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ステラの帳面・その九 軍払いの欄
――エンフィールド 戦後の宿営
『収入。軍務報奨、金貨22枚と銀貨40。クラス評価、キング級相当(暫定)。暫定、という語の分だけ、書類が増えた。増えた書類は、四枚。数えた。数えることだけが、今日、いつも通りにできた仕事である。』
『支出。矢、回復薬、修繕、多数。詳細、別紙。別紙が三枚になる戦いは、うちの旅では、初めてである。三枚目は、白いところのほうが、少ない。』
『特記の欄。見舞金の列。旗手の旗は、持ち主より長く立っていた。槍兵長の名は、ザンテ。名簿で知った。名簿で知る名前が、今日は、多い。名は、写した。当帳面の管轄では、ない。ないが、写した。どこかの帳面に載っているうちは、名前は、済んだことに、ならない。』
『同じく特記。全員、無事。無事、という言葉の定義を、今日は少し広く取る。広く取らないと、書けない欄があるからである。定義を広げた日付には、隅に、印をつけておく。いつか狭く戻せた日に、線を引くためである。』
『私事の欄。重い夜ほど、記録する。忘れるためではない。忘れない、と決めるためである。以上。』




