↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
201/240

ステラの帳面・その十一 試験料の欄

――リアッツォ 大聖堂前


『支出。ミーナ、上級職転職試験、受験料。高額。領収は、聖堂の花押。花押に、値切りは利かなかった。利かないことを確認した私の交渉、所要三分。三分は、記録に残す。結果の出なかった交渉を記録に残すのは、商人の未練ではない。次回の交渉の、仕入れである。』


夕方、試験帰りのミーナが、宿の卓に顔から着地した。着地音、一回。以後、卓と一体化。


「……ステラぁ。私、もう、ジャンプしたくない……。」


「……何回、跳んだの。」


「数えてない。数えたら負けだと思った。」


「数えたら、勝ちだと思う。」


「帳面の人はそうでしょうけど!」


魂が三割ほど不在のまま、それでも夕飯は大盛りを平らげた。所要、通常時と同じ。回復の速さは、当帳面の観測では、隊で一番である。試験内容は規約により非開示。非開示のものは書かない。書かないが、跳んだのだと思う。相当に。根拠——夕飯の後、階段の三段目で、膝が一瞬、拒否をした。目撃、私のみ。記載も、ここのみ。


『特記の欄。カイン、次は自分の番と知りながら、大盛りを二杯。胆力と食欲の区別は、この男に関しては、しない。区別のない科目は、まとめて一つの欄にするのが帳面の作法である。欄の名は、カイン、とした。』


『同じく特記。アリス、ミーナの椀に、黙って肉を一切れ、足していた。目撃、私のみ。こちらは、書く。善行は、目撃者が書き残さないと、この世の帳簿から落ちる。』


『私事の欄。順番に魂が三割ずつ減っていく週である。減った分は、合格の欄で返ってくる予定。予定の欄は、いつも強気で書く。以上。』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。