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ステラの帳面・その二十一 番いの夜
――カシュカント クランハウス
『本日の記載、遅延。理由、手が塞がっていた。塞がっていた中身は、書かない。遅延の届けは、私が私に出す。受理も、私がする。受理の判は、いつもより、深く押した。』
『特記の欄。カイン、重傷。悠仁とアリスが、同時に、いちばん先に走った。速さ、当帳面の観測史上、最速。最速の記録に、祝いの書式が使えない日も、ある。使える書式がない記録は、書式なしで、書く。走った、とだけ。』
『同じく特記。アリスの詠唱、回数、今回も数えていない。二度目である。数えない欄が、これで二つになった。二つになった欄を並べて、気づいたことがある。数えない欄は、いつも、いちばん働いた者の欄である。』
『私事の欄。全員、生きている。この一行のために、当帳面は、ある。今日、それが、分かった。以上。』




