嫉妬から愛情
カズヤは驚いていた。どれだけ機嫌が良さそうでも全く自分を部屋から出そうとはしないパルスィと、今日は一緒に買い物に出かけれているのだ。外には出れたものの、手錠で片手を繋がれていて、その先はパルスィに繋がっている。
久々に部屋の外に出たが辺りは人型の妖怪でいっぱいだ。人間か?と思っても、よく見れば指が7本もあったり、妖怪なんだと分かってしまうような者ばかり…。
カ「…何で突然、俺と一緒に買い物に行こうなんて」
パ「アナタと一緒に居る時間を長くしたいから」
カ「そう、なのか…」
パ「大丈夫よ。私はこれでも地底じゃ有名な妖怪…そんな私の物を奪おうとするような命知らずなんていないから」
カ「そういうことを言いたいんじゃないんだけどな…。なんていうのかな、こう…せっかく二人で外出するのに、こんな重苦しい手錠つけてたら、なんか雰囲気悪いっていうか…」
パ「そんな事ないわ。アクセサリーには丁度いいじゃない」
身体の自由を奪うアクセサリーがあってたまるか。そんな事を思いつつパルスィを見ると、ニコニコといつも以上に楽しそうにしながら手錠を撫でている。
カ「…」
パ「手錠がアクセサリー…愛を繋ぐ…良い道具じゃない」
カ「ロマンがあるのかないのか…」
パ「十分すぎる程にあるわ。アナタが死ぬまで、外出する時はこれを使ってあげる。鬼の鍛冶師が作った手錠だから、100年は持つわよ。頼りになるわぁ…」
手錠に頬ずりするパルスィを不気味に思っていると、ふと視界に懐かしい物が入り、それに注目する。それは店先に置かれた梨で、カズヤには思い入れのあるものだった。
パ「どうしたの?…梨?」
カ「ああ…俺が元の世界に居た時、よく彼女が持ってきてくれたんだ」
パ「…他の女の話は」
カ「分かってる…けど、思い出すくらい、させてくれ…」
ノスタルジーに浸るカズヤをパルスィは不満そうに見つめる。他の女の事を考えることもさえもパルスィにとっては嫌だったのだ。
パ「買ってあげるから、行きましょ。ここで買いたいのはもう買い終わったし」
カ「そうだな…」
店主に梨の代金を渡し、なかば無理矢理カズヤを引っ張っていく。
パ「ねぇカズヤ…、正直な答えを聞きたいの、いい?」
カ「あ…、うん」
パルスィの言葉に少し緊張気味になるカズヤの方を向いたパルスィは真面目な表情で言った。
パ「元の世界に戻れるなら、私を殺してでも戻りたい?」
カズヤは黙っていた。考えているのだ。もしかしたら、パルスィが戻れる方法を知っていて言っているのか、それとも、自分の意思確認がしたいだけなのか。きっと重大な質問…。答えは…。
カ「いや…元の世界には、戻らない…」
パ「…どうして?」
カ「パルスィと、もっと一緒に居たいから…そりゃ俺だって、彼女のことや母さんや父さんに会いたい。けど…今の生活も、ちょっと良いかなって思ってるんだ。パルスィは可愛いし、自分のことをこんなにも思ってくれてる。彼女の事を信用してないわけじゃないけど、向こうの世界に戻って、あの子がまだ自分の事を思ってくれてるとは思えないんだ…」
それを聞いてパルスィは、カズヤにバッと抱き着く。服をギュッと掴み、喜びを表す。
パ「そう…ありがとう。カズヤ…妬ましい…、いいえ…愛しいわ」
二人の距離が、もっともっと近づいた日だった。
最後になるかもしれないパルスィ回です。ついにカズヤはパルスィと過ごすって言っちゃいましたね。おぉアツイアツイ。よほどヤマメよりパルスィの方がヤンデレっぽいなぁ…(汗
読者様につかの間の安らぎとジェラシーを
「kanisaku」




