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寮の部屋を移ることになった。王子の婚約者になったので警備の関係なんだって。建物から別ってすごい。

ドロシーというメイドが付いたのと、部屋が広くなったこと、相部屋ではなくなったことが大きな変化かな。

クリスがいなくなったこともだけれど。


学期終わりで「クリスティナ」は家の都合で学院を去るということになった。

代わりに「クリストファー」が体調に不安があるから落ち着いている今、早いうちに勉学をという体で秋から学院に通うこととなった。なんでだ。



「フィーを狙う人間を全て婚約者権限で堂々と蹴散らして見せるから」



そう言ってウィンクまでやってのけた美少女顔の婚約者様は、その前段階として王家が秘密裏に契約したタウンハウスで生活している。クリスティナを狙う人も多いのだけれど、クリスはやたらと強い上に護衛もついているので平気なのだとか。


そして、寮の同じエリアにいるのが王太子の婚約者レティシア・トーラスである。

彼女はすでに私がクリスの婚約者になったことを知っているので大はしゃぎだった。



「わたくしの可愛いフィン!こっちに移ってきたのね。わたくしがしっかり面倒を見てあげますからね」


「いえ、わたくしもそろそろ一人で色々できる年齢ですので……」



私の言葉を聞いているのかいないのか。

レティシア様は色んな服を取り出して私に当てていた。いやだから私は人形じゃないのですよ…。



「将来は可愛い義妹ができるだなんて良いお話ですこと!やはりハズレクジにも少しくらいいいことがありませんとね」



そう言って高笑いするレティシア様。いやあの…王太子との結婚をハズレクジ扱いはなかなかロックですね。



「おい!レティシア!!貴様だろう、俺の悪口を彼方此方で触れ回っているのは!!お陰で俺は」


「ミーシャさんに振られたのはヒュバード様の熱烈な告白の結果ですわ。なぜ婚約者の悪口を身内以外に広めねばなりませんの?わたくしが同情されて憐憫の目で見られるではありませんの」



扇で口元を隠しつつも「コイツ頭悪いの?」みたいな目をするレティシア様に、クラウス王太子殿下はウッと詰まった。

そして、そっと目を逸らした。



「わたくしが殿下に興味がないからこそ恋愛に現を抜かせたのですよ。今更嫉妬や妙な小細工など致しませんわ」


「いや、お前はもう少し俺に興味持て。もう少し控えめな服装にしろ」


「わたくしに地味な服が似合うと思っているのなら、その目は腐っておりますので取り替えた方がよろしいかと」



目の前で言い合いされているのだけれど、もしかして私の存在忘れているのかしら?

そう考えていると、クラウス殿下が「いい加減にしろ!」とイラついた様子でそばにあったテーブルを叩いた。

その拍子に驚いて、蚊帳の外の間飲んでいた紅茶のカップを落とすと、その音が妙に部屋に響いた。



「悪い。驚かせるつもりはなかったのだ。怪我はしていないか?」



あの悪童が他人の心配をできたのか、と妙な感心をしつつ苦笑しながら「大丈夫ですわ」と言うと、クラウス殿下は固まっていた。なぜ。



「君は……」


「わたくしはグレイヴ公爵家が三女、フィーネでございます。この度、クリストファー殿下と婚約を結ぶことと相成りまして、こちらの寮へ移動となりました」



秒で真っ青な顔になったのなんで?



「そ、そうか……君がクリスの……そうか……」


「殿下、気を強く持ってくださいまし」



首を傾げると、ドロシーが替えの靴下と靴を用意してくれたので部屋に戻った。



「王太子殿下はいきなり体調を悪くなさったのかしら」



そう呟くと、なんだか妙に生暖かい目で見られた。だから何なの?

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