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サマーパーティーが終わったら次はデビュタント。
両親が張り切っている。娘の夜会デビューである件もそうだけれど、何より初恋に。
恥ずかしいのでやめて欲しいけれど、これでも準王族の扱いになるので目立つの自体は慣れていく必要がある。
そしてヒュバードお兄様と婚約することになったミーシャさんもデビュタントを一緒にするらしく、お兄様が張り切っている。
ミーシャさんは辞退しようとしていたらしいが、「ヒュバードの小遣いから出ているから気にしなくて良いよ」とお父様に言われてしまい、背景に宇宙背負っていた。気持ちはわかる。うちめっちゃお金あるから娘の私もビビる。
「ドレスは公爵が譲ってくれなかったんだけど、アクセサリーは僕の色を贈って良いと了承を得たからね」
クリスは楽しげに私の髪に髪飾りを当てていく。
商人は楽しそうにずらりと商品を並べている。もう誰も止める者はいない。基本的にデビュタントというのはみんな気合い入れるので、結構な金額が動くものらしい。その中で公爵令嬢の私が地味でいるのは失礼だ。この年代の中では一番高位の令嬢なので、私以上にはみんな着飾ることができないわけだし、私がみんな以上に着飾ることで経済が動く。ある意味高位令嬢としての義務である。
「この色はいいね」
「お目が高い。最高品質のルビーでございます」
にこにことクリスを見る商人の顔がパッと輝いた。本日の目玉だったのだろう。
私にそれを合わせると、「これを加工してもらおうかな」と言って彼は微笑んだ。
「揃いで僕も何か作った方がいいかな」
「わたくしの色を身につけていただくのも嬉しゅうございますわ」
「そっちも揃いで何か作ってもらおうか」
見つめあうと照れてしまう。
ちなみに、王子妃の予算が出ているのだけど、これだけ頼んでもそこまで響いていないらしい。陛下はやらかし男ではあるのだけど、経済政策に関しては優秀だったらしく、王家の経済事情はそれなりに豊かだ。
そうやって装飾品をいくつか頼むと、そのままお茶会に移行となった。
そもそも、定期的にお茶会をしてクリスに会うことになっている。それだけでとても嬉しいのだけれど。
「それにしても、グレイヴ家はすごくもてなしてくれるね」
「全てわたくしの望むままに、とお父様が仰って……」
お母様は「あまり甘やかすのも良くなくってよ、ギル」と宥めていたのだけれど、何もできなかったところから今の状態に持ってきたご褒美だそうだ。
でも、結局理由があったとはいえ、初めから頑張っていた人の方がえらいに決まっている。私は挫折をして蹲っていたところからようやく立ち上がっただけだ。これからも必死に努力を重ねなければならない。
「君が今、しっかりと努力しているからこそだね」
そうだと良いのだけれど。
「わたくしも、あなたの隣に立てるようもっと努力いたしますわ」
そう言ってクリスの手を取ると、彼ははにかむように微笑んだ。
「尊い……」という小さな声が聞こえて振り返ると、攻略されたヒロインが柱にもたれかかり悶えていた。ヒュバードお兄様がその背を撫でている。
「未来の義姉君は変わっているね」
そう言ってクリスは苦笑した。
私も尊いとか言われるとは思ってなかったので苦笑した。




