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第24話 HELIOS



「これ見ろ」


 翌日。


 ロイドは寄宿舎の机へ古いデータを並べていた。


 HELIOS ATLANTIC。


 崩壊前、ネオマイアミ港湾とエネルギー流通を支配していた巨大企業。


 古い広告には、


 白い高層ビル。


 人工ビーチ。


 笑顔の家族。


 そして太陽のロゴ。


「胡散臭ぇ……」


 カイが呟く。


「今の企業全部そうだろ」


 ロイドは真顔だった。


 スマホから復元されたメモ。


 断片的な画像。


オフィスらしき部屋の画像。


部屋の壁の一部は隠し扉になっており、大きな空間がある。そこに銃器や金塊、書類を入れてるようだ。


暗証番号メモ付き


「隠し金庫だと思う」


 ロイドは画面を拡大する。


「エステバン・ルイス」


「こいつ、ただの社員じゃない」


「別組織に情報流してた形跡がある」


「スパイ?」


「たぶんな」


「でも元々は普通の企業人だと思う」


 カイは動画を見る。


「普通さ、金庫の写真とか取引の証拠をスパイは残さないだろ。アマチュア感するな」


 途中から映像が激しく揺れていた。


 誰かに追われていたようにも見える。


「これ、本当にまだ残ってんのか?」


「分からん」


「二十七年経ってる」


「とっくに漁られててもおかしくない」


 ロイドは少しだけ笑う。


「でも金庫ってのは、そう簡単に見つからないよう作るもんだろ」


 その言葉に、カイは少し黙った。


 もし残っていれば。


 金。


 旧世界の物資。


 企業データ。


 さらにシェルターの情報もあるかもしれない。


シェルターが手付かずならさらなるお宝が手に入る。



「……で?」


「場所は?」


 ロイドは地図へ丸を付けた。


 ネオマイアミ旧企業区画。


 半水没エリア。


 HELIOS ATLANTIC本社跡。




「なんか、ちょっとワクワクしてきたな」


「死ぬ時は一瞬だぞ」


「お前急に現実的だな」


「現実担当だからな俺は」


 寄宿舎の外では、夜のネオマイアミがネオンと湿気に沈んでいた。


 遠くで飛行船のサイレンが鳴る。


 どこかで銃声。


 どこかで笑い声。


 そして地下では、今も誰かが密輸ルートを走っている。

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