溺愛中の溺愛
ヤマメ「やっと作れたわ。これが、病気の効かないケンに対して、唯一効く特効毒。『ヤマメ病原菌』」
ケン「あぁ、ずっと考えてたんだ」
ヤマメ「ええそうよ。だって、今のアナタも良いけど…。やっぱり私だけを見ていてほしいの。だってケンったら、外出した時は私以外の他のものばっかり見てるもの。寂しい…。だから、この惚れ薬…いや、惚れ毒薬でケンを完全な一途にするの」
ケン「するのはいいけど、試作とかしたの?毒の副作用で死ぬとかやだよ?」
ヤマメ「大丈夫よ。試しにそこらへんにいた男に飲ませてみたら、すぐに私に抱き着こうとしてきたもの。もちろん骨も残らず食べちゃったけどね…。副作用の方も大丈夫よ。根拠はないけど…」
ケン「じゃあダメじゃん」
ヤマメ「心配しないで、イザとなったら私も死ぬわ。その時は一緒にあの世で永遠に過ごしましょ」
ケン「あの世にはまだ生きたくないな~。この世界でのんびりとしてたい…」
ヤマメ「兎に角、飲んでみて」
ヤクルトサイズの茶色いビンに注がれているピンク色の液体。匂いはしないが、怪しい雰囲気だけはかなり臭ってくる。
ケン「しょ、しょうがない…。じゃあ飲むよ?」
ヤマメ「頑張って、アナタ」
ドキドキしながらも、意を決してその液体を一気飲みする。
胸に両手を当てて見守るヤマメを目の前に、逆さに持ち上げたビンごとその場で硬直している自分。
謎の時間が刻々と過ぎていく。そして、破裂した。
ケン「ぅお!ゲホッ!ゲホッ!何だこれゲホッ!ガハッ!」
喉を押さえながら何度も吐きそうになる。その度にギリギリで堪え、ぶちまけるのだけは死守する。
ヤマメ「頑張ってケン!きっとその苦しみに耐えれば、私の事を好きになってる筈よ!」
ケン「げほっ!ぐふ…」
吐くのは耐えたが体力が持たず、視界がボンヤリとしてきて、最後は完全に眠ってしまった。
目が覚めた時は、布団の中だった。視線の端に見える家具やダルマの置物から、ヤマメの寝室であるということがわかった。そして、そんな事を考えていると、もう一つの考えが、頭の中を支配する。
ケン(ヤマメの部屋…ヤマメ、ヤマメ…ヤマメ!)
掛布団を蹴飛ばして起きあがり、部屋を飛び出す。となりの部屋で洗濯物を畳んでいたヤマメを発見し、飛びつくと同時に抱き寄せる。
ケン「ヤマメぇ!大好きだ!絶対に離さない!」
ヤマメ「ケン!?成功したのね?!」
ヤマメも嬉しさのあまりに涙を流し、ケンを抱き返す。愛おしそうに互いの背中を両手で撫でまわし、深いキスをする。
ヤマメ「大好き!ケン!」
ケン「ヤマメ、俺もだ。もう絶対に離れない…!」
ヤマメ「ケン…ケン。もう、離さないわ…」
4本の蜘蛛の脚を出して、ケンを強く抱きしめる。キスをしたままの二人は互いに舌と指を絡ませ合い。愛情を練りあっていくのだった…。
ヤマメ「ケン…ケェン…。うふふ…」
ケン「…」
いつの間にか自分の布団に紛れ込んでいたヤマメは、枕を抱いてクネクネ動き、頬を赤らめながら自分の名前をささやいている。
ケン「なんだよヤマメ、ついに壊れたか?なんか怖い…」
そんなヤマメを見ていると、突然ヤマメの腰部分から4本の蜘蛛の脚が出てきて、ものすごい勢いで枕を抱き寄せる。
ケン「ヒィ!?」
ビックリして情けない声が出るケンを他所に、ヤマメの夢は続くのだった。
夢落ちです、はい。ヤマメちゃん可愛いです。ケンがヤマメに対して怖がるような表現があるのって、何気に今回が初めてではないでしょうか。
読者様につかの間の安らぎを
「kanisaku」




