゃう…」

ヤ2「大丈夫よ、ケンならいくら甘えてもいいわ。あの人、単純だから」

ケ「おい、なんか失礼な事聞こえたぞ。何教えてんだ」

ヤ「ふふ、正直な私なのね」


少し二人の会話がつづき、最後は半ば無理矢理ヤマメがもう一人のヤマメを引っ張ってきた。ケンの傍にずっとたヤマメも引っ込み思案なヤマメの手を取り、ケンに押し付けるように後押しする。


ヤ3「ひゃっ!うわぁ!」


突然押されたせいでバランスを崩し、倒れこむようにケンに圧し掛かる。


ケ「おぉう…。ヤマメ…。あの二人の言うとおり、俺ぐらいなら相手になるぞ」

ヤ3「ぇ…そ、そうなんですか?じゃ、じゃあ…」


上に寝た状態で胸に頭を乗せて、互いの手を重ねる。そうすると、少し赤かった顔はさらに赤みを帯びてくる。


ヤ3「ぇへへ…暖かい…」

ヤ2「私も、甘えちゃおうかしら」


もう一人のヤマメがその横に寝ると、残ったヤマメもその反対側に横になる。


ヤ「両手に…いや、両手と胸に花ね」

ケ「自分で言っちゃうんだ」

ヤ2「私達は、ケンっていう水が無いと枯れて死んじゃう花なの、ずっとケンの傍に居させてね?」

ケ「はいはい…」


満更でも無い様子で返事をするケン。その上に乗っているヤマメも嬉しそうに身体を捩らせ、ケンの首筋をペロペロと小動物のような小さな舌で舐めている。


ヤ3「美味しい…ケン、美味しいよ…」

ヤ「ふふ、そうでしょ?ケンって、私達の好きな味がするのよ」


両手と首筋を何度も舐められ、ゾクゾクとした感覚が襲ってくる。しかし、それもアリかと思っていると、一つの影が顔を覆う。


ケ「?」

ヤ4「はぁ…はぁ…もう、我慢できない…」


4人目のヤマメは下着姿だった。発情したようなそのヤマメはしゃがみ込むと、顔を掴んで無理矢理キスをして口を塞いできた。そのヤマメの背後には、何人ものヤマメが期待のまなざしでこっちを見ている。ガヤガヤと押し寄せてくるその集団の姿を最後に、突然視界が真っ暗になる。



・・・・・・・・・・・・・・・。



ケ「…どんな夢見てんだよ俺」


布団から半身だけを起こしたケンは、自分が見ていた夢の内容を思い出し、頭を抱えてなぜあんな夢を見たのかと悩み続けたという。

今回も夢落ちです。夢落ちって便利ですよね。あんまり多様するといけないような気もしますが、しょうがないんです。こうでもしないと自分で面白いと思える内容が書けませんから。ヤマメいっぱい居たみたいですね。一人くらい連れ帰っても…。ばれませんよね?



読者様につかの間の安らぎを

            「kanisaku」

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