あの世 2
威圧感を放つ大きな門をくぐると、中は広い空間になっていた。大きな柱が何本も綺麗に整列し、タイルのような床は天井からの明かりで自分ごと照らされている。その空間の奥に、人の行列が見えた。
ケ「…?」
不思議に思ってみていると、どこからか現れた少女に腕をグイグイと引っ張られる。
少「あの、アナタ魂ですよ…ね?」
ケ「え、あ、ああ…うん。そうだけど…」
少「でしたら、あちらの列に並んでください。幻想郷を担当している、四季映姫様がアナタの判決をします」
ケ「分かった…ありがとう」
少女に礼を言って、列の最後尾に並ぶ。判決と言っていたので、どうやら閻魔大王にでも対面するみたいだ。
赤い顔、鬼のような形相で自分の過去を見て「お前は過去に○○の罪を犯した!よって地獄行だ!」みたいな事を言うんだろうと、薄々予想できる。
ケ(そういえば、仏教じゃ女性とHしただけで地獄行きって聞いたが…閻魔が居るくらいだから、ここは仏教なんだよな…。俺、地獄確定じゃん)
ヤマメと何度も交わったことを思い出す。あの時が懐かしく。ヤマメは泣いているだろうか、自分の後を追って死ぬような馬鹿げたことはしてないだろうか。と心配になってくる。
そんなことを考えている内に、自分の前に立っていた男性がフラフラと奥にある扉に入って行った。他の人もそこに入って行っているので、多分その中で閻魔と会うのだろう。
そして、しばらくすると。入っていた男性のものだと思われる絶叫が薄らと聞こえてきた。それを聞いた瞬間に体中に鳥肌がたち、易々と死を受け入れていた自分に後悔した。
ケ(やっぱり…船乗る前に逃げときゃよかったかな…)
後悔してももう遅い。自分の後ろには、もう数十人という元は人間だった魂が並んでいる。そして、自分の前に立つ、先ほどの女の子も部屋の奥に入るように手で催促している。
意を決して奥に進んだ。
部屋に入ると、大きな壁にも見える机が目の前にあった。その左右にはメラメラと燃える火が灯してあり、その机に座る人物の顔を照らしている。
ケ「…?」
映「なにをボーっとしているのですか?判決を下すのでそこで正座してなさい」
ケ(女の子…それも…小さい)
映「…っ!?」
突然顔を赤らめる少女は、慌てたような口調でケンに言う。
映「あ、あなた日頃何をしているのですか!?こんな如何わしいことを未婚の女性と…!!」
ケ「え、なにって…○○○したり××××とか▽▽▽▽や□□□□□とかだけど…」
映「!!!!???」
ケ「?」
映「あ、アナタねぇ…!」
少女が机の奥に引っ込み、姿が見えなくなる。少しして、その大きな机の横から少女が走ってきた。手には長方形の木の板を持ち、短いスカートを棚引かせながら顔を真っ赤にしている。
映「アナタ、これがどれだけの罪か分かってるんですか!?」
ケ「え、やっぱり重いの…?」
映「当たり前です!未婚の女性と交わるなんて重罪中の重罪です!即地獄往きですよ!」
ケ「やっぱりか~…。結婚してればよかった…」
映「…しかし、私も鬼ではありません。どうやら、アナタも少しは反省しているようですし…。少しだけ元の世界に戻して様子を見ましょう。もし戻ってまた不純な事をするというのであれば、今度こそ容赦なく地獄往きですからね?!」
ケ「はい!重々承知いたしました!」
女の子に平謝りすると、女の子の持っていた木の板でガツっと頭を殴られる。
ケ「痛っ」
映「今日の裁断はアナタで終わりにします」
ケ「え、俺の後ろにも結構並んでたけど…」
映「あの方たちは明日すればいいんです!今は、アナタについてミッチリ話してもらいますよ。鏡で見た以外にも、アナタ自身から、あの女性にどんなことをしたのか聞きださせてもらいます。嘘をついたら地獄送りですからね!?」
ケ「は、はい!!」
その後、幻想入りしてからの自分の出来事を、数時間にわたって事細かに吐かされた。自分が喋っている間。女の子はひたすらに筆を動かして紙にその事を書き綴っていた。きっとこれが地獄に送るかどうかの判断材料になるのだろう。色々話しているが、自分が助かる見込みが無い。キスしたり交わったりくすぐったり舐めたり舐められたりすることしか言えてないような気がする。しかし、その部分だけは食いつくように何度も効いてくる。
ケ「…以上です」
映「ありがとうございました。では、アナタの様子を1週間だけ監視し続けます。何か不純なこと、悪意があるようなことをしたならば、すぐにここに戻ってきてもらいますからね?」
ケ「はい、気を付けます…」
深々と頭を下げ、反省の態度を示す。
部屋の前に立っていた先ほどの少女に案内され、自分が歩いてきた道を戻っていく。
少女「運が良かったですね。あんな結果が出る人。そうそう居ませんよ」
ケ「そうなの?」
少女「えぇ、最後に元の世界に戻るのを許されたのは、丁度100年ほど前でした」
ケ「へ~。俺ラッキーだったんだな…」
・・・・・・・・・。
ヤ「ひぐ…うぅ…ケン…。ごめんなさい。私があんなことしたばっかりに…」
止血はしたものの、強すぎる一撃で冷たくなってしまっているケンの死体に覆いかぶさるように泣き続けるヤマメ。彼女の涙がよりケンの体を冷たくしていく。
ケ「ん…」
ピクピクと身体が痙攣し始める。それに気づいたヤマメはハッとして、その様子を見続ける。
そして、ケンは目を覚ました。
ケ「んあ…ヤマメ。俺…」
ヤ「け…ケン!戻ってきたのね!嬉しいわ!」
ケ「あ、あぁ…そうだな…」
生還したケンに喜ぶヤマメ。その嬉しさは。今までのどの喜びよりも大きなものだった。
ちょっと長かったですね。映姫様登場です。
次回、映姫様のお話です。なので、またもヤマメの出番は…。
読者様につかの間の安らぎを
「kanisaku」




