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ステータス確認①

――未開のダンジョン 第4階層 ゴルド領首都ヴォーマ 大聖堂


「うぅ…、なんだか緊張しますね…。」


特に戦闘があるわけでもないのにアリスはガチガチに緊張している。悠仁はこの時初めて右手と右足が同時に出る人間を見た。


(本当に緊張するとこうなる人っているんだな…。)


「悠仁さんは緊張しませんか?」


「ん?あぁ、緊張ってよりはわくわくしてるって感じのほうが強いかな。」


「わくわく、ですか。」


どうしてだろう、そう訴えかけてくるような目をしてアリスは悠仁を見てくる。


「いやなに、ステータス確認って初級冒険者がやることじゃないだろ?だからこうしてステータス確認をすると少しは成長したのかなってな。」


「言われてみればそうですね。ということは私も今まで初級冒険者だったってことですかね。」


「いや、会った時点で20レベルを超えてたんだ、それはないだろ。」


悠仁とアリスはわいわい話しながら受付嬢に言われた通り部屋に入る。部屋の中には中身が見えないポッドが5つと係員が男女で2人、椅子が数脚という、よく言えばシンプル、悪く言えば殺風景な光景が広がっていた。


見慣れたはずのポッドが、こうして並んでいると少し違って見えた。いつもは現実へ帰るための箱。今日は自分の中身を数字にするための箱。同じ形の箱に、ずいぶん違う用事で入るものだ。


「お待ちしておりました。Yuji様とAlice様ですね。」


電子式のクリップボードを持った女性が声をかけてくる。話は既に通っているようだった。


「では装備はそのままで結構ですのでポッドの中にお入りください。構造はログインログアウトの際に使うものと同じですので心配はありません。…と思いましたが、お二人の武器はやや大きいのでこちらでお預かりしますね。」


男性が杖を受け取りに来る。確かに同じ構造なら杖を入れるスペースは無い。悠仁とアリスは杖を係員に手渡し、ポッドの中の座席に座り込む。2人がしっかりと座ったことを確認して女性の係員が説明を続ける。


「確認にかかる時間は25分から30分だと受付でお聞きしていると思いますが、ポッドの中に入っている時間は10分程度です。書類の発行までに更に15~20分ほどかかります。何か質問はありますか?」


黙って顔を見合わせている悠仁とアリスを見て、質問は無いと判断したのか係員は手順を進めていく。


「では今からポッドが閉まります。中では光が点灯したりしますのでなるべく目を閉じられるのがよろしいかと思います。では、また10分後にお会いしましょう。」


アリスが少し体を起こして悠仁のほうを見て手を振る。悠仁も釣られてそれに手を振り返す。もう一度しっかりと座りなおしたのを確認して係員がポッドを閉めた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


プシューッ!


空気音と共にポッドが開く。目を閉じていた悠仁とアリスに声がかかる。


「Yuji様Alice様、お疲れ様でした。これにてステータスの確認を終了いたします。転ばないように気をつけてポッドから出てください。」


ポッドの外から係員の声が聞こえて2人は目を開ける。10分間目を閉じていたため部屋の明かりでもまぶしく感じて目を細める。


「ふぅ…特にこれといって目新しいことは無かったな。」


「そうですねぇ…。いつものログインみたいですね。」


悠仁とアリスは各々感想を口にしながらポッドから出る。係員の男性が杖を差し出してきたのでそれを受け取り背中に背負う。


「では、機械での確認はこれにて終了です。後は受付にて証明書をお受け取りください。証明書に関しての説明は受付でお聞きください。」


受付嬢がとても表情豊かで人間的だったのに対して係員は淡々と仕事を進めていくようで、きびきびと2人に指示をしていく。


「はい、わかりました。」


手で退室を促されたので部屋を出ようとする。


「あぁ、すみません。言い忘れていたことがありました。」


女性の係員が2人を止める。


「他のメンバーの方を呼んでいただけますか?すぐに確認ができるので。」


「わかりました。すぐに呼んできますね。」


悠仁が了解の言葉を返すと係員は2人でぺこりとお辞儀をして2人を見送った。2人は部屋を出て広間に向かうと他のメンバーがカードで遊んでいる姿が見えた。


「まじかよぉ…。じゃあこれ…いや、これか…?」


「ほらカイン、早くして。腕が疲れちゃうわ。」


どうやらババ抜きをしているようだった。フルールとカインが最後に残っているらしく手番がカインのようだった。カインの顔が受付のほうを向いていたため、カインは悠仁とアリスが出てきたことに気がつく。


「…お、帰ったか。どうだった?」


カインは最後に残った2枚のうち、左を取ろうとしながらこちらに声をかけてくる。ちなみに取ろうとしていたのはジョーカーだった。フルールは苦笑いしながらカインが気がつかないようにカードをずらして数字の札が取れるようにする。


「ま、大したことはなかった。別段珍しいものもなかったしな。」


「なんだよ、つまらないな。…と、俺の勝ちだな!」


カインは自分が勝たせてもらったことに気がつかないまま勝利に浸っている。


「はいはい、私の負けよ。」


その様子を見てたミーナはくすくす笑い、ステラも魔女帽子のつばの下で目を細めている。それを見ていた悠仁とアリスも顔を見合わせてクスクスと笑う。


「な、なんだよ、気味が悪い…。何でみんな笑ってんだよ…。」


「いや、知らないほうがいい。じゃあ4人はプレイヤーカードを受付に出して俺達が行ってきた部屋に行ってくれ。特に準備するものも無いからそのままでいい。」


悠仁とアリスを除くメンバーは悠仁の言葉に頷いて受付に向かい、そのまま奥の部屋に進んでいった。


「ふぅ…、じゃあ証明書が発行されるまで少しここで待ってるか。」


「そうですね、10分くらいと言っていましたし皆さんが帰ってくるまでに受け取れそうですね。」


悠仁とアリスは今までメンバーが座っていた席について受付嬢に呼ばれるのを待った。

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