購入しました
ケン「…扇風機を買おう」
ヤマメ「そうね…」
窓の前に座り地底の風景を見て黄昏るケンはポツリとつぶやいた。それを後ろから抱き着いているヤマメは、その案に賛成する。
ヤマメ「気温…33度だそうよ」
ケン「暑すぎる、こんな中で扇風機も無しに過ごすなんて自殺行為だ。そして俺にくっ付いてワザワザ二人の体温を上げてるヤマメも自殺行為だ」
ヤマメ「こうしてると…なんだかフワフワした気になるの…頭がボーっとして…アナタの魔法にかかったみたいで…」
ケン「おい、それ脱水症状じゃねぇか!早く水風呂浴びてこい!なんなら俺が浴びさせてやる!」
ヤマメ「お願いするわ…」
ズルリとケンの背中から力無く倒れるヤマメを抱きかかえ、すぐに脱衣所に向かって服を脱がせる。シャワーを前回にしてヤマメの体に水を浴びせ、体温を元に戻していく。急に冷たくしても体に悪いと思い、手で水をすくって徐々にヤマメに体にかけていく。台所から水を持ってきて飲ませてみたりして、ヤマメの容体が良くなるをの待った。
ケン「ふぅ…。これで少しは大丈夫だろう…そうだ」
今のうちに、扇風機を買っておこう。そうすればヤマメをもっと涼しませることができるはずだ。
タンスを漁ってお金をかき集め、財布に入れて借家を出る。
旧地獄街道は何時も妖怪で溢れている。人間である自分の存在が浮いているような気もするが、人間そっくりな妖怪も珍しくはない。
酒の飲み比べをしたり、将棋や囲碁で対局していたりと、していることは人間とさほど変わらない。
時間を食いつぶして人生の半分以上を働いて過ごしている元の世界の人間とは大違いだ。ここは、ゆっくりと時間が流れている。太陽の光が差し込まない分、昼と夜が逆転してしまっている生活を送る者も少なくない。それだけ時間に余裕があるのだ。
とある妖怪は言っていた、「朝からちょっと昼過ぎまで働いて、あとは酒飲んで皆と騒いで寝るだけ。それだけで人生に他には何もいらない」と。日本の人々も、そんな生活が送れていれば…って考えているだろうか。
ケン「…て、そんな場合じゃない。扇風機、扇風機」
大通りを早歩きで進み、扇風機を売ってくれそうな店を探す。
しばらく歩くと、外から流れ着いた品物を扱う店の前に扇風機が数台置いてあるのを発見した。
ケン「コレだ…すみませーん、一つくださ…お?」
ヤマメ「ん…あれ?ケンは…」
ケン「あ、おはよう。いやー、良い買い物ができたよ。これがあれば、暑い地底での生活もかなり楽になると思うね」
腕組みをしてうんうんと自分だけで納得しているケンを見て、「?」となっているヤマメは部屋が妙に涼しい事に気が付いた。そして、小さくゴォォーという音が聞こえている。
ヤマメ「ねぇ、何を買ったの?」
ケン「ふふふ、聞いて驚くなよ?エアコンだ」
ケンが指差した方を見ると、白い長方形の大きな箱が音を立てている。
ケン「あれから冷気が出てるんだ。これで部屋は涼しくなるよ。ヤマメが倒れた時はビックリしたねー。だからこれを買ったんだ。もう倒れたりしないように」
ヤマメ「私の事を思ってだなんて…やっぱり優しいのね」
ケン「それほでも…あ、これお会計」
小さい紙を笑顔で渡したケンは、金額を見たヤマメの表情を知らなかった。
ヤマメ「え…何この額…。もしかして、私が数年貯め続けたお金、全部使っちゃった?!」
最近暑いですね。エアコンつけてほしいです…。夏場が汗をかきやすいので、団扇とか水筒とかないとやってけませんね。
読者様につかの間の安らぎを
「kanisaku」




