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ステラの帳面・その十三 祝いの日の出納
――リアッツォ 宿
『祝賀会、支出の欄。酒場の卓、分担金。フルールの試射で焦げた樽、一つ。弁償。祝いの菓子、大量。以上、投資対効果の算定、不能。算定不能、と書くのは敗北宣言に似ているが、違う。科目の側が、うちの帳面より、大きかっただけである。』
『算定不能の理由を書く。効果の側が、数字にならないからである。カインの笑い声、量、過去最大(計器なし・耳の記憶による)。ミーナ、踊った。曲数、三。三曲目は、曲が終わっても、踊っていた。アリス、二杯で赤い。赤いまま、全員の椀の位置を直して回っていた。世話の癖は、酔いでは、消えないらしい。悠仁、幹事の顔を最後までやめられない性分と判明。帳面は、笑い声を記帳する科目を持たない。持たないのは、帳面の欠陥である。欠陥の一覧に、一行、追加しておく。』
『損の欄に書く場所がなかったので、樽の弁償は、財産の欄に書いた。検算する者は、私しかいない。私は、これを正しい記帳と認める。認めた記帳には、認印の代わりに、点を一つ、打つことにしている。本日、一つ。』
『私事の欄。転職、完了。職業欄を書き直す日が、こんなに騒がしいとは知らなかった。以上。』




