混浴、流し合い
男性用の銭湯に無理矢理入り込んだヤマメは、ケンの背中をタオルで洗っていた。
ヤマメ「そうだ」
思い出したように言うヤマメはタオルを自分の胸に当て、ケンに抱き着く。前にもしたやつで、スリスリするように身体を擦るというやつだ。しかし、今回はケンに止められる。
ケン「混浴なら良いけど、男用の銭湯でそれは止めてくれ。本当に変人だと思われる」
ヤマメ「良いじゃない。減るもんじゃないんだし…」
残念そうにタオルを両手に持ち直し、背中を洗うのを再開する。
ケン「周りからの見る目が変わる。普通の人、から、変人、に変わる」
ヤマメ「良いのよ。元から変な人じゃない」
ケン「そうか?」
ヤマメ「女性を紐で縛ったり、くすぐったりするような人が普通な人なの?」
ケン「うーん…多分違うな」
人差し指と親指で顎を支え、少し悩んだケンは答えを出す。
ヤマメ「でしょ?元から変人なら、減るものもないわ」
ケン「だけど…今回は遠慮しとくよ。そんな気分じゃないんだ」
ヤマメ「そう…残念」
ションボリとするヤマメは、桶に注いだお湯で残念さと共に泡を流していく。そんなヤマメを励ますように頭を撫でる。
ケン「なぁに、地底に戻ったらいくらでも受けてやる」
ヤマメ「そうね、楽しみにしてるわ」
笑顔を戻ったヤマメはケンに背中を向けて、溜まった汗と汚れを荒い流してもらう。
ヤマメ「やっぱり、アナタと居ると…落ち着くわ」
ケン「そうなのか」
ゴシゴシと背中を洗っていると、どんどん泡立ってくる背中を見つめながら返事をする。
ヤマメ「ええ、まるでぐっすり眠った後の目覚めみたいに、疲れがとれるの」
ケン「へぇー…」
ヤマメ「だから、ずっとアナタと一緒に居たい。それに、こんなカッコいい人にはそうそう会えないわ」
ヤマメの言葉に、横の壁についている鏡を見て考える。
ケン(カッコいい…のか?まぁ、太らないように体系は痩せるように維持してるけど…カッコいいのか?そんなに顔に自信があるわけじゃないんだけどな…)
誰に似てるとも言われたことはないが、カッコいいとも言われたこともない。
ヤマメ「それに…アナタ人間なのに私の病気にかからないもの、私とこんなに長く一緒に居れた男性なんてい今までいなかったわ」
ケン「なんで俺病気が効かないんだろうね」
ヤマメ「分からないわ。でもいいじゃない。私はアナタと居れて嬉しい…アナタも、そうでしょ?」
ケン「まぁ…ねぇ」
ヤマメ「嬉しそうじゃないわね…私のこと嫌いかしら?」
不安そうに質問するヤマメの背中をお湯で流し、指で皿を擦るようにキュッキュとしてみる。
ケン「いいや、嫌いじゃないさ。ただ…ヤマメも一応妖怪なんだなって…。やっぱり俺食われちゃうのかな」
ヤマメ「食べないわ、だって、食べちゃったらもうアナタと会えないじゃない」
ケン「それもそうだな…あれ?前にも、この質問俺しなかったっけ?」
ヤマメ「そうだったかしら?覚えてないわ」
一緒にお風呂…いいですね。入ってくれる人がいて。
読者様につかの間の安らぎを
「kanisaku」




