花と青年と
目の下に薄らとクマを作り寝不足が伺える青年。彼が離れられない女性の頼みで、今は家の周りにある珍しい植物の手入れをしている。周りに生えた雑草を取り除いたり、害虫などを駆除したりするのだ。
幽「大事な花には『ノーダメージ』で、頼むわよ?」
青「そんな事言ったって…この雑草、根っこが絡んで外れない…」
困った顔で何とか雑草の根をプチプチと千切っていく。しかし、この様子だといつまで経っても終わりそうには無い。多少乱暴に扱ってしまおうかとも思ったが、あの人の事だからすぐにバレてしまう。
青「ん~…どうしよう…」
何を言われるか分からないが、幽香に聞くしかない。他の花の手入れだってあるんだ。これが終わらない限り、そのほかの世話もできない。
丘の上に建つ一軒家に問題の花を持っていき、幽香に相談を持ちかける。
幽「ふーん…それで、まだこの子以外の手入れが出来てない…と?」
青「すみません、結構絡まってて…外すのに時間が…」
幽「…アナタ、外に出てから一回でも水は飲んだかしら?」
青「え?いや…一度も…」
幽「…今のアナタ、熱中症になりかけてるわ。ここで倒れられてもっ困るから、水を飲んでシャワーでも浴びてきなさい。後は私がしておくから」
青「で、でも」
幽「…」
青「…わかりました…、よろしく、お願いします」
幽香の殺意を籠めた目に恐縮し、一礼して台所に向かう。確かに今の自分は汗が止まらず体温も結構高い。幽香の言うとおりにしていなければ、今頃倒れて干物にでもなっていただろう。
蛇口から出てくる水をコップに注ぎ、それを一気飲みする。久々の水に身体が感激し、もう一杯を欲しがる。
何気ない水一杯でも、かんかん照りの日差しの中動き続けた今の自分にとってはとても素晴らしい物に思えた。
ふと玄関前のリビングを見ると、テーブル椅子に座った幽香が、例の花を撫でている。なんの効果があるのかは分からないが、幽香がそうしているからには意味があるんだろう。そう思って風呂場に向かった。
・・・・・・・・・・・・。
外で掻いた汗を冷たい水で洗い流す。水を飲む時と同じく、身体中が喜んでいるのが分かった。暑い中働いた自分へのご褒美でもあるのだ。存分に浴びる。
身体を休めてリビングに戻る。テーブルの上を見ると、絡まってどうしようも無かった筈の二つの植物は、まるで元からそうだったかのように、根っこ一つ触れることなく完全に分かれていた。
青「凄い…どうやったんですか?」
幽「私は妖怪よ、こんなこと造作も無いわ」
頬杖をついて得意げに言う彼女を少し可愛く思える。
幽「…今度は、一緒にしましょうか、花の手入れ…」
青「あ、はい」
幽「準備しなさい。次は水筒も持っていくから」
幽香は帽子掛けから麦わら帽子をヒョイと掴んで被る。「水筒用意して来い」という事だろう、一足先に出ていってしまった。その姿を見届けて、自分も二人分の水筒を用意して家を出る。
幽「…5秒遅いわ。私を熱中症で倒そうっていうの?」
青「い、痛い、です…」
青年を頬を笑顔でつねる幽香は、水筒を一つ取り上げて首からぶら下げる。
幽「戻ったらご飯作るわ。早く終わらせましょう」
青「はい」
幽香のその言葉にはどこか優しさも感じられる。そんな幽香に安心して、自分の日頃の緊張の糸も少し緩んだ。
久々の幽香さんです。首輪さえなければ青年も普通なんですね。
お姉さんキャラは大好きですよ、ええ。甘えたいですよね。良いですよね、包容力ありそうですよね。
読者様につかの間の安らぎとSMを
「kanisaku」




