堪能する二人。そして破綻
ヤマメ「はぁ~」
ケン「ひぃぇやぁ~」
ヤマメ「何なのよその声…」
エアコンの風が当たるベストポジションに座る二人はエアコンの冷風を堪能していた。外は30度越えの蒸し暑さだが、ここにそんなものは関係ない。ただただ送らてくる冷たい風を全身で受け、今までの汗を冷やしていくだけだった。
ヤマメ「それにしても、外の世界ってホントに便利ね。何でもあって羨ましいわ」
ケン「俺はこっちの自由な方が好きだな。多少不便でも…それもまた一つの情として捉えれるこの世界がね」
ヤマメ「そうだけど…」
ケン「それに、特殊な道具も使わないで生身だけで飛ぶなんて、外の世界じゃ絶対に無理だ。怖かったけど、良い体験をさせてもらったよ」
ヤマメ「そう…それは良かったわ」
そこで会話は途切れた。二人は、じっとエアコンを見つめながら、静かな時間を過ごす。それから数分経ったくらいだろうか。
ヤマメ「今度は寒すぎない…?このままだと風邪引いちゃうわよ?」
ケン「そうだな…じゃあ一旦消すか」
ケンはリモコンのスイッチを押してエアコンを切り、立ち上がって背伸びをする。
ケン「うー…。何かすることないかな…あ、さっきはゴメンね。勝手にヤマメのヘソクリ使っちゃって…」
ヤマメ「あんなに高いなんて思わなかったわ。それにあのお金。家の全財産よ?」
ケン「え…?」
ヤマメ「何時も出かける先でお金使ってたけど…結構やり繰りしてたのよ」
ケン「えっと…どうしよう。これ使いづつけてたら電気代とかかかると思うんだけど…」
ヤマメ「私の為に買ってきてくれたのは嬉しいけど…困ったわね」
うーんと悩みこむヤマメは、すぐにハッと顔を上げる。
ヤマメ「そうだ。一緒にいろんな場所に働きに日雇いで働きに行きましょう。少しずつでも貯めていけば安定してくるはずよ」
手をパンと叩いて名案だと言わんばかりに明るい表情をするヤマメに、訪ねてみる。
ケン「日雇いったって、そんなに稼げるものなの?向こうじゃそんなに貰えないイメージだけど…」
ヤマメ「ここじゃ一日日雇いの仕事をすれば、物によっては3日は生活に困らないくらい稼げるわ。大きい仕事を狙っていきましょう」
ケン「力仕事か…日頃の筋トレの力を見せる時が来た…ような気がする」
ヤマメ「え?あの筋トレまだしてたの?」
ケン「回数はちょっと減っちゃったけど続けてるよ」
ヤマメ「へぇ…じゃあ、今日はもう夕方だし、明日行きましょうか」
ケン「だな。飯の準備だー」
ヤマメ「ふふ、残念だけど、冷蔵庫も空っぽよ」
苦笑いで冷蔵庫を開けて見せるヤマメの言うとおり、冷蔵庫には少しの野菜と卵が二つだけ、他には調味料らしきものが数個置いてあるだけだった。
ケン「嘘ぉ!?」
ヤマメ「ホントよ」
それを聞いて、ガクリとうな垂れるケンは落ち込んでいるに違いない。
ヤマメ「まぁまぁ…明日の朝までは何とか持たせるから…」
ケン「そうだな…」
その後、ヤマメが作ってくれたトマトと卵焼きを混ぜたよくわからないのを食べて就寝した。意外と美味しかったのは確かだった。
冷蔵庫がスカスカだと、何か心配しますよね。最近では家で「ちょっと少なくなってきたな…」って思ったらすぐに買い貯めるようにまで…。病気か何かですかね。
読者様につかの間の安らぎを
「kanisaku」




