267/394
ステラの帳面・その十八 群れの勘定
――エディオル村
『依頼、完了。サリエンカルの森の群れ、討伐。幼体は残す取り決めどおり。討伐数、村の検分と当方の勘定で、二つ、ずれた。ずれは、放置しない。ずれの放置は、次のずれの仕入れである。』
『ずれの調査。原因、ミーナの一射で二つ落ちた分を、検分が一と数えていた。現場を見ていないと、一射一体と数えるのが、人情である。人情は、勘定の敵ではない。敵ではないが、別の帳面である。訂正を申し入れ、受理。報酬、変わらず。変わらないのに申し入れたのは、数字の名誉の問題である。当人は「え、どっちでもいいよ?」とのこと。どっちでもよくない。あの一射は、二、と書かれるために放たれた一射である。少なくとも、帳面の側からは、そう見えた。』
『特記の欄。フルール、幼体の群れに三十分、話しかけていた。内容、非公開(本人談「内緒です」)。以後、幼体が村の畑に出た記録は、ない。因果は、書かない。書かないが、隣に置いておく。隣に置く、という記載法は、当帳面の発明である。特許は、取らない。』
『私事の欄。数えられたものだけが、報酬になる。数えられないものが、たまに、いちばん働く。以上。』




