愛人を映す瞳
カズヤに這い寄るパルスィは、相変わらず不敵な笑みを浮かべたままだ。四つん這いになって、カズヤの顔を覗き込んでいる。一見、ただの人間の少女に見えるパルスィは妖怪。人間であるカズヤは、抵抗してもその呪縛から逃げることはできない。怪しげな緑の両目がカズヤを映し、パルスィに喜びを与える。
パルスィ「ねぇ、これ外してほしい?」
カズヤを拘束している鎖を持ち上げて訪ねるパルスィに、ゆっくりと頷く。
すると、ニコニコとしているパルスィは何も言わずカギを取り出して鎖と自分を繋げている首輪に差し込み、取り外す。
カズヤ「なんのつもりだよ…」
パルスィ「あら?やっぱり繋がれたままの方がよかったかしら?」
カズヤ「いや、もう繋がれるなんて嫌だ…このままにしてくれ」
パルスィ「…分かったわ。首輪はもうしないであげる、けど…。この家からは出ないでね?もし出たら…」
それ以上は言わなかったが、何をされるのかは薄々理解できる。
カズヤ「…」
パルスィ「大丈夫よ、この家から出なければ何もしないわ。だから、ずっとここに居ましょう?」
カズヤ「…あ、あぁ」
パルスィ「ふふ、良い子…」
後ろから撫でるように寄り添うパルスィは、互いの右手を絡ませ、カズヤの手を握る。
カズヤ「なぁ…俺の、どこがいいんだ?顔には自信ないし、性格だって…パルスィを斬るくらいしたんだぞ?」
パルスィ「私は、大事なものを全部失くしたわ…正直、死のうとも思ってた…けど、その時にアナタが話しかけてくれたわ」
カズヤ「あれは、ここに迷って道を聞いただけじゃ」
パルスィ「それでも…せめて誰かと居たかった。だから…アナタを選んだの。そして、カズヤを見て、知ってくる内に思ったわ。『この人なら、私の心を満たしてくれる』って…」
カズヤ「俺よりもっと良い奴なら、他にも居るだろ」
パルスィ「いいえ、カズヤだけよ。私の心を満たせるのは…もうカズヤじゃなきゃダメなの、最初に私を選んでくれた、カズヤじゃなきゃ…」
カズヤ「選ぶって…ただ話しかけただけじゃ」
パルスィ「無視だって、できた筈よ?あの橋からこの街が見えたでしょ?だったら、私なんて放っておいてそこを目指せばよかった。けど、カズヤは話しかけてくれたの。つまり選んでくれたのよ。こんなに嬉しいことはないわ」
カズヤ「…」
パルスィ「ねぇカズヤ。さっきも聞いたけど、子供は何人欲しい?」
カズヤ「子供なんて欲しくない」
パルスィ「私だけを愛してるってこと?嬉しいわ」
カズヤ「そうじゃない。妖怪のパルスィとはできないって言う事だよ」
パルスィ「あら?前はしたじゃない…最後は泣いてたけど…。そんなに嫌だったのかしら」
カズヤ「…初めてだったんだ。女性とするのは」
パルスィ「一応私を女として見てくれてるのね?嬉しいわ」
カズヤ「だって、見るからに女だろ…」
パルスィ「…たとえば、どこが?」
カズヤ「…顔とか」
意地悪な質問をしてくるパルスィに、なるべく当たり障りのない回答をする。
パルスィ「顔だけなの?」
カズヤ「…胸とか?」
パルスィ「ふふ、えっち…」
カズヤ「言わせたんだろ。胸って言っても、そんなに大きくないし…」
パルスィ「酷いわ。これでも毎日牛乳は飲んでるのに…」
カズヤ「大きさは…人それぞれでいいんじゃないか?」
ふたり の こうかんど が すこしだけ あがった!
このお話も、投稿を初めて早1か月。みなさんは、お元気にお過ごしでしょうか。自分としては、書く速度が遅いのでそれを上げればと思っていますが、中々無理そうです。まだしばらくこの小説は続きますので、よろしければ最後までお付き合いお願いします。
読者様につかの間の安らぎとジェラシーを
「kanisaku」




