ステータス確認②
――10分後
「Yuji様、Alice様、お待たせしました。」
受付嬢がわざわざ受付から出て広間の席に座っている悠仁とアリスの元へ用紙を持ってきた。漆塗りをされたように光沢のある盆の上に4枚の羊皮紙が乗せられていた。全てに蝋封がしてあり、紙も上質なもののように見える。
「お一人様2枚となります。1部は保管用に、もう1部は提出したり実際に使ったりすることが多いようです。上手くお使いください。もし複製の発行が必要な場合は各聖堂にその旨をお伝えいただければ、有料ですが発行いたしますので、ご利用ください。何か質問はありますか?」
軽く、持ってきた証明書の説明をした受付嬢は他に質問があるか確認をしてくる。
「いえ、特には。また何か質問が出来たら質問させてもらいます。」
「そうですか、ではこれで。他のメンバーの方が戻ってきた時には発行まで10分程度かかることをお伝えいただければと思います。では、失礼いたします。」
受付嬢はお辞儀をして受付へ戻っていく。その背中を見送っているとくいくいと袖を引かれる。
「悠仁さん悠仁さん、ステータス、見てみませんか?」
アリスは貰った証明書を片手に、少し興奮しながら悠仁に訴えてくる。
「そうだな、折角貰ったんだし。というか見せるときに開くんだから変わらないな。よし、見ようか。」
悠仁とアリスは1部を収納に仕舞いこみ、テーブルの上で蝋封を切り、紙を広げる。
「おぉー、これは凄いな。」
「すごいですね!」
紙を広げるとそこには様々な情報が記載されていた。いつもは見ることのできない数値、職業や持っているスキルまで、事細かに書かれている。
「こりゃプレイヤーカードなんて簡易的な物だって実感するな。レベルと職業さえ書かれていればいいと思っていたけど…。」
「確かにこういったものがあると便利ですね。悠仁さんの見せてもらっていいですか?」
「ああもちろん、これだ。」
悠仁が開いた紙には悠仁のステータスが記載されていた。
冒険者名:Yuji
職業:メイジLv31
体力:1255
魔力:2672
STR:83
DEF:101
DEX:108
AGI:135
MGC:299
スキル
ファイヤーボール ファイヤウォール
アイシクルパイル ウィンドカッター
アイススピア フレアトルネード
ライトヒール デリヴォラ
ライトニングボルト シャープスパイク
インシニレイト ダークスプライツ
料理人Lv6
「…」
「…」
詳しく見ていなかった悠仁は自分のステータスを見て驚く。スキルがどうとか、このステータスはこれで高いのか、そういったことではなく。
「悠仁さん、メイジ31レベルなんですか?」
「いや…、俺も知らなかった…。」
悠仁は急いでプレイヤーカードを確認すると、そこには確かにメイジ31レベルと記載されていた。
「しばらく見てなかったから気付かなかったけど、もしかしてめちゃくちゃレベル上がってる…?」
「そうかもしれませんね…。私はどうなんだろう…。」
「折角だから見せてくれよ。」
「はい、もちろんいいですよ。」
アリスもテーブルに紙を広げる。悠仁と同じ形式だが、中身はもちろん違った。
冒険者名:Alice
職業:カーディナルLv12 クレリックLv32
体力:771
魔力:3436
STR:94
DEF:97
DEX:100
AGI:126
MGC:380
スキル
ライトヒール ヒール
フォトンライト フォトン
プロテクション エアバインド
アクセラレーション ディテクトマジック
ユニラテラルカーテン ホーリーアロー
パニッシュメント キュアポイズン
キュアパラライズ フォルツクレアーレ
プロテクトマジック セイクリッドライト
サクリファイス プレイア
悠仁が見せてもらった用紙にはまだ悠仁が見たことの無いスキルも多く含まれていた。
「おー、すごいな。体力は俺のほうが高いけど、魔力はアリスだな。これってカーディナルのレベルが適用されるから体力とかって下がってるのか?」
「そうですね。私も今までの数値を見たことが無いので比較はできませんが、職業を変えてレベルが1に戻ると、前の職業のボーナスが多少つくらしいですが、基本的にはレベル1と同じようなステータスになると聞いています。」
「ってことは転職したばかりの頃って危なかったんじゃ…。」
アリスが教えてくる理論でいくと、転職したばかりの頃は数値的にかなり危なかったはずだ。それこそモンスターの攻撃を1回貰った時点で致命傷になってしまうくらいには。
「あはは…、まぁほら、皆さんが守ってくれるって信じてましたから…。」
アリスは誤魔化すように笑っている。
「アリス。」
悠仁はアリスに向き合い、真剣な顔をする。しっかりと伝わるように距離も詰める。
「は、はひ!」
アリスの声が少し変だったが悠仁は構わず続ける。
「アリスに何かあったら心配だ。もちろんパーティーが崩壊するという意味もあるが、何よりアリスが危険な目にあうのは俺が辛い。だから何か俺が不安に思うことがあったら事前に伝えてくれ。」
悠仁はしっかりと目を合わせてアリスに伝える。
「は、はひぃ…。」
何故かアリスの顔が赤いが、悠仁は返事が聞こえたことでしっかりと伝わったと判断して距離を離す。
「よし、頼むぞ。…ってことはカーディナルに転職したのに魔力が俺よりも高いのか。クレリックの補正がついているとはいえ、カーディナルってすごいんだな。」
「は、はい。使う魔力量も増えてきますからね。威力や効果も高いので仕方ないと言えば仕方ないですが…。」
ステータスの比較をすることで色々見えてくるものがある。
「これは他のやつらとも比べて特性を知っておく必要がありそうだな…。」
「そうですね、これを見れば今の陣形の見直しや作戦の変更にも繋がるかもしれませんからね。」
悠仁とアリスはお互いのステータスを確認しあって他のメンバーの帰りを待った。
数字というのは不思議なもので、並べて眺めているだけで旅の厚みが見えてくる。ヴァリエスタを出た頃の自分なら、この紙の前でただ驚くだけだっただろう。今は一つ一つの数字の後ろに、その値段になった夜や戦いの顔が浮かぶ。




