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ステラの帳面・その十六 白金貨の重さ
――ヴァリエスタ クランハウス
『報酬、白金貨17枚。金貨1700枚相当。白金貨という貨幣を、両手で持ったのは、初めてである。重さ、思ったより軽い。価値と目方が釣り合わない貨幣は、持つ者の手の側が、重くなる仕組みらしい。分配の会議は、明日である。それまでの持ち運びの担当を決める会議が、決裂した。』
『特記の欄。決裂の記録。カイン「俺が持つと酒場で気が大きくなる」。ミーナ「私が持つと跳ぶとき鳴る」。悠仁「俺は換金の段取りを考えたい側だから中立」。アリス「私は……落とします、たぶん」。フルール「私は、その、金額を聞いてから、手が冷たくて」。全員、辞退の理由が具体的である。具体的な自己申告は、信用できる。信用できる辞退が五つ揃うと、消去法の答えは、一つである。』
『結論、私が持つ。条件を一つ付けた。「私が持つと、利子の計算を始めるけど、いい?」。全員「いい」。……即答だった。利子の計算は、冗談のつもりだった。冗談が通らなかったので、計算する。日歩で。』
『私事の欄。大金は、帳面を騒がせない。騒がせるのは、いつも、全員の無事のほう。今日はそれが、静かに、ある。以上。』




