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ヤマメとの生活  作者: kanisaku
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恋しいこいし

プール。水中に潜水している男性、ヒロキは辺りをキョロキョロと見回している。まるで、誰かを探しているようだ。そんなヒロキの背中に突然衝撃が起きて、大量の泡と一緒に酸素を放出してしまう。

  ヒロキ「ごぼぉ!?」

  こいし「ヒロキ兄ちゃんボート役ぅ!」

衝撃の正体は、上から飛び乗ってきたこいしだった。紺色のスクール水着を着たやんちゃ盛りな少女は、満面の笑みでヒロキに抱き着く。

  こいし「へへ~。ボート♪ボート♪」

  ヒロキ「うぐぅ…痛い…。もうちょっと手加減してく、痛い痛い痛い」

髪の毛をゲームのレバーのように引っ張られ、左右に揺らされる。

  こいし「操縦桿っ、操縦桿っ」

  ヒロキ「分かったから離して、痛いから」

  こいし「え~。じゃあ、後で『1年耐久一緒の部屋で過ごすゲーム』しよう?」

  ヒロキ「いいけど…楽しいの?」

  こいし「ヒロキに兄ちゃんと居るだけで楽しいっ!」

  ヒロキ「はは、嬉しいよ…」

引き笑いで返事をすると、こいしはより嬉しそうにヒロキに上に乗ったままギュッと強く抱きしめる。

  こいし「本当!?じゃあ3年に増やすね!」

  ヒロキ「うぇ!?1年!1年でいい!」

  こいし「え~。3年にしようよ~」

不機嫌そうに頬を膨らませるこいしは、再度ヒロキの髪を両手で掴んでグイグイと引っ張る。

  こいし「3年!3年!絶対に3年なの!」

  ヒロキ「わかった!分かったから!3年でいいから!」

  こいし「わーい」

パッと手を離し、笑顔に戻る。本当に現金な子だ。

  こいし「じゃあ地霊殿に戻ろ?」

  ヒロキ「まだ来たばっかりじゃないか。もうちょっと泳いで行こうよ」

  こいし「え~?」

  ヒロキ「だって3年も同じ部屋に居るんでしょ?次に入れるのは3年後なんだし、長く居させてほしいな」

  こいし「む~」

  ヒロキ「そんな頬膨らましたって、俺はここから離れないぞ。石に噛り付いてでもだ」

  こいし「石…小石…こいし…私かじられちゃうの?でも、ヒロキ兄ちゃんならいいかも…」

  ヒロキ「…そういう意味じゃないんだけど」

  こいし「痛いから甘噛みが良いな。でも…強くかまれて、ヒロキ兄ちゃんが付けてくれた痕もいいな」

  ヒロキ「もういいや、このまま泳いでくるよ。こいしはどうする?」

  こいし「泳ぐ!」

勢いよく水面にうつ伏せになり、バシャバシャと水を乱雑に弾きながらゆっくり前に進む。妖怪とはいえ、子供だからなのだろうか、今一進めていない。

  ヒロキ「うーん…これじゃすぐに措いてっちゃうな…」

  こいし「それじゃヒロキ兄ちゃんに捕まってる!」

  ヒロキ「それ泳いでないよ?」

  こいし「いいのいいの」

ヒロキの胴を両手で掴むこいしは相変わらず笑顔のままだ。それにヒロキも笑顔で返し、慣れた動きで水をかき、スイスイとこいしを連れて泳ぎだす。

  こいし「ヒロキ兄ちゃん泳ぐのうまーい」

  ヒロキ「そうか?まぁ、こう見えても昔は25mの尖兵と呼ばれてたんだ」

  こいし「凄いのかどうかわからないけど、かっこいい!」

二人はそのまましばらく、プールの水の冷たさを味わいながら、楽しい時間を過ごした。

今回は、前回ちょこっとした登場しなかったこいしちゃんのお話です。男性の名前はヒロキって言うんですねぇ。全国のヒロキさんが羨ましいです。


読者様に、無意識の間に安らぎを

              「kanisaku」

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