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煌めくシャンデリアに夜だとは思えないほど眩い会場。
行き交う人皆、煌びやかな衣装を身に纏っている。
私の手を引くクリスは「君が一番綺麗だよ」とそれはもう蕩けるような瞳と声で囁いた。私の婚約者様がこんなに素敵。魂抜けそう。
お、おかしいな。私前世は特にクリスが推しってわけじゃなかったんだけど。まぁ、ゲームと現実は違うものですよね。うん。
王族の入場の際に、一緒に入場することになるのだけれど、今年はこれっきりで夜会は終わりだ。なぜならクリスが本来の夜会デビューが来年なので。今回は私の「今年度成人になる貴族ですよ」というお祝いと、婚約の発表で特例である。
基本的にこの国では、余程の事情(財政難や喪中等)がない場合には16歳になる年度にその夏初めの王家主催の夜会でデビューすることになる。ミーシャさんは実家の財政難のせいでできていなかったけれど、この度ヒュバードお兄様の婚約者となったことでそこらへんの問題がなくなったとされて今日は一緒にデビュタントを迎えることになった。
そして、本日以降満16歳になり次第婚姻が可能となる。私は誕生日が年末なのと、クリスの誕生日を待たないといけないのでそこまですぐには結婚しないけれど。王子妃教育もあるし。
クラウス殿下とレティシア様は学院卒業次第結婚らしい。私たちもそんな感じになりそう。
王家の皆様と一緒に入場し、クリスに手を引かれる私を見て顔色を変える方々がちらほら。クリスはちょっぴり悪い顔をしている。
「ほら、姿勢を正して真っ直ぐ…そう。気にするのは僕だけでいいよ、フィー」
「ふふ、ありがとうございますわ。クリス様」
瞳を合わせて二人で笑い合う。
そして、陛下の口からクリス様との婚約が発表された。
王妃様が満足げに頷いていた。そして、陛下に目線をやると、陛下は青い顔で気まずそうに目を逸らした。側妃様は後ろに控えていたけれど、少ししてそっと席を外された。
「側妃様、少し顔色が悪いのではありませんか?」
気のせいかも、とは思ったけれど小さな声でそう問うとクリスの表情が曇った。
「後で話すよ」
そう言って笑みをつくった表情にこれやべー案件じゃないでしょうか、と気づく。
「それは置いておいて、せっかくのデビュタントだ。一曲お願いできませんか?僕の可愛いプリンセス」
指に落とされた唇と、悪戯にされたウインクが妙に決まっている。
いきなり話を変えたことはおそらくここで話せることではないからなのでしょうけど、ファーストダンスを踊りたいというのは私もなので大人しく「はい」とクリス様の手を取った。
「あれが王子妃なんて聞いていないわ!」
いや、それ公式の場で言っちゃダメなやつ……。あれ確か伯爵家の令嬢だったな。
「あれがダメな令嬢の例だから、君は自分が真っ当で愛らしい、優しい人だとちゃんと自覚するんだよ」
「極端すぎますわ」
大慌てでその子を回収したのはおそらく父親だ。
まぁ、王族というよりはうちのお父様を敵に回したくないと見ました。
ちなみにアルヴィンお兄様は途中から私の後ろでジーっと周囲を見渡していた。
「だいぶ絞れたな」
それは何の話でしょうか、お兄様。




