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深紅のドレスを着せられて、王城の一室でお父様の隣に座る。そわそわとしてしまうのは未来の伴侶となる方との初対面だからだろう。


そっと髪に指を絡ませると、お父様が苦笑しながら「落ち着きなさい」と告げた。それに「はい」と言って微笑みを作る。

落ちこぼれ公女、お子様公女等の散々な言われようである私が王子様に見染められただなんて信じられない。


部屋の扉が開くと、王妃様とその後ろについて王妃様にそっくりな美少年が現れた。

そして、その「彼」の姿に目を見開く。



女性と見紛うばかりの中性的な美しい容貌。

金色の長い髪は細く美しく、光に照らされて輝く。瞳は輝くような赤。

深緑の宮廷服に身を包んだ彼は私を見て「いつものように」微笑んだ。


攻略対象としての絵の状態での彼の姿は知っていた。

だけど、(フィーネ)は引きこもりだ。

それ故に、現実のクリストファー殿下の容姿を間近で見たことがなかった。それに、前世の記憶を思い出しはしているけれど、こちらの世界での常識が邪魔をして、正体に考えが及ばなかった。


要するに、クリスティナは!

クリストファー殿下でした!!


手にした扇が少し軋んだ。腹が立って。

コレ、詰んでるじゃん!!


いやまぁ、うん。私は都合が良いですけれど!?私が他の方が好きだったらどうすれば良かったのです!?



「お初にお目にかかります。僕はクリストファー。第三王子です。学院で一目見た時からあなたに心奪われてしまいました。どうか、僕と婚約をしてくださいませんか」



全然お初じゃありませんけれどぉ!?

本当に私にとっては都合が良いので、淑女的に微笑んで頬を染めながら「はい」と答えた。けれど、心の中ではビンタの一発くらい許されないかしらって気持ちでいっぱいです。


王妃様がにこにこ笑顔で「まぁ、めでたい事。二人で庭でも歩いてきてはどう?」なんて勧めてきた。その前に婚約の契約書に二人で署名して外に出た。



「クリストファー様。わたくし、お庭をじっくり見たことがありませんの。案内してくださいませ」



腕に手をそっと当ててそう言ったけれど、角度的にクリスには私が怒ってるのわかったと思う。ちょっと引き攣った笑顔だったもの。小さな声で「フィー……、怒ってる?」と聞いてきたあたり、私が今気づいたことを察したようだ。


でもでも、同性を好きになって私ってそっちなの、とか、だけど私は絶対殿方に嫁ぐことになるし、とか!王子妃になったらこの想いは捨てなきゃとか考えてたら今日まで来てしまったの。

ちょっとくらい怒っても良いのではなくって!?

クリス、怒られるの巻。

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