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ステラの帳面・その二十四 出汁の欄
『収入見込み。砂笛蛇、三のうち二。毒腺、銀貨四枚。抜け殻と皮、九枚。合計十三枚。三のうち二、と書いた残りの一は、逃げた。逃げた分は、収入見込みの欄ではなく、次回の欄に書く。砂漠は、逃げた獲物を保管しておいてくれる倉庫である。保管料、無料。』
『支出。なし。強いて言えば、悠仁の雷一発ぶんのマナ。マナの仕入れ値は計上不能。よって本件、原価ゼロの十三枚である。商売の理想形が、砂丘に埋まっていた。理想形は、たいてい、変な場所に埋まっている。』
『特記の欄。カイン、尻尾の先を徴発。評価額、ゼロ。当夜の汁の満足度、本旅程における最高値を記録。お代わりの列、五名。列に並ばなかった者、ゼロ名。評価額ゼロの品が満足度最高値を出す現象について、商人として見なかったことにするか、記録するか迷い、記録した。見たままを、見たままに。』
『同じく特記。御者、解体の手際、玄人。報酬に汁のお代わりを要求。受理。汁で支払いが成立する夜は、いい夜である。取引の通貨は、たまに、椀でいい。』
『私事の欄。原価ゼロの十三枚より、評価額ゼロの一杯。帳尻、大幅の黒字。以上。』




