お寿司
プールから出たケンとヤマメ。手を繋いで帰路に着く二人は、一軒の店の前で立ち止まる。
ケン「寿司か…。そういえば、ここ数か月。元の世界でも食ったことないな…」
ヤマメ「そうなの?丁度お腹も空いてきたし…食べていこうかしら」
ケン「マジで!?ありがとうヤマメ!大好きだ!愛している!」
ヤマメ「そ、そう…私も愛してるわ。ケン…」
ケン「大好きだぜヤマメ!」
ヤマメ「うふふ。何時にもまして喜んでるわね」
店内に入ったケンは驚く。まさか、地底にプールに続いて回転寿司まであるなんて。とりあえず二人並んで席につき、メニューに目を通す。
ヤマメ「本当に外の世界の化学って便利なものね」
ケン「まぁね…その代り、自然とかがかなり無くなっちゃったけどねー」
ヤマメ「そうなの?ここは地底で分かりにくいけど、地上じゃ森や山ばっかりよ」
ケン「俺としては、そっちの方がいんだけど…」
ヤマメ「自分達で作っておいて、気に入らないの?」
ケン「俺は神様でも世界の大統領でもないんだ。日本…元の世界じゃ、俺が生まれる100年以上前から木を切って土地広げたり、建物立てたりしてるよ。もうどうしようもないんだ」
ヤマメ「ふーん…」
ケン「なんか湿っぽくなるな。止めよう、今は寿司でも食おうぜ」
丁度流れてきたサーモン寿司が乗った皿を取り、醤油を付ける。ふとヤマメの方を見ると、目をキラキラさせながらこっちを見ている。
ヤマメ「…食べさせて」
ケン「…ヤマメに?」
ヤマメ「ケンに。私から」
ケン「…はぁ、そうだよな。ちゃんと形のある食べ物はヤマメが食べさせるってことだったな…どうぞ」
普通に食べるのを諦め、ヤマメに寿司を差し出す。ニコニコと笑顔で自分の口に運ぶ。そして自分の顔を両手で掴み、キスをすると同時にサーモンを口移しで自分に渡す。醤油とトロっとしたサーモンとヤマメの唾液が混じって、なんだかよくわからない触感だったが、美味しいのは確かだった。
ケン「…うん。やっぱりカレーと違って美味しい」
ヤマメ「そう、それは良かっ…。私の手作りカレーが。寿司に負ける?」
ケン「俺が居た元の世界じゃ、カレーより寿司の方が高級だしね」
ヤマメ「そっちでも高いものなら…納得ね」
ケン「そうだな、ヤマメは何か食わないのか?」
ヤマメ「食べるわ。そうね…あ、これ美味しそう」
ヤマメが手にしたのは鉄火巻き。お返しとばかりにそれを取って自分の口に含める。そして、ヤマメにキスをしてさっきと同じように鉄火巻きをヤマメに食べさせる。
ヤマメ「ん…。美味しいわ。ありがとう。初めてじゃないかしら?ケンが私にしてくれるのって」
ケン「かもな。さ、もっと食べようぜ」
ヤマメ「ええ」
ケン「でもさ、もうちょっと早く食べたいかな。ここだけ、普通に食べちゃだめ?」
ヤマメ「なら、私がすぐに食べるわ。それで我慢してちょうだい」
ケン「お、おう…。わかった」
その後、お寿司を交換しながら食べるという珍妙な二人の姿は、その日の寿司屋の店員の話題となっていた。
サブタイは適当なんかじゃないもん!御免なさい、思いつかなかったのでちょっと手抜きです…いいじゃない、サブタイくらい。
さて…、毎回この食べ方されると、なんだか胃が痛くなってくるんですよね…不思議です。
読者様につかの間の安らぎを
「kanisaku」




