↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【部屋で快適に過ごす】とかいう不遇スキル、実はダンジョンの概念を書き換える神スキルでした  作者: 静寂 響
第1部:『Fランクから始める快適部屋づくり編』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
42/95

第24話:最深部の「家具」と、世界の書き換え

『ドォン……!』

神殿最深部――重厚な装飾が施された両開きの巨扉を押し開けると、そこは広大な『王の玉座の間』だった。

天井高は二十メートルを超え、磨き上げられた漆黒の大理石の柱が幾重にも立ち並ぶ。壁面には古代の精巧なレリーフが刻まれ、神聖さと底知れぬ圧迫感が空間全体を満たしていた。

そして、その中央――一段高くなった玉座の前に静かに鎮座していたのは、この神殿の主であるS級魔獣『古代の守護神像(アシェン・ゴーレム)』である。

全身が光を吸い込むような漆黒の古代金属で鍛え上げられており、その体躯は優に七メートルを超える。胸部の中央には、莫大な魔力を秘めた巨大な赤色のコアが、不気味に脈動しながら眩い光を放っていた。

『ギ……ギギギギ……ッ!!』

侵入者の存在を察知した神像が重厚な駆動音を響かせ、足元の石畳を微震させながら立ち上がる。その手に握られた巨大な石の双刃剣を引き抜くだけで、大気が激しく震え、暴風のような圧迫感が押し寄せてきた。

並の探索者であれば、その威圧感に対峙しただけで膝を折り、呼吸すら満足にできなくなるほどの絶対的な死の気配。

「あ、あれが……この神殿の最奥を守るS級魔獣……『古代の守護神像』……!」

私の後ろについてきたアリスは、驚嘆の吐息を漏らしながらも素早く手帳を開き、青く輝く『魔力視覚』の瞳を輝かせた。

「胸部の魔力コアから全身の関節部へ、途方もない密度の魔力が循環しています……! 物理打撃も魔法攻撃も一切受け付けない、完璧な防衛機構……まさに古代文明の遺産ですね……!」

恐怖に怯えるどころか、むしろ超常の存在と現象を前に興奮を隠しきれない様子で筆を走らせるアリス。

しかし、私自身はゴーレムの放つ威圧感など微塵も気に留めていなかった。私の視線は、ゴーレムの頭上――玉座の真後ろ、壁面の飾壇に設置されていた「ある二つの物体」に釘付けになっていたのだ。

そこにあったのは、淡い青色の清らかな光を放つ『永久温調の魔石』と、その隣で周囲の空気中の不純物を留まることなくろ過し続けている『古代式・極上空気浄化の真珠』。

どちらも現代の魔導技術では再現不可能な、古代文明の遺産――まさに環境管理の至宝だった。

「……素晴らしい」

私は思わず、感嘆の呟きを漏らしていた。

(あの魔石の安定した魔力出力と温度制御機構があれば、我が家の自室における年間の温度管理が完全に無調整で完結する。さらにあの真珠の空気清浄能力があれば、梅雨の時期の湿気や部屋の埃対策も永久に完璧だ……)

それはまさに、私が今回の「内見」と買い出しで求めていた、理想の最高級室内環境パーツ(インテリア)そのものだった。

あれさえ我が家に持ち帰れば、今後の自室生活の快適度は格段に跳ね上がる。読書や昼寝の環境としては、これ以上の贅沢はない。

「アリスさん」

「は、はいっ!?」

「あの奥にある魔石と真珠を回収します。……少々『邪魔な大型の設置物』がありますが」

「は……? 大型設置物……?」

アリスが首を傾げたその瞬間、私は踏み出す足の裏を通して、この『王の玉座の間』全体の四方の壁、天井、そして床に至るまでの全空間を、完全に自分の『自室』として認識・ロックオンしたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。