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起きたらクリス様のベッドの上でしたわ!あれはおそらく夢ですね。あんな美人が私にあんな事するわけありませんもの夢ですわ。うたた寝してしまった私を寝かせてくれたに違いありません。そうに決まっています。
登校準備をしながら言い聞かせていると、お母様からの手紙が目に入った。
私の婚約者は一つ年下の王子様らしい。真面目で、とても美しい男の子なのだそう。不釣り合いではないのかしら。私は別に美しいとは言えないし、姿は年齢よりも子供っぽい。
まぁ、どう思おうと貴族子女が両親の決めた縁談を勝手に白紙にしたりはできないのだ。ふと、クリスの笑顔が浮かんで首を横に振った。
女の子同士で、なんて少なくともこの国では許されない。いっそ、彼女が男の子であればなんて思ってしまうけれど、それもダメだろう。だって私、未来の王子妃だものね。
部屋から出て、セーラと落ち合うと二人で学院に向かった。
クリスは今日家に呼び出されているらしい。置き手紙があった。
授業を真面目に受けてお昼休み。
何故か駆け込んできたヒューお兄様に連れて行かれた。なにこれ。
高位貴族が内密のお話をする時に借りることが多い部屋を借りていたらしく、そこに入るように促される。
実家の使用人数人が食事を用意していた。
お昼ご飯を美味しく頂いた後、ヒュバードお兄様は深刻そうな顔で「相談があるんだ」と言ってきた。何故私に。
「ケビンがフィーネに聞け、と……」
嫌な予感がしつつも続きを促すと、どうもサプライズで好きな人にサマーパーティー用のドレスを贈ろうと準備をしていたそうだ。イベントのやつだ、と思いながらふとでもこの時って告白イベントとかなかったよねと思ったので、「恋人ですか?」と尋ねるとまだそういう関係ではないとのこと。ゲーム内ならともかくとして現実でそれはまずいです。
「では、婚約をしたいとお相手の外堀は埋めておられますか?少なくとも、ドレスを贈りたいというお話はあちらの家に通しておられるのですよね?」
嫌な予感は得てして当たるもので「いや、そういうのはまだだけど」と照れ臭そうに言う。
「ヒュバードお兄様……」
「えっと…、なにかな」
「告白もしてこない、婚約の打診もない相手からのドレスなんて迷惑ですわ。普通に怖い……」
ショックを受けているようなのだけれど、むしろなにもしていないのに驚く。
というか公爵家から目をつけられた令嬢に縁談が来る可能性も少ないのでやめてあげて欲しいです。今のうちに告白して恋人になって婚約を申し込めと理由なんかも込み込みでお説教をしてしまった。
「というか、そういう関係でもないのに追いかけ回してドレスだけ送りつけるのってちょっと……かなり、気持ち悪いですわ」
兄だけれどドン引きしてしまう。ガチで言ったのが堪えたのかフラフラと帰って行った。
放課後にケビン様がセーラと一緒にやってきて「ありがとう!」と感謝された。
「ヒューくんったら、こっちがどう説得を試みても聞きやしないんだよ!!」
うちのお兄様が大変ご迷惑をおかけしております…。




