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クリスが言うには、1番上のお兄さんが今容体がヤバいらしい。国家機密じゃん。それは側妃様も顔色悪いわ。だって彼女にとっては一人息子だもの。
というか、無理矢理連れ込まれて子供生まされた挙句に息子死にかけてたら世を儚んでもおかしくない。
ぷるぷる震えた私に、「現状、兄上が後継で確定しているから母上も別に治療するなとは言ってないんだけどね」と苦笑している。
王家怖い。嫁ぐことになったけど。怖い。
「母上の実家に目をつけられたくないと、リオンハルト兄上を治そうとする人はいなかったんだよ。今となってはあれを治せる術者がいるのかも不明だ」
その名を聞いて前世の「私」の記憶を辿る。
検索結果、中ボス。
や、やめてくださいまし…!
これヒュバードお兄様ルートなんです。
呪いのせいで理性を完全に失い魔物のようになった幼馴染を殺すことになるというヒュバードお兄様ルートで一番の病み展開。
兄の慟哭を聞くかもしれない展開を耳にしてしまった。辛い。
「それって、光の魔法でなんとか軽減していけるような感じですか……?」
「え?……ああ、君はそうか、光の……。いや、わからない。試してみても良いかもしれないけれど、ソフィア妃が何と言うかによるね」
あ、はい。一応魔力だけは国内随一らしいと聞く光の魔法使いです。
「ヒュバードお兄様が病むのだけはちょっと……」
「何故そこでヒュバード?」
「ヒュバードお兄様、昔リオンハルト殿下のご友人してませんでした?」
「僕はあまりリオンハルト兄上と関わりがないからなぁ」
難しい顔でそう言うクリスだったけれど、夏休みだしお伺いだけ立ててみるか、ということになった。
帰宅後にお父様にお話をすると、ヒュバードお兄様をお呼びになってその説明をされた。リオンハルト殿下のお見舞いには個人で行っているらしいヒュバードお兄様でしたが、そろそろ容体がっていうのは知らなかったらしく驚いた顔をしていた。
「リオンハルト殿下は俺の前では強がっておられるので」
小さな声で「弱みを見せられる相手じゃなかったんだな、俺は」と寂しそうに呟いた。
仲がいいからこそ心配をかけたくない、暗い顔を見たくないし見せたくない。そういう友情だってあると思います。
「今のフィンならば或いは、闇魔法による呪いを弱らせることならできるかもしれない。それに……お前が惚れ込んだミーシャ嬢。彼女の闇魔法は相当な練度だと聞く」
お父様これヒュバードお兄様呼んだのミーシャさん込みで今なら勝算あるかもって思ったからなのかな。
そんなことを考えていると、ヒュバードお兄様が私の髪をぐしゃぐしゃにするように頭を撫でた。
抗議しようと思ったら少し突けば泣いてしまいそうな顔をしていたので言葉が引っ込んだ。
「希望をありがとう、フィン」
……今だけは許して差し上げてよ!




