250/394
ステラの帳面・その十五 赤い帽子の夜
――ヴァリエスタ クランハウス
『消耗の欄。ほぼ全部。詳細、後日。書ける手になってから。数字は、逃げない。逃げないものは、後日で、いい。』
『特記の欄。悠仁、重傷。アリスの詠唱、回数、数えていない。数えられる状態では、なかった。数えていない、と書くのも、記録である。空欄と、数えなかった欄は、違う。違う、ということにしておかないと、この頁が、持たない。』
『修繕の欄。私の筆、直し用、初回使用。四枚目のスクロールの字間が、乱れていたからである。乱れの原因の欄には、こう書く。手が、震えていた。原因を書くのが作成師の帳面である。今日は、それが、こんなに重い。あの筆は、買った日から、使わなかった日を数えるための筆だった。数え納め、本日。』
『私事の欄。全員、生きている。……今日は、この一行を書くのに、時間がかかった。以上。』




